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2014年3月30日 【 乾季の菜園づくり

菜園参加者の名簿づくり ~ティロ本村の場合~

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2014年3月31日 更新

「菜園を作るって、そりゃあいい考えだ」

シエハ(住民リーダー)のサレさんが声を張り上げました。

話し合いの様子。奥にみえている土地は菜園候補地話し合いの様子。奥にみえている土地は菜園候補地

カドグリ郊外、私たちがウォーターヤードを設置した避難民向け住居の手前に位置する、ティロ本村。この「現地だより」でも、これまでに何度か登場した場所です。菜園づくりプロジェクトの候補地として、12月中旬にJVCスタッフが訪問して住民リーダーたちと話し合いを持ちました。

「今は、みんな乾季に薪拾いをしたりカヤを集めたりしているけど、それだけじゃダメだ。住民も増えているし、何か新しいことを始めなきゃいかん。分かっているか」

サレさんは力説しています。会合には、ほかに地区委員会(地方政府が任命した行政の末端組織)のメンバー、そしてこの地区で生活を送っている避難民も集まりました。

避難民グループのリーダー、ユスフさんは
「避難前に住んでいた元の村には菜園がたくさんあった。野菜作りのことなら、ワシらのグループに任せておけ」
と自信ありげです。

「皆さん意欲があって、心強いです。ところで、菜園用の土地と灌漑用水はどうすればよいでしょうか。この地域には溜池とかはありますか?」

JVCスタッフのアドランが尋ねました。

避難民グループが住む一角にある井戸。この周りも菜園候補地避難民グループが住む一角にある井戸。この周りも菜園候補地
菜園委員会メンバーが、井戸や菜園予定地を案内してくれた菜園委員会メンバーが、井戸や菜園予定地を案内してくれた

「ここには溜池はないよ」
「ハンドポンプ井戸の水が使えるだろ。井戸は4本あるぞ」
「だけど、うち1本は水がチョロチョロしか出ないぞ。あれは修理しなくちゃいけない」

そんな声が飛び交っています。

「土地はどうですか?井戸のまわりに菜園を作るだけの土地がありますか?」
「それなら心配ないな。井戸のまわりは皆の共有地だから、そこを使えばいい。たとえば、ほら、そこの空き地だって使えるんだぞ」

奥の空き地に、柵で囲われたような形跡があります。雨季には耕作が行われるのでしょう。乾季の今は誰も使っていないようですが、井戸にも近く格好の場所です。

「よし、決まりだ」

サレさんがそう言って、話がまとまりました。故障している井戸1本は、JVCが補修を行うことも決まりました。

故障している井戸1か所の修理は1月に完了故障している井戸1か所の修理は1月に完了

「それで、ワシらはまず何を準備すればいいのかな?」
「参加希望者を募って土地と井戸の割り振りをする世話役グループ、『菜園委員会』のメンバーを決めてもらえますか?実際に菜園に参加する人から選ぶのがよいです」
「そうか。わかった」

数日後、サレさんがカドグリ市街にあるJVCの事務所にやってきました。何やら名簿のようなものを小脇に抱えています。

「サレさん、わざわざ来てもらってありがとうございます。菜園委員会の名簿ができたんですか?」

アドランが尋ねると、
「そうだ。それと、参加者名簿もできている」
「あれ、参加者は菜園委員会が選ぶはずでは・・」
「そうだ。菜園委員会の連中と一緒に家々を回って希望者を募ったんだ。29人もいたぞ」
「それはいいですね」

名簿を手に取って眺めながら、アドランはふと気になって聞いてみました。

「ここには、避難民グループの人たちも入っていますか?」
「えっ?」

サレさんの表情が、少し「しまった」という感じになりました。

「おお、ユスフさんのグループか。そう言えば、入ってないな...忘れとった」

サレさんは集落全体を束ねるリーダーですが、避難民のことはあまり意識していなかったようです。

「どうしたらいい?」
「では、今から行って、ユスフさんのグループに知らせて回りましょう」

サレさんとJVCスタッフはティロ本村に向かいました。クルマでほんの10分です。

ユスフさんをリーダーとする避難民グループは、村の北側の一角に、空き家を利用したり草ぶきの小屋を作って住んでいます。アドランたちは菜園委員会のメンバー、それにユスフさんにも声を掛けて、一緒に家々を回り始めました。

ここにいる避難民は、JVCスタッフにとって顔馴染みの人々です。昨年4月、政府軍と反政府軍との戦闘によって村を追われてこのティロ本村に逃げてきた時に、緊急物資支援を行ったからです(「2013年避難民緊急支援レポート」)。大人から子供まで、たいていはJVCスタッフを知っています。

「(自分たちの)村にいたころは、毎年この季節には野菜を育てていたわ」 家々を回ると、ユスフさんと同じことを皆が口々に言っていました。故郷の村は、地下水が豊かだったのでしょう。

「では、菜園に参加しますか」
「もちろん。でも、畑はどこにあるの?」
「それなら心配いらん。村の東側の井戸のまわりを使ってくれ」
サレさんがそう言っています。

避難民地区を一回りすると、あっという間に22人の希望者の名前が集まりました。

12月下旬、菜園の参加者が集まって話し合いが持たれました。この時点で、参加者は51名までに増えています。
サレさんが言いました。

「今回は、村の隅々まで1軒1軒まわって活動について説明した。その結果、元からここに住んでいる住民も、新しく来た住民(避難民)も、合わせて51家族がこの活動に参加することになった。素晴らしいじゃないか」

自慢げに話すサレさんに、後ろで聞いていたタイーブが
「なんだよ、オレたちが言わなかったら避難民は忘れてたんじゃないか」
と小声でブツブツ言っています。

アドランが笑って
「まあ、いいじゃないか。サレさんも気が付いたんだし」

やがて話し合いは、どんな作物を植えるかに移っていきました。「やっぱりオクラよ」「モロヘイヤも」「ダイコンはどうなの?」主婦たちの声がにぎやかに飛び交っています。

私たちは、このような菜園活動の準備をティロ本村のほかにもふたつの地区で実施しました。

合計三つの地区で、1月中旬に研修と農具・種子の配布が行われる予定です。

【おことわり】
JVCは、スーダンの首都ハルツームから南に約700キロ離れた南コルドファン州カドグリ市周辺にて事業を実施しています。紛争により州内の治安状況が不安定なため、JVC現地代表の今井は首都に駐在し、カドグリではスーダン人スタッフが日常の事業運営にあたっています。このため、2012年1月以降の「現地便り」は、カドグリの状況や活動の様子を、現地スタッフの報告に基づいて今井が執筆したものです。

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