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2012年10月 4日

支援が届かなかった人々

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2012年10月 9日 更新

私たちの活動地ムルタ村で、避難民の流入が続いています。いったいどのくらいの数の避難民が、どのような生活をしているのでしょうか。JVCスタッフは手分けして避難民の家を訪問して話を聞くことにしました。

ムルタ村を南北に貫く幹線道路の東側、緑に覆われた丘陵地帯の足元にムルタ北地区と中地区があります。数日前に訪問した時に、その両地区にはさまれた地域に多くの避難民が入りこんでいることが分かりました。今日はその地域をもう少し広範囲に歩いてみます。

「こんにちは」
最初に訪問したお宅は、とんがり帽子の草ぶき屋根を乗せた石造りの丸い家。このあたりでは、ごく普通のお宅です。 「どなたかいらっしゃいませんか」
大きな声で呼んでみると、奥の方から三十代くらいの男性と、その母親らしき女性が出てきました。

「JVCという団体から来ました。皆さん、避難民でしょうか?」
「そうだよ。去年の8月に来たんだ」
ということは、ここに来てもう1年以上になります。
「最初は親戚の家で一緒に生活をしていたんだけど、そのあと自分たちで家を建てたんだ」と、その男性、トゥトゥさんは少し自慢げに傍らの日干レンガの家を指しています。
「でも土地は親戚のものだけどね」

トゥトゥさん(右)とお母さん(奥)トゥトゥさん(右)とお母さん(奥)

家族について尋ねると、トゥトゥさんと母親、奥さんに子ども5人です。トゥトゥさんは親戚の畑仕事を手伝いながら、どこかの畑で人手が足りないと聞けばそこに出掛けていきます。
「奥さんは?」と聞くと、
「裏山で、野草やザフなんかを集めているよ」。

ザフというのは、地面から放射状に葉が伸びる背の低い植物です。その硬くて丈夫な葉にはロープ材料など様々な用途があり、集めて売れば少しのおカネになります。

「JVCは5月と6月に種子を配布したのですが、トゥトゥさんは受け取りましたか?」
「受け取っていないね」
「種子を配布したのは、知っていましたか?」
そう尋ねると、お母さんから答えが返ってきました。
「どっかの団体が配ったってのは聞いたけど、あたしたちには何の知らせもなかったよ」

前回この地区を訪問した時に聞いた話と同じです。私たちは村のリーダーや運営委員会と話し合いながら配布対象者を決めたのですが、この地区の避難民グループは、残念ながら考慮されていなかったようです。そして私たちもそれを見逃していたことになります。

しかし、種子の配布を受けなかったのに、トゥトゥさんの家の庭ではトウモロコシがよく育っています。種はどうしたのでしょう?
「ああ、これかい?これは、畑仕事を手伝った先から分けてもらってきたのさ」
なるほど、そういうことなのですね。

その日いっぱいJVCスタッフはこの地域を歩きまわり、30家族ほどの避難民を訪問しました。その結果、地域には出身村別に5つの避難民グループがあることが分かりました。あるグループはカドグリ南方の丘陵地から、またあるグループは東の丘の向こうから避難してきています。

JVCが配布した種子は、受け取ったグループもあれば受け取っていないグループもありました。どのグループもムルタ村から見れば「よそ者」に違いないのですが、中には20年ほど前の内戦時に避難民となってこの地区に定着し、そこに今回の紛争によって元の村から新たな避難民が流入してきたケースもあります。そのようなグループは、以前からムルタ村でも認知されており種子の配布を受けているようです。

7月に到着した避難民に話を聞く7月に到着した避難民に話を聞く

その後2日間をかけて、私たちのスタッフはムルタ村の南地区や西地区を訪れ、さらに約40家族の避難民を訪問しました。親戚宅での寄宿生活が続く人々、空き家に住む家族、自分で建てた小屋を見せてくれた人、家がなく草を積んだ屋根の下で生活する母親・・どの家も、子どもたちであふれかえっていました。

それでも、すべての避難民を訪問できた訳ではありません。あちこちで聞いた話から推定すると、ムルタ村全体で少なくとも200家族、ゆうに千人を超える避難民が生活しているのではないでしょうか。そのうち種子の支援を受けた家族は小さな畑を耕し、収穫を間近に控えています。しかし支援が届かなかった家族もあれば、そもそも種子の支援が終わった6月以降にやってきた避難民も少なくありません。その数は今も増え続けています。

お母さんと子どもたちで避難してきた。父親の行方は分からないお母さんと子どもたちで避難してきた。父親の行方は分からない

私たちは、このような避難民の家族を次の支援の対象とすることに決めました。

【おことわり】
現在、JVC現地代表の今井をはじめNGO外国人スタッフが南コルドファン州に入ることは、スーダン政府により制限されています。このため、2012年1月以降の「現地便り」はカドグリの状況や活動の様子を、JVCスーダン人スタッフの報告に基づき今井が執筆したものです。

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