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2013年2月18日

共同菜園づくり・よそ者の土地問題(3)

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2013年2月22日 更新

前号から続く)

乾季になってバオバブの大木はすっかり葉を落としているのに、それでも木陰には村人が集まって、いつものようにおしゃべりを楽しんでいます。ここは、ムルタ村の中でも最も東寄り、丘陵地の懐に抱かれたトチャと呼ばれる集落です。

人々は、元々はカドグリから南に20キロほど離れた山中のトチャ村に住み、その一部がこの地域に移り住んだと言われます。今でも集落の中ではトチャの言葉が飛び交っています。避難民が多く住むムルタ北地区の訪問(前号前々号の記事)を終えてから数日後、JVCスタッフはこのトチャ集落を訪れました。

バオバブの木の脇でクルマを降りると、スタッフは村人に挨拶をしました。
「こんにちは、JVCです。シエハのトゥトゥさんはいますか?」
集落を束ねるリーダーは、この地域では「シエハ」と呼ばれます。トゥトゥさんはここトチャ集落のシエハです。

やがて、トゥトゥさんがやってきました。「ジャラビーヤ」と呼ばれる白いガウン状の服を着て、日除けのために麦藁帽をかぶっています。
「おお、JVCか。まあ、座りなさい」
周りの人たちも一緒に車座になって話が始まりました。

「トゥトゥさん、実は私たち、ムルタ北地区でドンドロの人たちと会いました。菜園の土地のことを心配していました」
と話し始めると、すぐに反応が返ってきました。
「ああ、そのことか。2日前かな、ドンドロの人たちが訪ねてきたよ」
「そうですか。で、どうでした?」
「土地のことなら心配ない。ドンドロの人たちは、ムルタ北地区ではなく、トチャと一緒になってムルタ中地区の菜園に加わればいい」

ムルタ村概念図ムルタ村概念図

菜園プロジェクトを実施するのは、ムルタ村の中でも、南北に走る幹線道路の東側、丘陵地帯との間に細長く広がる地域です。ここでは、雨季の間に丘陵地に降った水が地下に溜まっているらしく、少し穴を掘ればあちこちで水が湧き出てきます。それを利用して、雨が一滴も降らない乾季でも野菜作りが可能なのです。

しかし、水が豊富な菜園の適地は、すべて元来のムルタ住民が所有しています。トチャやドンドロのように後から来た「よそ者」は、その土地を借りなければ菜園づくりができません。

「トチャとムルタ中地区は、ずっと前から友人同士だ」と、トゥトゥさんは言います。
「今回も、野菜づくりをしたいトチャの農家は、中地区の菜園を使うことで話はついている。何の問題もない」

なるほど。中地区の住民は、北地区に比べて寛容なようです。それとも、トゥトゥさんが言うように、ずっと昔から続いてきた良好な関係があるのかも知れません。

トチャ集落への道。向こうの丘のふもとに集落があるトチャ集落への道。向こうの丘のふもとに集落がある

「でも、トゥトゥさん。トチャだけでなくドンドロなどが加わっても、中地区の人たちは了解してくれるのでしょうか」
「大丈夫だとは思うが、念のため中地区のシエハには話をしておいたほうがいいな。ちょうど良い、これから行ってみるか」
と言うが早いか、トゥトゥさんはもう立ち上がっています。そのままJVCの赤いレンタカーに乗り込んで、一行はムルタ中地区へと向かいました。

(続く)

【おことわり】
現在、JVC現地代表の今井をはじめNGO外国人スタッフが南コルドファン州に入ることは、スーダン政府により制限されています。このため、2012年1月以降の「現地便り」はカドグリの状況や活動の様子を、JVCスーダン人スタッフの報告に基づき今井が執筆したものです。

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