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新米パパ・白川徹の育休報告

広報担当 大村 真理子 震災支援担当 白川 徹
2017年11月30日 更新

2017年4月からの半年間、南相馬事業担当の白川徹が育児休暇を取得しました。男性も育児休暇を取ることが推奨されている時代ですが、なかなか実現していないのが現実です。
白川に、育児休暇の経験について、記事を書いてもらいました。経験者にしか語ることのできないエピソード、想い・・・目からウロコの内容です!
(以下白川執筆)

育休中、どこにいくにも一緒です!育休中、どこにいくにも一緒です!

男のNGO職員だって育児休暇をしてみよう!

厚生労働省によると、2016年度の育児休暇取得率は女性が81.8%に対して、男性の育児休暇取得率はわずかに3%(3.16%)です。わたしの周りでも男性が育休を取得した、という話はほとんど耳にしません。JVCにかぎらずNGOの職員はリベラルな考え方の人が多く、男性の育児参加にも賛成の方が多いと思います。ですが、実際に男性のNGO職員が育休を取得したという話は聞いたことがありません。活動地で人権を守るのもいいですが、自分の足元も大事かと。ならば、わたしがその尖兵になろう!という頭でっかちな考えが育休取得の理由でした。

育児に求められるのはタスク管理能力

わたしが育休に入ったのは息子が6ヶ月になってからです。生まれてから半年は、ほとんど連れ合いに任せきりでした。世の男性の多くは育児をしている連れ合いを見て「専業主婦いいよね」なんて気軽に思いますが、実際に自分がやってみると恐ろしいほど多忙な日々が始まりました。
おむつの交換やミルクをあげることは当たり前ですが、それ以外の時間も文字通り子どもから目を離すことはできません。ニュースなどでたまに報道されますが、赤ちゃんが寝返りを始めると、姿勢によっては布団で口と鼻がふさがり窒息してしまうことがあります。「乳幼児突然死症候群」と言うのですが、放っておくと死亡につながることもあります。息子が寝返りをうつ度にちゃんと呼吸をしてるか確認をしていました。
うちの息子は10ヶ月くらいからつかまり立ちをはじめました。ですが、立って数分もすると力尽きて倒れてしまいます。その際にほぼ確実に頭から床にぶつかります。親からするとまさに恐怖の瞬間です。疲れたかな~、と思うと座らせてあげたり、倒れるところをキャッチしたり、と目が離せません。この記事を書いている時点で息子はちょうど1歳になりますが、今は机の上に登って「立っち」をするなど、こちらが青ざめることばかりしています(笑)。

息子を見ながらも料理や掃除、洗濯もしなければいけません。加えて離乳食が始まれば料理にかかる時間も長くなります。専業主夫に求められるのは実は「タスク管理能力」です。ダラダラしてればタスクをこなすことができませんし、子どもは待ってくれません。何かを怠ければすぐにそのしわ寄せが来ます。
育休に入る前は「子どもが寝てる間に映画をいっぱいみるぞ~」とか思っていましたが、それがいかに浅はかな考えだったかをすぐに思い知らされました。育児はおどろくほど忙しいのです!人間自分で経験してみないと、なかなか他人の大変さが分かりません。もしあなたが育児を全て連れ合いに任せていて、その役割を軽んじているなら考えを改めたほうがいいと思います。

男性が育児をするには厳しい日本社会

育児中何が一番たいへんだったかと言うと、意外に思えるかもしれませんが、「孤独」だったことかもしれません。子供と妻と生活をしていて一見幸せいっぱいにみえますが、育児中はどんどん社会との接点がなくなっていきます。気軽に友人と飲みにいくことはできませんし、新しく人に会う機会も少なくなります。気づくと、話す人間が連れ合いだけになっていたりします。
社会とつながっていない、家にずっと縛られている気がする、というのは驚くほどストレスフルです。新聞でよく「密室育児」なんて言葉を目にします。子育てをする家族が核家族になり、都市化と共にコミュニティからも孤立して夫婦だけでの育児になることを意味します。わたしの住む杉並区では児童館が子育てをする世帯向けに開放されていて、いろんな会が開かれています。「密室育児」にならないよう、親同士の出会いや、育児について相談できる場が設けられています。ですが、参加者の99%はお母さんたち。そこに男性が一人で入っていくのはなかなかハードルが高い行為です。よほど社交性の高いお父さんなら楽しめると思うのですが、世の一般男性にはなかなかキツい場所です。
また、デパートや公共施設の「授乳室」も男性にはなかなか利用しづらい雰囲気です。例えば、おむつ交換用の台がついているトイレが、女性トイレ側にしかないかともしばしばあります。お父さんが乳児を連れて歩きまわるには東京はまだまだ厳しい街です。

でも子どもは愛おしい

育休終了直前、東京事務所での打ち合わせには息子も参加育休終了直前、東京事務所での打ち合わせには息子も参加

これだけ読むとわたしが一人で育児をしているようですが、実際のところは連れ合いに寄りかかるところが多かったと思います。男も育児を!と頭でっかちに息巻いても自分の未熟な部分を思い知らされる日々でした。 ネガティブなことを多く書きましたが、それでも我が子と一緒に過ごす日々は貴重な時間だったと感じています。しんどいなあ、と感じても、息子が笑えば天にも登るような幸せな気分になります。手の動かし方、ごはんの食べ方、全てが愛おしく、日々成長していく息子と一緒にいる時間は何物にも代えがたいものです。

都会の核家族の子育て

育休中に一度、南相馬の災害公営団地に住むお母さんたちにお会いしました。その中のお一人が仰っていた言葉がとても印象的でした。
「いやあ、白川さんは大変だねえ。わたしは三人育てたけど子どもをお風呂に入れたことなんてなかった。それは爺ちゃんがやってくれてたし、大きな家族だから家族ぐるみで子育てをしたよ。二人っきりでよく子育てできるねえ」

本当にその通りだと思います。本来子育ては家族ぐるみでやるものであり、核家族で子育てをするようになったのは戦後の新しい生活スタイルです。自分で実際に子育てをしてみて分かったのですが、二人がかりでやっても子育てにかかる肉体的・精神的な負担は小さくありません。これが、妻に任せきりで夫は育児に協力しない、なんて考えるとちょっとしたホラーです。
わたしは東京の杉並で連れ合いと二人だけで子育てをしています。本来家族で見ていた部分を、行政の福祉にあずけることで補うしかありません。北欧諸国のように、子育てに対して手厚い行政サービスのある福祉社会ではそれでいいかもしれませんが、そのようになりきれない日本社会ではいろいろと無理が出てきてしまいます。かくいう我が家も来年度、保育園に入れる目処が立たず「どうしよう・・・」と頭を抱えているところです。

「イクメン」と言う言葉が無くなるように

男性NGO職員の育児休暇取得の尖兵になれたかどうかは分かりませんが、とても貴重な経験をさせていただきました。実際に子育てをすることで、初めて親としてスタートを切れた気がします。ですが、男親の居場所や経済的な負担(この記事では省きましたが)を考えると、気軽に男性が育休を取得できないことも事実です。ヨーロッパの幾つかの国では「パパ・クォータ制度(一定の育児休暇期間を男性に割り当てる制度。男性が取得しないと補助金や休暇などの権利が無くなる)」の実施などにより男性の育休取得率が上昇しているとのことです。政府は「2020年度までに男性の育休取得率を13%にする」という目標をたてていますが、今のままでは難しいでしょう。 よく「イクメン」という言葉が聞かれますが、言葉ができるということはこれまで一般的ではなかった、ということです。「イクメン」と言う言葉が無くなるような時代になればいいな、と心から思います。

育休が始まった4月。お花見で。撮影:佐藤慧育休が始まった4月。お花見で。撮影:佐藤慧

JVCはJVC史上20年ぶりに!男性で育休を取得した白川をはじめ、子育てをしながら海外に単身赴任をしたスーダン事業担当小林パレスチナ事業担当並木など、さまざまな職員がいます。小林や並木のエピソードも、またご紹介させていただきます。お楽しみに!(大村)

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