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2012年12月 2日

ヤギが村にやってくる

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2012年12月18日 更新

何かが足りない・・・。

昨年6月の戦闘で大きな影響を受けたムルタ村、ハジェラナル村。避難していた人々の多くは村に戻り、JVCが実施した種子の配布、そして天候にも恵まれて今年は豊かな収穫を迎えています。しかし村を訪れると、何かが足りないような気がするのは、何故でしょう?

そう、家畜がいないのです。以前なら村のあちこちで見かけたヤギ、少年たちが追っていたウシの群れ、それらの家畜の姿が激減しているのです。

以前なら、たとえウシを持っていない家庭でもヤギを飼育して、そのミルクは家族、特に子供の貴重な栄養源になっていました。また家畜は家庭の財産として、いざという時にはそれを売ることによって大きな病気の治療費、子供の進学費用をまかなうこともできます。「銀行に貯金する代わりに村人は家畜を持っている」と言われるゆえんです。

しかし昨年の紛争勃発時、事態は一変しました。

「砲声が村に近づいてきて、身の回りのものだけ持って夢中で逃げだした。2週間後に戻ってみたら、5頭いたヤギは1頭も残っていなかった」
ハジェラナル村のある住民はそう話してくれました。

その後、戦火の拡大とともに、村は遠方からの避難民を受け入れることになりました。しかし家財道具さえ持ち出す余裕もなく逃げてきた避難民は、家畜など連れているはずもありません。こうして村の家畜は、幸運にも生き残ったわずかなヤギやウシだけになってしまいました。

配布に先立って実施した「ヤギの健康管理」研修。配布対象者から選ばれた19人が参加。配布に先立って実施した「ヤギの健康管理」研修。配布対象者から選ばれた19人が参加。

こうして私たちは家畜支援の検討を始めましたが、ヤギを配布するにしてもその頭数には限りがあります。そこで、これまでJVCが実施した農具や種子の配布を受けていない人々、つまり最近になって到着した避難民を中心に150家族を支援することにしました。妊娠、出産が始まる生後数か月から1年の雌ヤギを、1家族あたり2頭ずつ配布します。

「ちょっと待って。雌のヤギだけ配ったって、妊娠しないじゃない」
JVCでの打ち合わせの最中、スタッフのひとりが口を挟んできました。確かにその通り。さっそく州政府の畜産省に行って相談してみました。

「そうだね。1家族あたり5頭も配るんだったら、うち1頭をオスにすればいいんだけど・・・この場合、2頭しか配らないのに1頭をオスにするわけにはいかないね。村に残っているヤギの中にどのくらいのオスがいるか、尋ねてみるといい」

急いで村に駆けつけて長老たちに尋ねると、
「はっはっは。村の各地区にそれぞれ何頭かはオスが残っている。メスの発情期が来たら、そのオスを連れていけばいい。何も心配はいらないぞ」
とのお墨付きをいただきました。それにしても、このプロジェクトにおけるオスの任務は重大です。

配布前に行われる予防接種配布前に行われる予防接種

9月16日、いよいよ配布です。家畜業者が連れてきたヤギを、畜産省から派遣してもらった獣医さんたちが1頭ごとに年齢や健康状態をチェック。合格したヤギにはすぐその場で伝染病の予防接種が行われます。そしてトラックに乗せられて村の配布場所へ。

配布場所には既に多くの大人たちと、そしてこの日は子どもたちが集まっていました。トラックの荷台から降ろされるのを待ちかねて、ヤギに子どもたちが駆け寄ります。

「こりゃ、ちょうどいいや」と言ったのはJVCスタッフのユヌス。
「おおい、そこのみんな。ヤギが逃げないように見張っていてくれよ」

配布場所に到着したヤギ配布場所に到着したヤギ

子どもたちに見張ってもらいながら、配布が始まりました。村のリーダーたちとJVCが共同で作成した名簿に従って、名前を呼んで本人だと確認をしながらヤギを引き渡していきます。配布の対象となっているのは、避難民の中でもとりわけ生活が困難な、女性と子どもだけの世帯、子どもの数が多い世帯などです。

配布は、日がとっぷりと暮れるまで続きました。子どもたちはヤギと遊ぶのに飽きたのか、いつの間にかいなくなっています。「これで子供にミルクを飲ませることができるよ」そう言いながら、この日最後の家族がヤギを受け取っていきました。ヤギたちは、新しい家に馴染んでくれるでしょうか?1世帯にたった2頭ですが、元気に育って、子供を増やしていって欲しいものです。

ヤギを受け取る避難民女性ヤギを受け取る避難民女性

【おことわり】
現在、JVC現地代表の今井をはじめNGO外国人スタッフが南コルドファン州に入ることは、スーダン政府により制限されています。このため、2012年1月以降の「現地便り」はカドグリの状況や活動の様子を、JVCスーダン人スタッフの報告に基づき今井が執筆したものです。

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