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2013年2月17日

共同菜園づくり・よそ者の土地問題(2)

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2013年2月21日 更新

前号から続く)

ウドゥ村出身者の一角を離れ、しばらく歩くとまた何軒か草ぶき屋根の家が並んでいます。その間を抜けると、土壁のしっかりした家の脇に、ありあわせの材料で作った小屋が立っていました。木材の骨組みに、大きな麻袋やビニール袋を広げて天井にしています。避難民の一家が住んでいるのでしょうか。

「こんにちは。誰かいますか?」
返事がありません。もう一度大きな声で「こんにちは」と叫ぶと、裏手から人の声がしました。

そちらに回ってみると、庭を駆け回る子供たちの傍らで、母親らしい女性がヤギの世話をしています。片隅では、おばあさんなのでしょうか、年配の女性が腰かけてくつろいでいます。ひょうたんで飲んでいるのは、ソルガム酒(穀物から作る醸造酒、アルコール度は低い)でしょう。

「こんにちは、JVCです。お忙しいところすみません。少しお話をさせてもらっていいですか?」
母親は突然の訪問に驚いたらしく、少し待ってくれ、と言ってどこかに行ってしまいました。

やがて、彼女は近所のオバサンたちを3人ほど連れて戻ってきました。援助団体(JVC)が来たので、人を集めなくてはいけないと思ったのでしょう。「男たちは働きに出ていて留守をしている」と申し訳なさそうに言っています。

「こちらこそ、突然やって来てすみません」
差し出されたコップの水を飲みながら少しばかり雑談をしていると、オバサンのひとりが菜園の話題を持ち出してきました。
「ひとつ聞きたいことがあるのさ。菜園をやりたい人って、土地はもらえるのかい?」
「えっ、参加したいのですか?」

先ほどの訪問先(前号の記事)ではがっかりさせられたので、彼女が関心を示したことにJVCスタッフは逆に驚いてしまいました。
「参加したいよ。だって、『今の戦争』が始まる前、元の村にいた頃は毎年乾季には野菜を作っていたからね。水がたくさんあったし。でも、ここに来てからは無理だと思ってたのさ」

話を聞くと、彼女の一家はドンドロ村の出身です。今回の紛争が起きて、昨年5月にムルタ村に避難してきました。
「このあたりにはドンドロ出身の者が多いから、それを頼って来たのさ。今はこの家の庭先を借りて生活しているんだよ」

どうやら、さきほど見かけた小屋が、彼女の家のようです。
「皆さんも、ドンドロ村出身ですか」
全員がうなずきました。

「いつ頃、ムルタ村に来たのですか」
そう尋ねると、様々な答えが返ってきました。10年以上前から住んでいる人、ドンドロに住んでいるが毎年ここ(州都カドグリに近い)に出稼ぎに来ていた人、今回の紛争によって避難民となった人、多種多様です。

避難民一家の住まい(本文中に出てくる小屋ではありません)避難民一家の住まい(本文中に出てくる小屋ではありません)

「でさ、土地はもらえるのかい?」
そうそう、それを尋ねられたのでした。
「もらえるという訳ではありませんが、共同菜園の土地は地主が無償で提供してくれます。皆さんはムルタ北地区の菜園委員会に申し込んでください。土地が割り当てらえるはずです」

「でも、割り当てらえるのは、ムルタの人たちだけじゃないの?」
別のオバサンが口を挟んできました。
「どういうことですか?皆さんもムルタの人でしょ」
「ムルタには住んでるけど、私たちは『よそ者』扱いよ、ねえ」

家々を訪問して話を聞くJVCスタッフ家々を訪問して話を聞くJVCスタッフ

話を聞くと、ムルタ北地区の端にあるこの辺りには、ウドゥ村やドンドロ村、ほかの幾つかの村から避難してきた人や移動してきた人が住んでいるのですが、北地区の元々の住民からは厄介者扱いされている、と言うのです。
「この前、菜園について北地区で話し合いがあったでしょ。その時にも、菜園の持ち主が『よそ者には土地は貸さない』と言ってたって聞いたわ」

JVCも参加していたその話し合いでは「誰でも参加できる」ことに落ち着いたのですが、確かに「よそ者に貸したくない」という意見があったことは、私たちも把握しています。

「土地のことなら、トゥトゥさんに相談してみたらいいんじゃない」
誰かが、そう言い始めました。
「トゥトゥさんって、トチャ集落のシエハのことですか?」

トチャというのは、ここから東南の方角に見える、丘のふもとの集落です。歩いて10分ほどでしょうか。シエハというのは、この地域で集落を束ねるリーダーの呼び名です。
「そうよ。トチャの人たちも私たちと同じ『よそ者』だから、一体どうするつもりなのか、聞いてみるといいわ。男たちに言って、トゥトゥさんのところに行ってもらおうよ」

【おことわり】
現在、JVC現地代表の今井をはじめNGO外国人スタッフが南コルドファン州に入ることは、スーダン政府により制限されています。このため、2012年1月以降の「現地便り」はカドグリの状況や活動の様子を、JVCスーダン人スタッフの報告に基づき今井が執筆したものです。

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