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象のケンカと足元の草

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2012年5月22日 更新

前々回の「現地便り」でお知らせした南北スーダン、正確に言うなら「南スーダン」と「スーダン」との軍事衝突は、国境を越えてヘグリグ油田地帯を占拠した南スーダン軍が4月下旬に撤退をしました。
南スーダン政府は「自主的に撤退」と発表しましたが、スーダン政府側は「わが軍の大勝利」と宣言、その日、首都ハルツームはまるでお祭り騒ぎでした。道行くクルマはクラクションを鳴らし、スーダン国旗を掲げる人々が街頭に出て歓声を上げる、こんな光景を見るのは初めて・・ではなく、実はこの光景、地元のサッカーチームが大きな試合に勝った時と少し似ていました。しかし、戦争はサッカーの試合とはわけが違います。

「みんな、新聞やテレビのニュースに踊らされていて、本当のことがよく分かっていない」と言うのは、私の友人で、大学院で勉強しているスーダン人。「最近あちこちで、家族の誰かが兵士としてヘグリグに送られたまま帰らぬ人になった、という話を聞く」と言う彼。
「戦闘で優勢なのが北なのか南なのか、どちらの発表も信用できないし、誰にも分からない。でもひとつだけ間違いないのは、多くの犠牲者が出ているということ」彼はそう言って、多数派ではないにせよ、そう気づいている人も決して少なくはない、と教えてくれました。

ハルツームのお祭り騒ぎをよそに、南スーダンの様子はどうなのでしょうか?一部の地域では、政府が撤退を決めたことに対する抗議のデモが起きているという報道もあります。首都ジュバに住むフォエベさんに電話をしてみました。彼女は元JVC整備工場のスタッフで、JVCの後を引き継いで現地の団体が運営する同じ工場で今も働いています。
「あら、久し振りね。ハルツームでは元気でやってるの?」と相変わらずの声が返ってきました。「ジュバの様子・・いつもと同じよ。ヘグリグ?ああ、兵隊がたくさん死んじゃったから撤退したのよ」なんともまあ、現実感のある回答。「でも、石油の値段が上がっちゃって大変よ。今はもう、ディーゼルが1リットル6ポンド」

内陸国である南スーダンが産出する石油は、スーダン国内を走るパイプラインを通じて港まで運ばれ、輸出されます。昨年の南スーダン独立以降、このパイプラインの使用料を巡って両国は対立、ついに南スーダンは石油生産を停止。その後、ヘグリグでの軍事衝突が起きました。石油生産は停止したまま、経済状態は悪化し物価は吊り上がるばかりです。

最近の整備工場。顧客は南スーダン政府が中心だが、石油生産停止による政府の財政緊縮策により、ここにも影響が・・ 最近の整備工場。顧客は南スーダン政府が中心だが、石油生産停止による政府の財政緊縮策により、ここにも影響が・・

それにしても、私がジュバにいた頃はディーゼルの価格は2.0~2.5ポンドでした。3倍近い値上がりです。整備工場の工場長、サイモンさんも電話口で嘆いていました。「値段が高いだけでなく、品不足で手に入らない。
仕方なく、整備工場でも仕事が少ない日には発電機を止めているんだ」元々、公共の電力供給が貧弱なジュバでは多くの家庭やビジネスが発電機に頼っていましたが、停電に追い込まれているところも少なくないようです。

5月2日、国連の安全保障理事会は、両国に即時の停戦と、パイプライン使用料などの諸問題を交渉で解決するように求める決議を全会一致で採択しました。両国政府とも、基本的にはこれを「受け入れる」としたものの、その後も相手を非難するキャンペーンや新たな徴兵活動は続いています。

「象がケンカすると、その足元に生えている草はどうなる?」サイモンさんが言っていました。「象はケンカに夢中で、足元の草のことなんか気にもしていない。でも、いつも滅茶苦茶にされるのは俺たち庶民なんだ」

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