国連改革パブリックフォーラムは、国連が果たすべき役割について政府と市民が直接議論できる場です。
国連改革を考えるNGO連絡会と外務省の共催でひらかれた第5回国連改革に関するパブリック・フォーラムでは、「開発」、「平和構築」「軍縮」「人権」について、外務省とNGO関係者の報告をもとにして、意見を高カンして討論を行った。核分科会での討論は以下のように広範な問題に関する日本外交の取り組みをもとにして、国連改革の方向をさげることに成功した。
1.開発分科会では、温室効果ガスを半減する国際的な合意はできてきているが、国内的な目標が明確になっておらず、具体的な国内政策が必要という指摘があり、とくに企業を巻き込む国連グローバルコンパクトへの取り組みや背景の紹介(CO2対策や植林など)があり、政府・NGO・企業の協力体制のもとで国連に協力することの必要性を確認できたことが意義深かった。一方、開発と環境問題との不可分の関係については、先住民族の生存と気候変動など、生態系の持続可能性と社会の持続可能性との連関に注目することが、現在の緊急的課題があるという指摘があり、この点もパブリック・フォーラムのひとつの成果であった。その意味で、気候変動だけでなく「開発」の議論をもっとすべきであることが指摘され、将来のパブリックフォーラムでの横断的なテーマ設定の必要性という課題がのこった。とくに生物多様性と多文化共生の関連がユネスコによって衝動されていることにかんがみて、2008年に生物多様性に関する会議の開催国として、生態環境と社会環境との不可分の関係について、国を挙げて重視することが期待されている。
2.平和構築分科会では、第一テーマである「天然資源管理からみる紛争」について活発な議論が行われた。国連の枠組みの中でも天然資源が紛争を促進しているということが認識され始めたとの報告があった。天然資源をめぐって開発途上諸国でおこっている紛争については、日本などの先進工業諸国は国連に協力するとともに、紛争が発生している諸国に対する経済協力において、フィリッピンの例のように、紛争の被害者の人権を守り、関係国政府のガヴァナンスの方向付けに協力する必要があることが確認された。また、ダイアモンドなどを例とする、不法な流通の問題などに、先進工業諸国の企業が関係していることを認めて企業の国際的な社会責任にも配慮するべきことが確認された。このように資源と平和は強く結びついてることは、日本の経済協力政策にも、日本企業の開発途上地域での活動に際してもわすれてはならないであろう。その意味から、国家や企業など多様なアクターが紛争と天然資源の問題の中に関わっていること、また政治と経済の視点から一貫性をもった取り組み、アカウンタビリティーの重要性を、日本の平和構築政策において重視するべきである。とくに、日本は、平和構築委員会の議長国として、そのリーダーシップを発揮することへの期待が表明された。
3. 軍縮分科会においては、今回の全体テーマである「環境」の視点を入れることで「原子力の平和的利用へのニーズが高まっている」ことが強調された。その観点の中で、「原子力の平和的利用と軍事的な核兵器廃絶」が大きなテーマとして議論された。とくに、高濃縮プルトニウムを生み出す技術を多国間、国際的に管理しようと、という動きに対して、ドイツとともに核技術の開発がすすんでいながら核の軍事利用を否定する日本としてはどうすべきかが議論され、国際的な核不拡散の諸規範の普遍性、透明性、経済的合理性が必要であることが指摘された。そして、テロなど非国家主体への拡散防止には、結局核軍縮の徹底以外に有効な対策がないことも確認された。日本は非核国として、非核兵器保有国の中で唯一核燃料処理施設を持っているというユニークな立場から、NPT第6条にもあるように核保有国の核兵器維持、更新をやめさせるように核保有諸国に働きかける必要性がある。なお、原子力の拡大については、地球規模で見たコンセンサスが保たれなくてはならず、世界のエネルギーをどう考えていくのか、という大きな課題が今後の討論の対象そして残った。
4.人権分科会では、外交における人権の主流化をすすめる上で、ODAの構造と同じように、一番弱い立場の人が一番人権の影響を受けることを、政策の根本原則とすべきことが確認された。特にアジア各国の人権の問題に対する日本政府の対応が紹介され、「人権対話」の定義、計画性などへの疑問が指摘された。日本の人権政策が「静かな外交」で、米欧諸国のような明確な対象国の断罪を行わないことに対する批判がなされたが、日本の人権外交は欧米型とは違ったものを模索すべきで、人権と開発協力のポジティヴ・リンクをつくるバランスの取れた外交を評価する立場とのあいだで、さらなる対話の必要があろう。この分科会の第二議題「国連人権理事会の評価と課題」については、国連人権理事会の内容が紹介され、UPI(普遍的定期審査)のガイドラインなどがこれからの課題になるであろう、との指摘があった。とくに、NGOから見るUPIの懸念点としては、顧問諮問委員会の任務が限定的であること、採択された行動規範において、報告者の自由な発言を制限する可能性あり今後の日本の対策や目指す方向性が注目される。
以上のような核分科会での討論をもとにして、議長としては次のような問題提議をしたい。日本の国連外交において、国際的にも注目されている二つの提案がある。ひとつは、「人間の安全保障」であり、いまひとつは、「持続可能な開発教育の10年」提案である。国連代表である高須大使も強調しているように、日本の外交の一つの特色として「人間の安全保障」がある。人権の「対話」と「人間の安全保障」とは大きく関連しており、さらに、環境問題と開発と軍縮とを統合する意味でも、国連において日本外交が国際的に推進するの重要な価値である。また、2002年のヨハネスバーグ会議で日本政府がNGOからの提案を受けて提唱した「持続可能な開発教育の10年」の諸活動には、企業と市民が、行政、教育機関が政府と協力しており、そのことを支えにして日本外交が多角的な市民社会との連携を実現するうえで大切である。また、資源に依存する日本が、世界の資源管理のイニシャチブを取るときにも、資源の持続可能な開発を進め、現地の人間の安全保護とエンパワーメントが重要問題である。その意味でも、「人間の安全保障」を「持続可能な開発教育」によって推進することは、国連におけるのみならず、開発途上諸国との協力にも生かされている、この日本外交の二つの提案をもとにして、日本外交は、企業と協力するかたわら、先住民族や被害の及ぶ人の安全の保障についてNGOのチェックを受け、とくに地球温暖化対策と生物多様性問題において、NGO間、企業間、政府間、そしてその相関関係の中で知恵と経験を共有していくことが必要である。なお、人間の安全保障の一つであるジェンダーの安全保障に対する国連の委員会では、日本の女性の積極的な参加が求められている。また、日本は軍縮のみならず人間の安全保障の関わる諸領域で、平和憲法を持った国家として世界的に外交を進め、軍事費を人権、平和、環境や開発費用に移していくべきである。市民レヴェルでは来年、2008年5月には9条世界会議を企画しており、そこでは日本国内から、外国からの視点を紹介しつつ9条の意義について人々が考える機会となることが期待されている。そして、「平和のうちに生存する権利」を具体化する「人間の安全保障」は、国の安全保障を越えて人間の権利を守ることであるので、企業も個人も、加害者と被害者に成りうる問題構造の中で、人間の安全保障は全ての課題に横断的に関連させるべきであろう。
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読ませていただいていますが、ちょっと誤字が多いようですよー