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2012年10月 5日

南北合意、けれどやまない紛争

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2012年10月 9日 更新

「それにしてもさ、避難民支援と言ったって、あとからあとから避難民が出てくるんじゃキリがないよね」
知り合いの国連職員が、ため息混じりにそうこぼしていました。

南コルドファン州でJVCが支援した診療所。州保健省により、避難民・地域住民の子どもの栄養状態のチェックと栄養食の提供が実施されている。南コルドファン州でJVCが支援した診療所。州保健省により、避難民・地域住民の子どもの栄養状態のチェックと栄養食の提供が実施されている。

その通り。おおもとにある「紛争」それ自体がやまない限り、いつになっても避難民の流れは止まりません。私たちが活動する南コルドファン州では既に何十万人もが故郷の村を追われて避難民、難民になっていますが、戦闘地域には今なお20万~30万人が残っているとも言われます。食料は底を突き、雨季が終わって移動が容易になれば、また多くの避難民が出てくるかも知れません。

南コルドファン州の紛争は、南北スーダン両国の関係と密接に影響しあっています。スーダンは昨年7月に南北に分離し、北側は従来通りの「スーダン」、そして南側には新しい独立国「南スーダン」が誕生しました。南コルドファン州は、この新しい国境の北側、スーダン側に位置しています。

州内の紛争は、スーダン軍と反政府勢力のスーダン人民解放軍(北部)との間で行われていますが、この反政府勢力を南スーダンが支援していることは半ば公然の事実。スーダン政府はこれを強く非難しています。

そもそも南北内戦中には、南部スーダン(現在の南スーダン)と南コルドファン州においては、単一の「スーダン人民解放軍」がスーダン軍との戦闘を繰り広げていました。ところが昨年に南部スーダンが独立したため、スーダン人民解放軍の中で南コルドファン州を地盤とする勢力は、南スーダンの解放軍(独立後は国軍となった)と区別するためにみずからを「スーダン人民解放軍(北部)」と名乗るようになりました。しかし元が同じ軍事勢力なのですから、今も両者の関係は強く、南スーダン側が支援を行っているというわけです。

南北スーダンは今年4月に国境付近の油田地帯で軍事衝突、その後、国連安全保障理事会の介入によってなんとか停戦にこぎつけました。そして、軍事衝突の背景となっている両国の未解決問題、すなわち石油収入の分配(北部を通って輸出される南スーダン産原油のパイプライン使用料)、国境付近の領有権、南北分離後もスーダンに住み続ける南スーダン人(或いはその逆)の市民権、などを解決するための交渉が始まりました。期限までに合意ができなければ、国連安保理から両国への経済制裁が発動されるかも知れないというプレッシャーの中での交渉でした。

難航はしたものの、最終的には両国の大統領が5日間に渡る直談判を行った末、ついに合意文書へのサインがなされました。これによってパイプライン使用料が定まり、南スーダンでの原油の生産と北部を通じた輸出が再開されます。両国の経済危機は緩和されるでしょう。国境地帯では、紛争が再燃しないように非武装化が行われます。また、両国の国民にはそれぞれ相手国での「4つの自由」(居住、移動、財産保有、経済活動の自由)が与えられました。これによって、今なおスーダンに残る数十万の南スーダン人の基本的権利が保証されます。

このように、交渉の成果はたいへんに大きなものです。しかし、最大課題のひとつである係争地アビエイ地区の帰属については、合意に達していません。そして南コルドファン州の紛争についても、交渉の中では大きな話題になりませんでした。

交渉の前、スーダン政府は「南スーダンが南コルドファン州の反政府勢力への支援をやめない限りは、南北交渉での合意もできない」と主張していましたが、実際にはこの問題を棚上げにして南北合意を優先させたようです。

8月に私は「3ヶ月の停戦合意」という記事を書きましたが、実は南コルドファン州での合意は抜け穴だらけで、停戦は実現していません。

南北交渉の舞台となったエチオピアの首都アディスアベバでは、引き続き南コルドファン州の紛争を解決するためにスーダン政府と反政府勢力との交渉を実現しようと、仲介役のアフリカ連合が奔走しています。しかし、スーダン政府側は「反政府勢力への南スーダンからの支援が止まらない限りは交渉には応じない」と拒否する姿勢を示しています。

そうこうしている間にも、避難民は続々と押し寄せてきます。私たちが活動する同州の州都カドグリには、3日前にも新たに400人の避難民が到着しました。いつになれば、そしてどうすれば紛争が終わるのでしょうか?
その答えを探しながら、私たちの避難民支援はこれからも続きます。

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