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NGO女子徒然日記 :11 】

お祭りの思い出 ~豊かさとは?~

アフガニスタン事業担当 加藤 真希
2016年4月 6日 更新

春がやってきました。だんだんと温かくなって新緑が春の日差しに美しく映えるこの時期、いつも思い出すできことがあります。それは、あるメキシコの村で見たお祭りです。

20代前半のころ、メキシコの大学で地域開発マネジメントというコースを学んでいました。学生が4-5人のチームを組んで、大学がある街から少し離れたコミュニティを行き来し、その地域の人々とともに生活をより良いものにするためのプロジェクトを計画・実施する実践型のコースでした。当然コミュニティによって、貧困であったり社会的差別だったり、直面している課題は異なります。

私は、先住民族の人々が伝統的な暮らしを続けつつ、都市部やアメリカへの出稼ぎが多く出ているような村で、家畜を育てながら共同で所得向上を目指すというプロジェクトに参加しました。先住民族地域と言っても、人々は民族の言葉だけでなく公用語のスペイン語も流ちょうに話し、テレビや冷蔵庫といった近代的なものを使っている家も多く、伝統的な生活スタイルもどんどんと変わってきています。

サボテンの道をてくてく歩いて調査したものですサボテンの道をてくてく歩いて調査したものです

それでもそこには今もなお、外国人の私だけでなく、都市部出身のメキシコ人の目も引くような伝統的な行事が残っています。その一つが、ある宗教的なお祭りです。私たちが出入りしていたのは国内でも特に信仰心の強い地域と言われており、スペイン植民地時代の影響によるキリスト教と、土着の信仰が織り交ざった融合の宗教が根付いていました。でも、こういったお祭りには宗教的意味だけではなく、社会的意味も強く持つということを、教授から教えてもらいました。

毎年開かれる村祭り毎年開かれる村祭り

毎年、新春の時期にあるキリスト教の聖人を祭るイベントが大々的に催されます。村人はこれに向けてかなり前から会場設営から料理の準備まで時間と労力を割いています。このお祭りのために、豚や鶏を肥やしておきます。そうやって迎える当日はほぼすべての村人が広場に集まって飲んだり食べたりするのですが、その時に村長さんとおぼしき人がリストからしきりに村人の名前を読み上げていきます。名前を呼ばれた村人は受付のような場所に集まり、大量(!)のパンを受け取るのです。それから、飲物も箱単位で受け取っています。

大学からの訪問者である私たちにもパンのおすそわけをいただきました大学からの訪問者である私たちにもパンのおすそわけをいただきました

教授曰く、「お祭りでは、何世帯かが選ばれて大量のパンと飲物を無料で受け取る。逆に、これを提供する世帯もある。この役割は毎年ローテーションする。これだけ多くのパンや飲み物を提供しなければならない世帯は、家族や親せきが金銭的にも援助して、借金までして用意する。でも、村の人々にパンを提供する、という借りを作るので、いざというときには助けてもらえる相互扶助の形なんだ。」

なるほど、と思いました。パンをたくさん渡しておいて、何か困ったときや人手が必要な時には気軽に頼めるような関係を築いておくということのようです。私は最初、「いつも村の人たちはお金がないとこぼしているのに、どうしてそこまで苦労して時間を割いたりお金をかき集めてまでお祭りを実施するのだろう?」と疑問に感じましたが、よく考えると、村人たちが、お互い頼り頼られながら生活する仕組みが、システムの中に組み込まれているという、とても興味深いものでした。

この村の目立つ場所には、トウモロコシの皮でできた飾りが高くそびえています。これもまた、村人が非常に苦労しながら皆で協力して立ち上げるものだそうです。特に何かに使用するというわけではなく、象徴的なもの(十字架になっている)。大きな産業などはなく、皆、所得的にはとても質素な暮らしを営んでいるこの村ですが、人々が協力しなくては生活していけない、人々の絆を紡ぐための仕組みがところどころに垣間見えるようです。こういうのが、金銭的ではない、精神的な豊かさというのだろうなぁと、ぼんやり感じたものでした。

トウモロコシの皮がくっついた飾り。村人が協力しないと立ち上げられないトウモロコシの皮がくっついた飾り。村人が協力しないと立ち上げられない

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