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2012年12月14日

二年振りの収穫

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2012年12月20日 更新

「おーい、ユヌスさん、元気かあ?」
JVCスタッフのユヌスが村の入口にクルマを止めると、ロバに引かれた二輪の台車が畑からの道を走ってきました。乗っているのは、すっかり顔馴染になった村の世話役、ククさんです。

「おお、こっちは元気だ。そっちはどうだ?」
「見ての通り、収穫で大忙しだ。今年は雨がよく降ったし豊作だぞ」 と大声で笑うククさん。

ロバ車で運ぶ落花生ロバ車で運ぶ落花生

台車の上には、畑から収穫したばかりの落花生が山積みになっています。よく見ると、落花生に隠れるように子供も台車に乗っています。家族で畑仕事だったのでしょう。

「あとで、ウチにも寄ってくれよな」
ククさんはそう言い残すと、ロバに鞭を入れて村の中へと台車を走らせていきました。

私たちが5月に野菜(オクラ、トマト、ウリ、ササゲ豆)と穀物(ソルガム、落花生、ゴマ、トウモロコシ)の種子を支援したムルタ村。10月、村は収穫の季節を迎えていました。今日は、その様子を見に来たのです。

刈取り後のソルガム(写真下側)刈取り後のソルガム(写真下側)

村の入口近くにあるハマッドさんの家を訪ねました。庭一面に、刈り取ったソルガム(この地方の主要穀物)の穂が広げられています。脱穀作業の前に乾燥させているのです。

「ずいぶんたくさん採れましたね」
と言うユヌスに、ハマッドさんは
「なんの、なんの。ここあるのは家の周りの小さな畑で取れた分だけだよ。広い畑の方はまだ刈り入れをしていないから、そっちを収穫したらこんなものじゃないよ」
「そうですか、まだまだ収穫が続くんですね」

ユヌスがそう言って感心していると、奥さんが大きなお盆を持ってこちらにやってきました。お盆に山盛りになった何かを見せに来たようです。

乾燥させたササゲ豆乾燥させたササゲ豆

「おお、ルビアですか」
それは、乾燥させて茶色くなったササゲ豆(現地での呼び名はルビア)でした。
「収穫したら、みなこうして乾燥させるのですか?」
「全部ではないですけどね。乾燥させれば何か月も保存できるし、市場でもいい値段で売れますから」
「なるほど」

乾燥させたササゲ豆は、細かく刻んでスープに入れるのがこの地方での一般的な調理法です。

ハマッドさんが言いました。
「去年の今頃は、戦闘や避難生活のせいで収穫が何もなく、毎日毎日食べるものをどうしようかと困っていた。今年は種子の支援を受けたおかげで、こうしてたくさんの収穫がある。去年とは大違いだ」

集落を少し離れると、ソルガムの畑が続いています。この辺りはまだ収穫前らしく、3メートル近い高さにある重そうな穂が風に揺れています。畑の先に、青いビニールシートと草で葺かれた小屋がありました。避難民のザハラさん一家の住まいです。

ザハラさんの家と周りの畑ザハラさんの家と周りの畑

「こんにちは」
「あら、ユヌスさん。久し振りですね」
ザハラさんは去年、戦場になった故郷の村を逃れ、子供たち5人の手を取ってここにやってきました。空き屋になっていた小屋に、ありあわせの材料で建て増しをして親戚と一緒に住んでいます。避難民なので広い畑地は持っていませんが、JVCから支援された種を家の敷地や周りに蒔いて作物を育ててきました。

「忙しそうですね。何をしているんですか」
ザハラさんと子供たちは、庭で何かの作業をしています。
「オクラを刻んで、庭に干して『ウェーカー』を作るんです」

ウェーカーというのは、乾燥オクラの呼び名です。オクラが大好きなスーダンの人々は、新鮮なオクラが手に入らない乾季の間も、このウェーカーを煮込んでおかずにするのです。刻んだオクラを土の上に広げて、その上に子供たちが白い粉を撒いています。

乾燥オクラづくり、白い粉(灰)を掛けている乾燥オクラづくり、白い粉(灰)を掛けている

「あの粉は、なんですか?」ユヌスが尋ねると、
「灰ですよ。虫よけになるんです」との答え。昔からの知恵なのでしょう。

ゴマの乾燥台ゴマの乾燥台

庭を見渡すと、木組みの台の上には収穫したゴマが、木の枝にはソルガムの束が干してあります。家の周りだけを耕しても、それなりの収穫があるようです。

「何もかも失くしてここに来たけれど、今は少し落ち着いて、子供たちにもなんとか食べさせてやることができます」ザハラさんは、少し安堵した表情で話してくれました。

訪問した何軒かの家はどこも、収穫とその後の作業で大忙しでした。昨年6月の紛争勃発時にはこの地域にも戦火が及び、住民は一時的に避難して耕作シーズンを逃しています。村人にとって、そしてこの地域に逃れてきた避難民にとっても、これが二年振りの収穫です。

落花生を根っこからむしり取る落花生を根っこからむしり取る

帰途に着く前に、今日最初に出会った村の世話役、ククさんの家を訪ねてみました。庭では、さっき畑から採ってきた根っこに付いたままの落花生を、子供たちがむしり取る作業をしていました。

「おお、ユヌスさん、待っていたよ。そのあたりに座ってひと休みしてくれよ」

ククさんに言われるまま木陰の椅子に腰かけていると、しばらくして奥さんがトマトとティブシ(ウリの一種)を色鮮やかに盛ったサラダを持ってきてくれました。

「おお、すごいねこれは」
「JVCの種から育った野菜だよ。食べていってくれよ」
「本当か?それじゃ、JVCサラダってことか」
「ははは、そうだよ」
というわけで、新鮮なサラダを美味しくいただいたのでした。

JVCサラダJVCサラダ

【おことわり】
現在、JVC現地代表の今井をはじめNGO外国人スタッフが南コルドファン州に入ることは、スーダン政府により制限されています。このため、2012年1月以降の「現地便り」はカドグリの状況や活動の様子を、JVCスーダン人スタッフの報告に基づき今井が執筆したものです。

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