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避難民緊急支援レポート(3)
木の下での暮らし

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2013年6月10日 更新

その避難民たちは、木の下で暮らしていました。

カドグリ郊外での生活用品配布を一段落させたJVCスタッフのもとに、「シエリ地区にたくさんの避難民がいる」との情報が入ってきました。シエリとは、カドグリから北に15キロ、紛争が起きる前には首都ハルツームへの定期便も運行されていたカドグリ空港の近くです。

さっそく、避難民の状況を確認に向かいます。

スタッフを乗せた赤い小型車は、幹線道路を折れてシエリ地区へと入りました。道路はなく、地面に残されたタイヤの跡をたどって進んでいくと、乾燥した大地に大きな木がまばらに繁っている場所に出ました。

木の下での暮らしと家財道具。家畜も見える木の下での暮らしと家財道具。家畜も見える

「あれ、人が住んでいるよ」
気が付くと、あちこちの木陰にベッドや戸棚などの家財道具が山積みになっています。ヤギが寝そべり、遠くにはウシの群れも見えます。クルマを見つけて子どもたちが飛び出してきました。

「ちょっとクルマを停めて、話を聞いてみよう」
外に出ると、直射日光と熱風で身体が焼けるようです。あわてて木陰に入ると、そこは避難民家族の生活の場です。

木陰のベッドで生活する家族。左下にはニワトリも木陰のベッドで生活する家族。左下にはニワトリも

「あっ、突然おじゃましてすみません。JVCという日本の援助団体です」
そう言って、その場にいるひとりひとりと握手を交わすのがスーダン流の挨拶です。使い古されたベッドには年配の女性が座り、その周りには赤ん坊を抱いた若いお母さん、そして子どもたちが突然の来訪者を見つめています。

「村から避難してきた人がいると聞いてきました。みなさんは、どちらから来たのですか?」
「カラカラヤだよ」

カラカラヤ村は、戦闘が起きたダンドロ村から10キロほど離れています。突然の戦闘に襲われたダンドロとは違い、カラカラヤの人たちは家財道具を持ち出してくるだけの余裕があったようです。ベッド、戸棚、水瓶・・・それにしても、いったいどうやって持ってきたのでしょうか?

「家畜に積んできたのさ。簡単なことだよ」
年配の女性は、「そんなの当たり前じゃないか」という顔です。
どうやら、ここにいる人々は「バッガーラ」と呼ばれる牧畜民のグループのようです。家畜とともに家財道具ごと移動するのはお手のものなのでしょう。ただし、牧畜民といってもスーダンでは多くの場合、半定住生活をして農耕も行うので、日本人が想像する「遊牧民」のイメージとはかなり違います。

避難民グループのリーダー、ジャラビーヤ(男性用の白いガウン状の服)姿のムスタファさんに話を聞くことができました。全部で46家族がここで避難生活を送っているのだそうです。

どうしてこのグループはカドグリの町に入らず、木の下の生活をしているのでしょうか?

「カドグリでの落ち着き先を探しているが、まだ見つかっていない」
ムスタファさんはそう言います。さらに加えて、
「カラカラヤに戻るかも知れない」
とも言っています。

多くの家畜を抱えているこのグループにとって、カドグリでの落ち着き先を見つけるのはそう簡単でもないようです。であれば、この辺りで仮暮らしを続けるのもひとつの選択なのかも知れません。或いは、カラカラヤ村周辺の戦闘が収まったのならば、戻る希望があるのかも知れません。

前回の「現地便り」でご紹介したダンドロ村は直接の戦場になっており、そこから避難してきた人々は、同郷の人々の世話になりながらカドグリでの生活を始めようとしていました。直接の戦場になったということは、たとえ軍隊が退いても、家に残されていた財産や家畜は全て略奪され、火が放たれていることさえ珍しくありません。そう簡単に帰還できるものでもないのです。しかし、10キロ離れたカラカラヤ村の状況は違うのかも知れません。

いずれにせよ、木の下での避難生活はもう少し続きそうです。そして、いくら多少の家財道具を持ち込んでいるとはいえ、屋根もない暮らしでは、雨が降ったらどうするのでしょうか。既にカドグリ周辺は雨季に入り、激しい雨も降っています。

物資を受け取る物資を受け取る

JVCスタッフは防水シートや毛布など生活用品の支援を決め、翌日に配布を行いました。

南コルドファン州人道支援局が4月下旬に発表したところでは、カドグリ周辺に流入した避難民は約550世帯、3千人。国連と赤新月社が食料配布を、地元のNGOが給水活動をしています。

避難民から募ったボランティア(右)も配布作業に参加避難民から募ったボランティア(右)も配布作業に参加

JVCは生活用品の配布を担当。ほかに生活用品の支援を実施できる団体は、見当たりません。
しかし、緊急支援を始めた時点で私たちが持っていた在庫は約250世帯分。550世帯にはとても足りません。このため、予算をやり繰りして300世帯分の追加購入を行い、さらに不足する資金は広く緊急募金のお願いをすることにしました。

生活用品の配布も木の下で生活用品の配布も木の下で

4月の終わりには、首都ハルツームから700キロの道のりを輸送して追加分の生活用品がカドグリに到着。そして5月10日までに、今回ご報告したシエリ地区も含め、465世帯への配布を完了しました。残るは、約100世帯。しかし、その間にも新たな避難民の流入は止まってはいないのです。

配布場所に集まってきた避難民の子どもたち配布場所に集まってきた避難民の子どもたち

(続く)

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避難民への緊急支援のため、募金のお願いをしております。詳しくはこちらをご覧ください。
http://www.ngo-jvc.net/jp/notice/2013/05/20130515-sudanemergency.html

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【おことわり】
現在、JVC現地代表の今井をはじめNGO外国人スタッフが南コルドファン州に入ることは、スーダン政府により制限されています。このため、2012年1月以降の「現地便り」はカドグリの状況や活動の様子を、JVCスーダン人スタッフの報告に基づき今井(首都ハルツームに駐在)が執筆したものです。

避難民緊急支援レポート(1)村を襲った突然の戦闘へ
避難民緊急支援レポート(2)助け合いの仕組みへ
避難民緊急支援レポート(4)新しい生活、遠ざかる帰還

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2013年6月18日 更新避難民緊急支援レポート(4)
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2013年6月10日 更新避難民緊急支援レポート(3)
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