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2016年3月11日 【 谷山の眼 ~NGOの視点から

福島の「復興」は人々の平和と安全から程遠い

JVC代表理事 谷山 博史
2016年3月12日 更新

東日本大震災と福島第一原発事故から5年がたちました。私たちが5年前の4月から支援活動を行っている南相馬では除染をはじめ復興に向けた取り組みが進んでいます。先月には、第一原発から20キロ圏内の小高地区の居住禁止を解除する市の方針が発表されました。

一見、復興は順調なように見えますが、原発事故が福島の人々の間に生み出した分断という社会と心の傷は癒されるどころかますます広げられているのです。住み慣れた地域にとどまる人、避難する人、帰還する人の間で進んだとされる「復興」と、政府の言う「安全」をめぐって葛藤と対立が再び、そしてより複雑な形で立ち現れてきています。南相馬の小高地区の居住禁止解除についても、早期の解除を望む人と時期尚早と考える人がいて意見が分かれているのです。

実は、この分断は政策が生み出している面が強いのです。

12年7月超党派の議員立法で「原発事故子ども被害者支援法」が成立しました。これは、原発事故の後地元地域にとどまるか、避難するか、帰還するかにかかわらず、ひろく原発事故の影響を受けた人々の自己決定権を尊重し公的支援において区別しないという画期的なものでした。原発事故の被災者を中心に市民が働きかけて実現した法律でした。しかし13年8月に閣議決定された基本方針では、支援対象地区を限定することで法の精神は骨抜きにされ、昨年8月の改定では、自主的避難者の住宅支援が2017年3月で打切られることになりました。避難指示区域は帰還困難区域を除いて2017年3月までに解除され、賠償も2018年3月までで打ち切られます。避難者に対して帰還を政策的に強要しているとしか言いようがありません。

自主避難している人の多くが若い世代であり、子どもの健康を守るため止むにやまれぬ決断を迫られた人たちでした。彼らの多くは地元に高齢の親や親族を残して地元を離れたのです。「支援法」では原発事故後の暮らし方の選択を被害者に広く認めることで、異なる選択をした人たちの間の政策上の差別と互いの心の壁と取り除こうとしました。「支援法」基本政策の改定と「復興」・「安全」の喧伝は、分断を加速することにほかならないのです。

福島の復興を進め、福島の人たちが故郷を取り戻すことを心から念じています。政策は人々を分断するものであってはなりません。私たちが35年、世界の紛争地とアジア・中東・アフリカの開発の現場で見てきたのは、その国の政府や外国の援助、外国軍の介入が地域社会を分断することで紛争の芽を育て、既にある紛争を激化させるという現実でした。逆に政策次第では対立する人々の間に信頼関係を育て、協働して平和を作ることも可能です。東日本大震災5年目の迎えるにあたって、福島の人々に寄り添いながら政府の政策を点検していかなければならないとの覚悟を新たにする次第です。

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