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ジブラカと女性たち (1)

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2012年6月12日 更新

暑さのピークとなる4月が過ぎ、5月に入ると待っていたかのようにカドグリで今年最初の雨が降りました。そろそろ雨季の訪れ、耕作シーズンの始まりです。農具の配布を終えた私たちは、次の活動である野菜作り研修と種子の配布に向けて、住民との話し合いのためにムルタ南地区を訪問しました。

カドグリから北に延びる幹線道路の東側、丘陵地のふもとに広がるムルタ南地区。中心には小学校と共同井戸があり、そのまわりに土壁、草ぶきの家々がまばらに続いています。家と家との間に広がる空き地は、畑でしょうか。

話し合いが始まるまでに少し時間があったので、近くの農家を訪ねてみました。
「こんにちは、JVCといいます。誰かいらっしゃいますか?」
「はいよ、ここにいるよ。そのまま中に入ってきなよ」
JVCスタッフが垣根の入口から庭に入っていくと、声の主は忙しそうに働いていました。小さな苗木に水をやっているようです。

柵の中で育つマンゴーの苗木柵の中で育つマンゴーの苗木

「これはマンゴーの木。大切に育ててやると、あとでたくさん実がなるよ」
見渡すと、庭にはたくさんの苗木が、ヤギなどの家畜に葉を食べられないように柵で囲われて育てられています。
「ほら、こっちにきて座りなよ」
水やりの手を止めて、私たちに椅子を勧めてくれたその女性、アシャさんは、見るからに働き者という感じです。

「お忙しそうですね」
「女はいつでも忙しいのさ。水汲み、炊事、洗濯・・それに、畑仕事もあるしね」
「畑仕事も女ですか?男は何をしてるんですか?」
と尋ねるJVCスタッフに、アシャさんは笑いながら
「もちろん男だって働くよ。とくに、家から遠くにある大きな畑は男たちの担当だね。でも、家の近くのジブラカは女が世話をするのさ」
「ジブラカ?」

家の脇のジブラカ家の脇のジブラカ

この地方では、人々は往々にして家から離れた場所に広い畑を持っています。歩いて行ける場合もあれば、ある時には10キロも離れていて、農繁期には男たちは畑の小屋に泊まり込んで作業を行います。そこでは、主食穀物のソルガムを中心に、ゴマ、落花生などが栽培されます。一方、家の周りには必ず小さな畑があり、この地方で「ジブラカ」と呼ばれています。こちらは女性の担当です。

傾斜地にあるジブラカは、石組みの段々畑で保水し、土砂の流出を防いでいる傾斜地にあるジブラカは、石組みの段々畑で保水し、土砂の流出を防いでいる

「ジブラカでは、どんな作物を育てるのですか?」
「そうだねえ、トウモロコシ、ササゲ豆、オクラ、ナス、トマト、カボチャ、玉ネギ・・」
「そんなにたくさん・・」
「そうだよ。ジブラカはね、色々なものが採れるし、大きな畑よりも早く収穫ができて、食べ物に困っている年はホントに助かるよ。それに、野菜は市場で売っておカネになるしね」
「市場って、カドグリの町の市場ですか?」
「違うよ」

そう言ってアシャさんが指さしたのは、幹線道路の反対側です。そこには家畜用の給水所があり、ウシやヤギ、ラクダを連れた人たちが遠くから集まってきます。その人たちを目当てに小さな市場ができ、村の人たちも買い物にきます。

「野菜だけじゃなくて果物も売れるね。そうそう、以前は毎日タマゴも売ったんだよ」
「タマゴ?ニワトリを飼っていたんですか?」
「援助団体が配ってくれて20羽くらい飼っていたね。毎日タマゴを売って、そのお金でヤギを13頭買ったんだよ」
「13頭も!」

これには驚きました。苗木づくり、野菜栽培、そして養鶏。何をやってもアシャさんは熱心でやりくり上手なようです。でも、13頭のヤギは今どこにいるのでしょう?

「去年の事件のあと、みんないなくなってしまったよ」
去年の事件とは、昨年6月の戦闘のことです。この地区からもほぼ全員が避難し、戻った時には家畜は残っていませんでした。
「色んなものがなくなってしまったよ。またやり直しだね」

そのあとも、アシャさんはトマトの苗床の作り方と畑への移植方法、収穫時期の見極め方など、色々なことを教えてくれました。JVCスタッフも感心するばかりです。
さて、そろそろ話し合いの時刻になりました。アシャさんにお礼を言って、会場である小学校に向かいます。

【おことわり】
現在、JVC現地代表の今井をはじめNGO外国人スタッフが南コルドファン州に入ることは、スーダン政府により制限されています。このため、2012年1月以降の「現地便り」はカドグリの状況や活動の様子を、JVCスーダン人スタッフの報告に基づき今井が執筆したものです。

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