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2014年5月10日 【 乾季の菜園づくり

緑いっぱいの畑

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2014年5月16日 更新

菜園づくりの研修を行ってから、早いもので2か月が経ちました。
そのあいだ、専門家のカッチョさんによる訪問アドバイスや、如雨露(じょうろ)の配布などを行ってきました。はたして、野菜の育ち具合と収穫はどうなっているでしょうか?

井戸のポンプで灌漑用の水を汲み上げ、<br/>手押し車で菜園に運ぶ井戸のポンプで灌漑用の水を汲み上げ、
手押し車で菜園に運ぶ

井戸の周りに、ポリタンクがぎっしりと並んでいます。トブ(一枚布の女性用着衣)姿の主婦が手慣れた要領でポンプのハンドルを上下に動かすたび、水がザアザアとポリタンクに流れ込んでいきます。そして満水になったポリタンクを頭に乗せて運んでいく...のが普通の光景ですが、ここでは少し違います。
集まった主婦たちはポリタンクをどんどん緑色の手押し車に積んでいきます。日本の工事現場で「ねこグルマ」と呼ばれる、あの手押し車です。ポリタンクを満載すると、車の把手をグイッと持ち上げて、井戸の周りに並んだ菜園に向かいます。

オシュリムさんの畑。<br/>左後方に見えるのは井戸オシュリムさんの畑。
左後方に見えるのは井戸

「手押し車、役に立ってるな」
クルマを降りたJVCスタッフのタイーブは、支援した手押し車が使われているのを確認すると、そのまま目の前の菜園に向かいました。今日は、収穫の状況を確認するため、活動地のひとつであるウム=バタア地区アサマ東集落にやってきたのです。
最初の菜園は、オシュリムさんとほかの二人の主婦が分け合って使っていました。マス目のように区分けされた畑には緑の葉が繁っていますが、中には土がむき出しになった区画もあります。
「あそこは、収穫が終わったところですか?」
「そうだよ、このまえジルジル(ルッコラ)の収穫が終わったところだよ」
「じゃあ、これから2回目の種まきですね」
「違うよ、3回目だよ」
「えっ」
タイーブは少しばかり驚きました。もう2回の収穫を終えて3回目の種まきに入っているのです。

勢いよく伸びるルッコラの葉勢いよく伸びるルッコラの葉

ルッコラやモロヘイヤといった葉物野菜の生育は確かに早く、3週間から1ヶ月で収穫できるようになります。ですから、2か月間で2回の収穫を終えることは可能なのですが、それにしても、JVCが種を配布してからすぐに畑を耕して種をまき、素早く収穫を終えてまた次の準備をしなくては、そんなに速く畑を回転させることはできません。

裏庭に作られた菜園で話を聞くタイーブ裏庭に作られた菜園で話を聞くタイーブ

タイーブは手にした調査票を見ながら、質問を始めました。
「収穫物は家族で食べていますか?それとも市場で売っていますか?」
「家で食べてるかって?食べきれないよ。だからカドグリの市場に持って行って売るんだよ」
「そうですよね。では、市場ではどのくらいの値段で売れたのか、教えてもらえますか?」

オシュリムさんを皮切りに、タイーブはいくつもの菜園を巡回しながら、畑に出ている人たちに野菜の種類ごとの収入を尋ねていきました。
皆、どの野菜がいくらで売れたのか、よく覚えていました。

● オシュリムさん(菜園の場所:モスクのそば)
【2月】販売額合計290スーダンポンド(以下、ポンドと表記)(約5000円)
ルッコラ120ポンド、モロヘイヤ60ポンド、クレソン80ポンド、シャマール(香味野菜の一種)30ポンド
【3月】販売額合計430ポンド(約7300円)
ルッコラ200ポンド、モロヘイヤ90ポンド、クレソン140ポンド

● ハリマさん(菜園の場所:学校のそば)
【2月】販売額合計180ポンド(約3000円)
ルッコラ90ポンド、モロヘイヤ40ポンド、クレソン25ポンド、シャマール25ポンド
【3月】販売額合計145ポンド(約2500円)
ルッコラ100ポンド、クレソン45ポンド

ここに書き切れませんが、そのほかに8名、合計で10人から聞き取りを行うことができました。その結果、少ない人でも1ヶ月に100ポンド、多い人になると500ポンド近くの収入になっていることが分かりました。
郊外の主婦たちはカドグリの町に出掛けて家事手伝いなどの仕事をすることも多いのですが、こうした仕事での稼ぎは1日10ポンド程度が相場です。週に5日間、1か月に20日間ほど働いて稼げるのが200ポンド。それと比べると、町に出る必要もなく、家の近くの菜園で作業をして月に200ポンドが稼げるなら、こんなにいいことはありません。野菜の世話をしながら、炊事や洗濯、子どもの面倒を見ることだってできるからです。

収穫が終わった畑では、すぐに次の準備が収穫が終わった畑では、すぐに次の準備が

「だから、みんな真剣なんだな」
2回の収穫を終えて3回目の種まきになると、JVCが支援した種子は既に使い切り、カドグリの町で種子を購入する人が多くなります。自分のおカネで種を買って、それに見合うだけの、いやそれ以上の収入が見込めることを皆が理解しているのでしょう。

*** *** *** *** *** *** ***
ティロ避難民向け住居。<br/>ウォーターヤードの脇の菜園ティロ避難民向け住居。
ウォーターヤードの脇の菜園

それから数日後。収穫の調査を進める私たちは、ティロ避難民向け住居を訪問しました。昨年11月にウォーターヤードを完成させた、あの場所です。ここでも、私たちは1月に研修と種子配布を行い、菜園の活動を始めていました。
菜園はウォーターヤードと隣り合わせに作られています。灌漑用水を引きやすいからです。そのため、ウォーターヤードに直結するホースが取り付けられています。

しかし、意外にも畑には作物がまばらに育っているだけで、ほとんど地面がむき出しになっていました。数日前に見たアサマ東集落の菜園とは、歴然とした差です。
JVCスタッフ、サラの姿を見て、菜園作りをしている主婦たちが集まってきました。サラは調査票を手に収穫の状況を聞いてみました。いや、聞くまでもなかったのかも知れません。そもそも、作物がほとんど育っていないのです。
「種をまいた後、畑に入り込んだニワトリに食べられてしまった」
そう言っている人もいます。畑の柵にすき間が多く、ニワトリが侵入してしまったのでしょう。柵を作り直さないといけません。
しかしそれ以上に、誰もが口を揃えて言っていたのは「水が足りない」ということでした。
「ウォーターヤードの管理人が、水をホースから菜園に流してくれない」
「今だって、もう3日間も水が来ていないのよ」
「最初は、水を流すという約束だったのに」
みな、口々に不平を言っています。

手押しポンプ型の井戸に比べ、はるかに給水能力が高いウォーターヤード。その足元にある菜園で水が不足して作物が育っていないのは、なんとも皮肉というしかありません。
いったい、どうしてウォーターヤードから水が来ないのでしょうか?

話の舞台は、再びティロ避難民向け住居のウォーターヤードに戻ります。

* 参考レート 1スーダンポンド=16~17円

【おことわり】
JVCは、スーダンの首都ハルツームから南に約700キロ離れた南コルドファン州カドグリ市周辺にて事業を実施しています。紛争により州内の治安状況が不安定なため、JVC現地代表の今井は首都に駐在し、カドグリではスーダン人スタッフが日常の事業運営にあたっています。このため、2012年1月以降の「現地便り」は、カドグリの状況や活動の様子を、現地スタッフの報告に基づいて今井が執筆したものです。

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更新日タイトル
2014年5月16日 更新緑いっぱいの畑
2014年5月 2日 更新ラシャシャを探せ
2014年4月25日 更新カッチョ先生の菜園訪問
2014年4月18日 更新カッチョ先生登場
2014年4月18日 更新マスタバとサラバット ~菜園づくり研修~
2014年3月31日 更新サラの不安
2014年3月31日 更新菜園参加者の名簿づくり ~ティロ本村の場合~
2014年3月25日 更新手押しポンプ井戸で灌漑する村

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