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2012年9月21日

増え続ける避難民

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2012年9月25日 更新

8月に入り、たっぷりの雨とほどよい日差しを受けて、作物はぐんぐん育っています。種子を支援した作物の生育状況を確かめようとJVCスタッフが村を訪れると、村人も自然と笑顔で迎えてくれます。子どもたちもスタッフのことをすっかり覚えたらしく「日本の団体がきた」と駆け寄ってきます。

アシャさんアシャさん

今日は、ムルタ村のアシャさんの畑を訪問しました。アシャさんは今年4月にやってきた避難民です。紛争地域にある故郷の村では食べるものもなくなり、娘や孫を連れ何日も歩き続けてカドグリへ、そして親戚を頼ってムルタ村にたどり着きました。村に残った夫のその後の消息は、分かりません。ムルタでは親戚に畑を少し分けてもらい、JVCから受け取った野菜の種を蒔きました。

「よく育っていますね。病気にかかった葉とかはありませんか?」
そう尋ねるJVCスタッフに、
「先月は少し黄色くなって穴が空いた葉も見たけど、そのあと雨が続いたから、もう大丈夫」と答えるアシャさん。トウモロコシはフサフサのヒゲが生えて、もうすぐ収穫です。
「ところで、知ってるかい?最近、この近くにまた避難民家族が増えているんだよ」
「えっ、本当ですか?」

アシャさんに避難民がたくさん住んでいる場所を教えてもらい、訪ねてみました。歩いてほんの4、5分です。

草ぶきの家々が建ち並ぶ一角で、干し草で囲った一軒の敷地に入ってみました。敷地の中には、4つほどの小さな丸い小屋が並んでいます。

「こんにちは。JVCです」
「なんだ、いったい誰だって?」土壁の丸い小屋の中から年配の女性が顔を出しました。
「この地域で活動している日本の団体です」

そう言うと、いきなり中から子どもたちが飛び出してきました。訪問してきたJVCスタッフをじっと眺めています。すると、近くの物陰から大人や子どもがぞろぞろ出てきました。この狭い敷地に、いったい何家族、何人が住んでいるのでしょう?

「何人だろうね・・数えてみたことないね」
年配の女性、ハディジャさんに尋ねると、そっけない答えが返ってきました。脇から、子どもたちの母親らしき人が「20人くらいかな」と教えてくれました。炊事の途中で出てきたのか、調理道具を手にしています。

話を聞くと、どうやら4世帯ほどがここで暮らしています。1世帯は元々の住民ですが、ハディジャさんたち3世帯は避難民。戦火と食料難の中、7月に村を離れ、親戚を頼ってカドグリにやってきました。今は居候(いそうろう)生活です。
「カドグリに来ればなんとか生活できるって聞いたんだよ」

実際の生活はどうなのでしょう。

この地方の炭焼き:原木を円錐形に積み上げ、草や土をかぶせ蒸し焼きにする(2011年に州内の別の場所で撮影)この地方の炭焼き:原木を円錐形に積み上げ、草や土をかぶせ蒸し焼きにする(2011年に州内の別の場所で撮影)

「2人いる男たちは畑に出ているよ。よその畑で働いてるんだ。自分の畑なんかないからね。あたしたち女は、裏山から木の実を集めたり、炭焼きをしたり、それで少しおカネを稼いでいるよ」
「生活用具はどうやって手に入れたんですか?例えば・・・調理道具とか?」
調理道具を手にしているお母さんが、「えっ、これ?」と言いながら、
「これは、親戚のを一緒に使っているのよ。お鍋なんかは隣の家から分けてもらったりね。でも、全然足りないのよ」

聞くと、この近所の数軒はここから30キロほど離れた同じ村の出身者です。元々は20年近く前の内戦時に避難民となり、この地に住み付きました。そこに、昨年からの紛争で同じ村から人々が避難してきたのです。ハディジャさんのほかに何家族も来ています。住民の数は一気に膨れ上がり、何もかも不足しているようです。

「避難してきた時に、食料や生活用品の支援を受けなかったのですか?」
そう尋ねると、みな黙っています。少し間を置いて、ハディジャさんがこう言いました。
「この村のリーダーは、私らのようなよその村から逃げてきた者には、何もしちゃくれないんだよ。だから今まで、何ひとつ受け取っていないよ」

確かに、援助団体が支援をする時には、まずは村のリーダーや運営委員会から話を聞きます。この段階で避難民の存在がリーダーから無視されていたら、援助団体は容易には情報を得られず、支援は行き届かなくなりがちです。
「私らのような小さな避難民のグループが、この辺りには幾つかあるよ」ハディジャさんは、そう付け加えました。

私たちはこの村で4月から活動をしていながら、この避難民グループの存在は見落としていました。しかし、身ひとつで故郷を追われ、ようやくこの地にたどり着いたばかりの避難民は、最も支援を必要としている人びとです。

翌週、JVCスタッフは再びムルタ村を訪れ、村全体の避難民の実情について調べることにしました。

避難民の子どもたち。ほとんどは学校に通っていない避難民の子どもたち。ほとんどは学校に通っていない

【おことわり】
現在、JVC現地代表の今井をはじめNGO外国人スタッフが南コルドファン州に入ることは、スーダン政府により制限されています。このため、2012年1月以降の「現地便り」はカドグリの状況や活動の様子を、JVCスーダン人スタッフの報告に基づき今井が執筆したものです。

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