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農具の配布

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2012年6月 1日 更新

4月下旬、私たちはハジェラナル地区、ムルタ地区での農具配布の準備を進めていました。配布は、4種類の農具をひとつのセットとして行います。

耕作前の畑の掃除に使う「ケレン」は日本で言うなら熊手、畑を耕す「ウム・タバブ」は小型のクワ、「ジャラヤ」はシャベル。「ミンジ」は刈取りや雑草取りに使う鎌です。

ムルタ地区での配布。手前左の農具が「ミンジ」右が「ジャラヤ」ムルタ地区での配布。手前左の農具が「ミンジ」右が「ジャラヤ」

こうした農具の名称はいずれも南コルドファン地方独特のものだそうです。その地方で長く使われてきた農具なのでしょう。配布数は合計650セット。小さな個人商店しかないカドグリの町で、それだけの数が調達できるのでしょうか?

ウム・タバブは木の根を除去したり土を起こすのに使うウム・タバブは木の根を除去したり土を起こすのに使う

「3日だけ待ってくれよ」何軒かの店を訪ね歩いたJVCスタッフのユヌスに、ある商店主が言いました。「そうか、3日ならいいぞ。どこから仕入れるんだ?」「仕入れるんじゃないよ。ここで作るんだ」その店は鍛冶屋だったのです。奥ではふいごで起こされた真っ赤な火が燃えています。地元で何でも作れてしまうことは、私たちにはちょっとした驚きでした。

配布対象となる650世帯は、両地区のリーダーと話し合い、避難民の家族、女性と子どもだけの家族などを優先して選んでもらいました。

準備は順調に進んでいましたが、いざ配布が目前に迫った4月24日。知り合いの地元NGOの代表から私に電話がありました。
「JVCが農具を配るという話を聞いたが、このタイミングで配布するのは早すぎる。雨が降って種まきを始める6月まで待った方がよい。いま配ったら、翌日には目先の現金欲しさにみんな受け取った農具を市場に持って行って売ってしまうぞ」

彼のNGOは2、3年前、農具を配布したところ住民がほとんど売り払ってしまったそうです。その経験に基づくアドバイスでした。私は、JVCスタッフにどう考えるか尋ねました。
「いや、今配らなければ意味がない。農具は種まきの前日に届けばいいというものじゃない。畑の準備はもう始まっているんだ」
「今回配布する農具4点セットは、市場で売り払ったところで大した収入にはならないし、そもそも農具1個単位で買い取ってくれる商店があるかどうかも分からないわ。市場なんかに持っていくより、みんな畑仕事を始めると思うわ」

「グッドアイデアがある」と弾んだ声で言うのはユヌス。
「農具を配る時に『もし農具を売ってしまったら、その人には種子は配布しません』と説明するんだ。そして種子を配る時には、配布した農具を持ってきてもらってチェックすればいい」
今回の活動では農具に続いて種子を配布するので、それをネタに脅しをかけようという目論見です。この案には私は笑ってしまいましたが、それはともかく、スタッフの結論としては配布を決行することになりました。

4月25日から5日間にわたる配布が始まりました。配布場所には集まってきた住民は、女性が多いようです。名簿にある名前を確認しながら農具を受け取っていきます。

受け取り時には拇印を押してチェック。後ろで見守るのは地区住民のリーダー受け取り時には拇印を押してチェック。後ろで見守るのは地区住民のリーダー

「農具」といっても、配布するのは先端の金属部分だけで、適当な長さと形の木の枝や根を見つけて「柄」を取り付けるのは各農家の作業です。

配布された農具で土を掘って「品質確認」をする人も配布された農具で土を掘って「品質確認」をする人も

さて、配布は無事に終了しましたが、受け取った農家は農具を使っているのでしょうか。それとも?
JVCスタッフは様子を見にムルタ地区を訪問してみました。

草ぶきの家の脇で、赤いケレン(熊手)を使って畑に散らばった枯れ草を集めている女性を見つけました。

ケレンで家の脇の畑の掃除をしていた女性ケレンで家の脇の畑の掃除をしていた女性

私たちが数日前に配布したケレンです。金属部分には長い木製の柄が取り付けられ、作業がしやすくなっています。「この柄をどうやって作ったんですか?」「あっちの森の中に行って、ちょうどよい長さや形の枝を探してくるのよ」そう答えた女性は、私たちに柄のついたジャラヤ(シャベル)も見せてくれました。

木の枝の柄を取り付けたケレン木の枝の柄を取り付けたケレン

村を歩くと、あちこちで白い煙が上がっています。畑で集めた枯草を燃やしているのです。この白い煙が幾筋にも立ち昇って行くと、耕作シーズンの始まりはもう間近です。

畑では枯草を集めて燃やしていた畑では枯草を集めて燃やしていた

【おことわり】
現在、JVC現地代表の今井をはじめNGO外国人スタッフが南コルドファン州に入ることは、スーダン政府により制限されています。このため、2012年1月以降の「現地便り」はカドグリの状況や活動の様子を、JVCスーダン人スタッフの報告に基づき今井が執筆したものです。

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