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七尾旅人特殊ワンマン「兵士A」

広報担当 大村 真理子
2015年11月25日 更新
七尾さんの歌とともに、映像作家のひらのりょうさんの映像が「兵士A」の世界を表現します七尾さんの歌とともに、映像作家のひらのりょうさんの映像が「兵士A」の世界を表現します

広報担当の大村です。

11月19日に渋谷で行われた七尾旅人さんのワンマンライブ「兵士A」に行ってきました。七尾さんのライブを初めて見たのはもう10年くらい前で、透き通る声と予定時間を一切無視した構成にとても驚いたことを覚えています。それからワンマンは間があいて、2回目。今回のライブで、七尾さんの奥歯は折れて右手は骨折したそう。そりゃ、そうだろうなあ、という渾身のステージ。歌声以外、演者も観客も一言も発することはありませんでした。

開演前には一枚の紙が配られました。「私は今日、兵士Aくん(近い将来、数十年ぶりに1人目の戦死者となる自衛官、または日本国防軍兵士)の扮装をして、過去から未来まで、さまざまな時代を切り取った歌を歌います」。

そう、今回のワンマンは七尾さんが「兵士Aくん」になりきってメッセージを届けるスタイル。だから「特殊」がついたワンマンなのでしょう。軍服を着て、うつろな目をした七尾さんの登場から、会場には音楽ライブとは思えない、やや異様ともいえる緊張感が漂っていました。

「兵士Aくん」が、生まれて、初めて自転車に乗れた日のことや、戦争が目の前に迫った日のショッピングモールでの話、戦争中の恋、少年兵との戦い、死の時のこと、などが轟音をともなった映像とともに突きつけられます。静まりかえる会場。新しい自転車に乗れる嬉しさにあふれる歌詞が、苦しい。報道で見ている戦死者の数だけ、こんな当たり前の日常があるのでしょう。日常の風景が、突然戦場へと変わる様が、生々しくて、ただ息をのみます。ここで見ているのは、フィクションだけど、フィクションじゃない。今このフィクションと同じようなことが、同じ地球で日々、起きている。そう思うと、なんとも言えない無力感が自分を襲います。

「兵士Aくんのうた」
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1人目の彼はどんな人だろう 1人目の戦死者Aくん
1人目の彼はどんな人だろう 何十年目の戦死者Aくん
彼は僕の友達 あれは僕の弟 彼はわたしの彼 あれはわたしの子
(歌詞一部抜粋)
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七尾さんから、「戦いをやめよう」というメッセージが直接発せられることはありません。時折みせる、人間の狂気に満ちた凶暴性を(それはもう、歯も腕も折れるくらいの激しさ)、ストレートに表現しているところに私は好感をもちました。賛否両論あると思いますが、自分も含めて、「人間ってひどく凶暴だ」と感じることが、私はよくあります。その事実から目を背けてはいけないと思っているので、七尾さんの表現は非常に信頼できる、嘘のないものだと感じました。

ステージ最後の曲は、「誰も知らない」
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ここは火事だから 残らないよという
爆弾が降り注ぎ 止まらないのという
かなしい世界は 終わらないのという
もしも願っても 変わらないよという
だけど 誰も知らない ほんとは知らない
(歌詞一部抜粋)
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演奏曲一覧。2時間半、一切のMCなしのワンマンライブ演奏曲一覧。2時間半、一切のMCなしのワンマンライブ

世界の行く末は、私のような一般市民の手ではどうにもならないように、もう決まっているのでしょうか。それとも、この歌詞の言うように、「本当は誰も知らない」のでしょうか。最初から最後まで、本人が言葉を発することは一度もありませんでしたが、この曲でステージが幕を閉じたとき、私は、ああ、もしかしたらこの微かな光を伝えるために、今日があったのかな、なんてことを思いました。到底理解できない理由で、人が人を殺し、傷つけあう日々。夢みがちな考えなのかもしれませんが、私はやっぱり、どんなに意味がないと思われたとしても、微かな光の方にかけたいな、と思います。世界の行く末は、これから、自分たちで作っていけるのだと信じたい。

開演前に配られた紙には、「ほどほどの按配を目指さずに、思い切って、いちばん演りたいことをやることにしました」と書いてありました。その言葉どおり、このタイミングで、この表現のためステージに立った七尾さんの覚悟にただただ打ちのめされた夜。方法は違えど、現在の世界情勢について、自身の想いをしっかりと表現し、前に進む潔い姿に、身が引き締まる想いでした。会場は若い男女で超満員!どんなに小さなことだっていいから、できることをやって行くしかないですね。

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