
国際社会の「脅威」の最初に上げられている貧困、感染症、環境破壊の問題の解決をどう進めていくべきなのでしょうか。
「国連改革に関する日本NGOの共同提言」より
3.開発
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国連改革に関するアナン報告書(In Larger Freedom)における「開発」に関する提言を、安全保障問題の包括性と相関性を強調したという点において、総論として歓迎する。また、その観点から国際社会が直面する「脅威」のうち、貧困や感染症、環境破壊を最優先課題として位置づけていることを評価する。私たちは、これを「人間の安全保障」を基本的理念として国連の諸活動の貴重にしようとしたものであると考える。貧困削減が国際社会全体にとって喫緊の課題であるという命題に対して、日本も人間の安全保障を外交の柱として、ミレニアム開発目標(MDGs)などに必要な援助の「質」と「量」の見直し、不公正貿易の是正などに積極的に取りくむべきである。
1)貧困削減
「貧困撲滅」の方策として、MDGs達成への取り組みを謳うアナン報告書『In Larger
Freedom』の提案を基本的に支持する。しかし、「貧困」、特に現代の「貧困」は植民地の歴史や不公正貿易、環境や人権、ガバナンスへの配慮の欠いた援助によって構造的につくられてきたものであることに注意喚起したい。「貧困」は、経済的な困窮状態のみを指すのではなく、所得の不公正な配分、資源・資産の不平等な分配、雇用機会などの不平等、不公正な政治的権利などによって日々つくり出され続けられている状態である。その意味で、なによりも「貧困」が生み出される構造的要因への深い分析と認識がまず必要であることを指摘しておきたい。その上で、以下の諸点を提案する。
- 報告書は、全体的に経済成長の重要性を強調する一方で、現在の支配的なマクロ経済システムをどう変えるかへの言及を欠いている。現在の経済システムは、公正な分配、権利や持続的発展よりも成長を優先させるものである。従って、全ての貧困削減対策は、社会的正義、人権を優先するアプローチでなければならない。
- 「開発」に関する提案において、アナン報告書は「貧困」状況の緊急性を強調するあまり、全体的に短期的な即効性を求めるフロント・ローディングな提案となっている。しかし、『緑の革命』などは、中長期的に貧困層に負の影響を与えることが、過去の経験から明らかであり、適切とは思われない。地域住民の主体性を尊重し、持続性のある支援内容を慎重に選択して取り組むべきである。
- IFFなどのような資金を前倒しするような仕組みよりも、恒常的に必要な開発資金を確保できる仕組みを創設すべきである。その意味で、国連は国際取引税などの創設にもっと積極的に取り組むべきである。
- 安全保障と開発問題の関連性が重視される中、両者を横断的に取り組む平和構築委員会を創設することに基本的に歓迎する。しかし、その設置及び運営に当たっては、安保理のみでなく、経済社会理事会の関与が不可欠である。また、同委員会がしっかりと機能するためには、必要な資金及び人材が確保され、NGO・市民の参加が担保され、情報公開と説明責任が確実に果たされなければならない。
- 途上国が援助などの外部資金に過度に依存することなく持続的な発展を行っていけるようになるためには、税収入の確保を含むガバナンスの強化が不可欠である。このためには、二国間援助よりも、国連など国際機関ができるだけ中立性・公平性を保った形で適切に関与する方が望ましく、国連は、そのための取り組みを強化すべきである。
以上を踏まえ、日本政府を含む加盟各国に対しては、「貧困削減に資する質の高い援助を行う」ための政策を明確に打ち出すべきであると考える。ついては、アナン報告書をよく精査し、真に「貧困削減」を達成するために何が必要かを検討し、それを確実に実行するよう求める。また援助効果に関しては、今年3月に行われたOECDハイレベル会合での援助効果に関する議論(援助調整、政策の整合性など)を深めるべきである。特に、日本は政府開発援助(ODA)に関して、OECD・DACによるピア・レビュー(2003年12月)によって次のような勧告を受けており、ODAの「質」の改善が喫緊の課題である。
- (2003年に改訂されたODA大綱を指して)ODAの主たる目的は途上国の開発にあり、自国の狭い国益にとらわれてはならないこと。
- ある特定のセクターだけを扱うのではなく、貧困削減のためにセクター間を横断する課題にも取り組むこと
- (日本はローンが中心なので)「債務の持続性」にもっと注意を払うこと
- 貧困国や国内の貧困層に焦点を当てること
- セクター間のバランスを考え、基礎医療や教育をもっと重視すること
- 環境や社会、ガバナンスへの影響をモニターするシステムを確立すること
- アンタイド化をより一層進めること
- 外務省は、援助実施機関(JICA)にもっと権限を委譲すること
- 開発に携わる人材をもっと増やすこと
これらを真摯に受け止め、ODA政策及び実施制度を抜本的な見直すべきである。特に、貧困や環境問題など地球規模の問題を国連と協力して効果的に行っていくためには、ODAの理念・目的を明確に定める基本法を制定し、新しく援助庁を設置して独立性と責任所在の明確化を図るべきである。
2)経済社会理事会の強化
アナン報告書にあるように安全保障、開発、人権の連関性の認識の下で貧困問題に取り組むためには、包括的にアプローチしなければならない。その観点から開発援助も、これまでのように二国間(バイ)を中心とするよりも多国間(マルチ)、またマルチにおいては途上国住民の意見が反映されやすいものとして国連の役割がもっと重視されるべきであると考える。すなわちブレトンウッズ体制(世銀、IMFなど)よりも国連の開発関連専門機関(UNDP、UNCTAD、UNICEF)による支援を中心とすべきである。従って、それら諸機関及びその他関連国際機関との間で調整及びMDGsなどの国際的開発目標に向けた進展をモニタリングする体制を強化するためにも、現在の経済社会理事会の役割・機能を見直し、総会や関連下部委員会との重複を整理・統合した上で強化する必要がある。
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http://news.bbc.co.uk/2/hi/africa/3746101.stm
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