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改良種?それとも在来種?(1)

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2012年6月26日 更新

日本人にとってコメが大切であるように、スーダンの人々にとって「ソルガム」がなくては食生活が成り立ちません。でも、読者の皆さんにとっては「ソルガムって何?」という感じではないでしょうか?

収穫後のソルガム。さまざまな品種がある。(2011年にJVC活動地にて撮影)収穫後のソルガム。さまざまな品種がある。(2011年にJVC活動地にて撮影)

日本では「モロコシ」と呼ばれる雑穀で、食用とされていた時代もあるようですが、今はほとんど家畜の飼料としてしか流通していません。
しかし、ソルガムは作付面積で世界第5位の主要穀物、アフリカでは多くの地域で栽培されています。なにせ、乾燥に強いのが特徴。年間降水量が数百ミリ以下(日本の全国平均の3分の1程度)の地域が多いスーダンでは、圧倒的な主要作物です。

農作業の合間にソルガム粉を練った「アシーダ」を食べる(2011年にJVC活動地にて撮影)農作業の合間にソルガム粉を練った「アシーダ」を食べる(2011年にJVC活動地にて撮影)

南コルドファン州は、ソルガムの穀倉地帯。カドグリのような町ではパン食(ホブスと呼ばれる丸型のパン)も一般的ですが、農村部では朝から晩までソルガムの粒を煮た「バリラ」を食べ、ソルガム粉を練り込んだ「アシーダ」を食べ、そしてソルガムから作った酒を飲みます。

このソルガム酒、村人が「これは栄養ドリンクだ」と言うように、炎天下の農作業での水分、栄養分補給には欠かせません。種まきや収穫などを共同作業で行う際には、大量のソルガム酒が用意されます。酔っぱらわないのか、という疑問もありますが、アルコール度数がビールよりも相当低いのは確かです。

ソルガム酒。プラスチック容器全盛でも、ソルガム酒はひょうたんで飲む。(2011年にJVC活動地にて撮影)ソルガム酒。プラスチック容器全盛でも、ソルガム酒はひょうたんで飲む。(2011年にJVC活動地にて撮影)

村のお祭りは、ソルガム酒がなくては始まりません。月夜の晩、ソルガム酒を酌み交わしての歌と踊りは、明け方まで続くこともあるようです。

しかし、昨年の紛争により、ソルガムをはじめとする州内の農業生産は半分に減少したとの報告もあります。直接に紛争の影響を受けた地域では、多くの住民が昨年はほとんど収穫を得ることができませんでした。JVCはそうした地域であるムルタ地区、ハジェラナル地区で、既に実施した農具、野菜種子に引き続き、ソルガムを中心とする穀物種子の配布準備に取り掛かりました。

JVCスタッフがムルタ西地区の住民リーダー、マンジャさんを訪問すると、家の軒先にはたくさんのソルガムとトウモロコシの穂が吊るしてあります。

「マンジャさん、あれは何ですか?」
「おお、あれは去年の収穫の中から、今年の種まきのために取ってあるんだよ。ああして風通しのいい軒下に干しておくと、虫もつかないし、種が悪くならない」

マンジャさん宅の軒下。奥に見える褐色の穂が「カラマッカ」マンジャさん宅の軒下。奥に見える褐色の穂が「カラマッカ」

なるほど。去年は紛争の影響で耕作ができなかったと聞いていましたが、少しは収穫があったのでしょうか?

「ははは。戦闘が始まった6月に種まきを終わらせていた畑も少しはあったからね。でも、その後、避難生活が続いて畑の世話ができなかったし、普段の年にくらべれば収穫はまるで少なかった。そこに干してある種だって、あれだけの量ではとても足りないんだよ」

確かに軒先の種はわずかな量で、それ以外には木陰や庭先にも種は見当たりません。
「だからみんな、JVCの支援はありがたいと思っているんだ」
マンジャさんは人の良さそうな笑顔で言いました。

「ところでマンジャさん、村で栽培しているソルガムの種類を教えてもらえますか?どんな品種を支援したらよいのでしょう」
「おおそうか。そこに吊り下がっている赤いやつは、カラマッカという種類だ。それとワッダハメッド。その2種類だな」

他の地区の農家にも尋ねたところ、この地域で栽培されているのは「カラマッカ」「ワッダハメッド」の2種類が中心だということが分かりました。さて、私たちはどちらを選択して配布したらよいのでしょうか。

カドグリに駐在するJVCスタッフ、ユヌスとイルアミンの二人が私との打ち合わせのため首都ハルツームに戻ってきました。このプロジェクトのために州農業省から専門家としてJVCに派遣されているムサさんも一緒です。早速、ハルツームのJVC事務所で議論が始まりました。

ワッダハメッドがいいに決まっているわ」と言うのはイルアミン。
「援助団体はみなワッダハメッドを配っているわ。生育が早いし、収穫した後にマーケットで売りやすいって聞いたわ」

それに対して、カラマッカを推薦するのがユヌス。
「いやいや、ワッダハメッドを栽培しているのは大きな農家で、ムルタのような小さな農家が多い地区ではカラマッカ栽培が多い。JVCが支援するのは小さな農家だ」

ここで農業省のムサさんがコメント。
「ワッダハメッドは10年くらい前に登場した改良種です。在来種のカラマッカにくらべて少ない雨でも生育するし、収穫量も多い。ムルタ地区の人たちは考え方が古いのでまだカラマッカを栽培していますが、早く切り替えるべきだし、JVCはそれを後押しすべきです」

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