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第5号 2008年11月30日発行
目次
11月の様子
補助教材としての図書の価値
SRI相互訪問研修
 11月の様子
坂本 貴則
収穫時期を迎えた田んぼの様子

手作業での脱穀の様子

米の二期作に挑戦する農家

11月はカンボジアの最も祭りらしい祭り(と私は思う)である「オムトゥーク(水祭り)」が開催されました。水祭りはメコン川から逆流してトンレサップ川に流れ込む水の量がちょうど落ち着き、川の流れがちょうど安定する時期だと言われています(ちなみにトンレサップ川は雨季と乾季で水の流れる方向が違います。雨季はメコン川から逆流した水がシェムリアップ側に流れ、乾季には逆流した水がまたプノンペン側に戻ります)。

水祭りには各地で予選を勝ち抜いてきた強豪チームがプノンペンに集まり、ボートレースの決勝がトンレサップ川で行われます。そのボートレースの決勝を見に地方から大勢の人がプノンペンにやってきますが、その数は年々多くなっているそうです(長年の在留者談)。

またお祭りのせいか、カンボジア国民も浮き足立っている様子で、特に若者はバイクでスピードを出して乗り回しています。そのため統計で見るとカンボジアの交通事故は、この水祭り中にかなり多いそうです。

私たち日本人はこの水祭り中に来客があったため、ボートレースを直接は見ていませんが(従って写真はありません・・・)、ボートレースの最終日にプノンペンに帰ってくると人人人でごった返していました。川沿いまでまだしばらくある距離なのに、歩くので精一杯なくらい人がいて、とにかく大変でした。

一方、村の方では稲作の収穫時期が始まり、農村の風景は一段と美しさを増しています。収穫が始まって農家の人たちの顔もなんとなく余裕が出始めたようです。今年は後半になって雨が非常に多かったため、田んぼに残った天水で極早生品種の稲を再度田植えしている農家も見かけました。

また雨季に浸水してきた水も大分落ち着いたようで、再度栄養菜園に取り組み始めた農家もいます。11月は休みもあり村を訪問できなかったので、12月に収穫の成果などを農家の人たちに聞いて回りたいと思います。
 補助教材としての図書の価値
坂本 貴則
シロアリの巣を砕くラカナーさん
砕かれた巣。白く小さいものがシロアリ
シロアリの巣を撒いた先には大量の魚の影が
9月号のメールマガジンでもお伝えした、コミュニティ資料センター(以下CRC)の活動ですが、CRC活動は地域に暮らす農家の人たちに、学習の機会を増やすという目的で2006年から始めました。農業や環境についての図書を地域の人たちに寄贈し、その運営支援などを行っています。

11月に現在の利用状況や今後の方向性等を話し合うために、プレイベーン州のトンニア村に支援したCRCを訪問しました。CRCの課題などについてはまた別途報告する機会を作るとして、今回はCRC利用者の話をお伝えしたいと思います。

CRCの利用者でもあり、運営委員会のメンバーの一員でもあるピエン・ラカナーさん(35歳)は州農業局の研修を受け、淡水魚の養殖を始めました。基本的なことはその研修を通じて習得し、5kgの稚魚(だいたい1000匹ぐらい)を購入し、実際に自分の池で育て始めました。

「だいたいのことは政府の研修で習うことができました。それで始めてみたのですが、始めてみると魚の餌に困りました」

「困ったので、何か参考になることはないかとCRCにある本を読んでいたら、シロアリの巣を持ち帰って、それを砕いて池に投げると良いって書いてあったんです」

「試しに少しだけ持って帰って砕いて池に投げてみました。そうしたらうまくいったんです。集めるのは大変ですが、道端にあるシロアリの巣ならお金がかからないし、とっても良い方法だと思いました」

「時々シロアリの巣が探しても見つからない場合や探す時間がない時には、市場で買ってきた餌をあげますが、基本的には朝・昼・晩の3回ともシロアリを食べさせています」

5kgの稚魚は半年間かけて大きくし、大きくなったら1kg8000リエル(約200円)で売れると話していました。

「これまでに50匹ほどが死んじゃったけど、なかなかうまく育てられていると思う。1ヶ月半が経過したので、あと4ヶ月ほどきちんと育てて、無事儲けが出るようにがんばります」と話していた、ラカナーさんの笑顔が何とも印象的でした。
 SRI相互訪問研修
坂本 貴則
田んぼを熱心に観察する参加者たち。
いろいろな質問も。
稲の状態を観察する参加者の1人。
サンプルに一株抜こうとしてもなかなか抜けない。
自分のところの田んぼや稲の
様子について説明するヴィーさん
SRIの相互訪問研修は、今年SRIを実践してみた、ある農家の田んぼをみんなで訪問しようという研修です。ここでいう「みんな」とは、今年実践してみたけどうまくいかなかった人、興味はあるけどまだまだ半信半疑の人、既にやってみたけど、せっかくの機会なので他の人がやっているのを見てみたい人など様々です。

そんな人たちを全部ひっくるめて、基本的には同じ村内の実践農家を訪問します。同じ村内に上手に実践している農家がいない場合は、近隣の村に農家の人を連れて行く場合もあります。

村の人どうしなんだから、日常の交流を通して方法を学びあったり、情報交換しあったりしているのではないか、わざわざそれを研修にする必要はあるのかと中には、疑問を持たれる方もいるかもしれません。

カンボジアの農家の中にも自分で積極的に情報を集めて、実践している農家ももちろんいます(JVCの研修に1回も参加していないのにSRIを実践している人もいます)が、そうでない農家もいます。全然知らないという人もいれば、見たことはあるけど詳しくは尋ねたことがないという人もいます。

「村の人だからみんなが仲良し」というのは大間違いで、なかなか私たちが計り知れない人間関係があります。放っておいても情報は伝わるだろうと考えると、痛い失敗をします。

話がそれました。

SRI相互訪問研修についてです。

10月9日に東タタオク村から西タタオク村を訪問する研修を実施しました。東タタオク村からは15名が参加し、西タタオク村のヴィーさんたちの田んぼを訪問しました。

訪問研修では田んぼの様子と稲の状態を観察してもらいます。田んぼの様子は、いつ田植えをして、現在どのような状況か、株間はどれくらいで、雑草の生え具合はどうか、またSRIを実践する際にどのような苦労があったかなどを訪問先の農家に聞きます。稲の状態に関しては、根っこ・茎の状態や分げつ数などを従来のやり方と比べてどれくらい違うのかを観察します。

参加者の1人、ソム・リアンさんも「他の人がやっているのは知っていたけど、これまでちゃんと観察したことはなかった。今年私もSRIを実践してみたけれど、自分との違いを比較できてよかった」と話していました。

また、この相互訪問研修のいい点は、訪問先の農家が自分の口で自分の経験を語ることだと思います。

今回の訪問先のヴィーさんも「自分の話しをみんなが熱心に聞いてくれたり、いろいろと質問されたりすることが嬉しかった。いい刺激になった」と話していました。
*SRI: (System of Rice Intensification:幼苗1本植え)とは、イネの栽培技術の一つで、若い苗(10〜15日齢)を1本ずつ直線上に等間隔で植えることが大きな特徴です。これによりイネ本来の生育力が引き出され増収が期待できるだけではなく、病害虫への抵抗性が強くなり、農薬の利用を抑えることができます。JVCは農家へこの技術を積極的に伝えています。
発行  (特活)日本国際ボランティアセンター カンボジアチーム
     東京都台東区東上野1-20-6 丸幸ビル6階
     TEL 03-3834-2388 FAX 03-3835-0519

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