アジア・中東・アフリカで活動する国際協力NGOです。
  • JVC facebook
  • JVC twitter
  • イベントメルマガ配信中
  • 文字サイズ:大きく
  • 文字サイズ:中くらいに
  • 文字サイズ:小さく
JVC English website

ハジェラナル、戻ってきた人びと

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2012年5月11日 更新

ハジェラナル地区の様子

カドグリの町の西北、山裾に緑の帯が広がっています。マンゴー、レモン、グアバの木々。乾季にも枯れない井戸と、豊かな土壌。ハジェラナルは、そんな地域です。「でも、あの時の戦闘で、何もかも変わってしまいました」そう話してくれたのはこの地区の世話役のひとり、アブドラさんです。JVCは、ハジェラナル男子小学校への支援のあと、地区の状況をもっと知るためにアブドラさんを訪ねたのでした。「ここはカドグリの中でも最も大きな被害を受けた地区です。私の家も破壊されました」

破壊され、そのまま放置された家も少なくない破壊され、そのまま放置された家も少なくない

昨年6月6日にカドグリ市内で始まった戦闘は、市の中心部を制した政府軍と郊外の丘陵地に陣取る反政府軍とがハジェラナルで激しい攻防を展開。住民はすべて、家財道具を持ち出す余裕もなく家を追われました。

幹線道路沿いに北に向かって逃げ場を求めた人々は、屋外で雨ざらしになりながら2週間を過ごし、戦闘が収束したハジェラナルに戻ってきました。しかし人々を待っていたのは、破壊され、略奪を受けた家々。人々は仕方なく、カドグリ周辺の他の地区に住む親戚宅に身を寄せることになります。「同じカドグリの中で避難民になってしまったんですよ」と笑うアブドラさん。それでも、時間の経過とともに住民は少しずつハジェラナルに戻り、荒らされた家の片付けや修復を始めました。「やっぱり自分たちの土地ですから。みんな戻りたかったんです」

暮らしを建てなおす

アブドラさんのお宅でお話をうかがう。右手にあるのは大きなバオバブの木アブドラさんのお宅でお話をうかがう。右手にあるのは大きなバオバブの木

でも、問題はどうやって暮らしの糧を得るかです。「私は小学校の教師をしているので、幸いにも元の職場に戻ることができました。でも、ハジェラナルの多くの人々は畑仕事で生計を立てています。戦闘が始まった6月は、1年で最も大切な種まきの時期。ほとんどの農家は、昨年は何の収穫も得られませんでした」

それに加えて、風評被害もありました。ハジェラナルに戻ってから野菜を作った農家もありましたが、「ハジェラナルは戦闘で死体だらけになり、農作物も汚染されている」という根拠のないウワサが広がり、市場で売るのも苦労したと言います。「ところで、農家の人は家畜を持っているのですか?」JVCスタッフが尋ねると、「ヤギやヒツジを何頭か持っている人が多かったですね。でも、戦闘の後はいなくなってしまいました」「盗まれたのですか?」「たぶん、食べられてしまったんだと思いますよ。兵士はお腹が空いているのでね」アブドラさんは笑って言いました。

「兵士は今でもあちこちに駐留しています。以前なら森に入って木の実や薪を集めれば貴重な収入源になりましたが、今は兵士がいるので女性がひとりで行く訳にもいきません。なるべくグループで行くようにはしているのですが・・何をするにも前のようにはいかないのです」結果的に、住民はカドグリ市内で日雇いの仕事を見つけるくらいしか生計手段がなくなってしまったのだそうです。男性は力仕事、女性は家の掃除、洗濯など。「毎朝、みなカドグリに出掛けていくんですよ。でも仕事にありつけるかどうかは誰も分かりません」

お茶に誘ってくれた女性たちお茶に誘ってくれた女性たち

アブドラさんにお礼を言って別れた後、JVCスタッフは近所の女性たちにお茶に誘われました。「ハジェラナルにようこそ。でも、何しに来たの?」JVCスタッフは、アブドラさんから聞いた話を女性たちに伝えました。

「そうね、本当だったらこれからが種まきで忙しくなるシーズンよ。みんな家の周りに小さな畑を持っていて、私たち女が世話をしているの。色んな作物が採れるのよ。トウモロコシ、ササゲ豆、ウリ、オクラ、それにトマトも。遠くの大きな畑ではソルガムや落花生を作るんだけど、小さな畑の方が早く収穫できてすぐに食べられるわ」ジャバナ(コーヒー)を飲んでいた女性は自慢げに教えてくれました。「いつもは前の年の収穫から翌年の種を保存しておくんだけど、去年は収穫がなかったから、今年は困っているの。種さえ手に入れば、すぐに始められるのに・・・あっ、それと畑仕事の道具を失くしてしまった人も多いのよ。ジャラヤ(シャベル)とか、ウムタバブ(クワ)とか・・」

土手の手前の小さな畑土手の手前の小さな畑

彼女たちにお願いして、畑に案内してもらいました。そこは集落の外れで、目の前には土手があります。「この土手の向こうは雨季になると川になるの。遠くに見える林はマンゴーの果樹園で、持ち主は町に住んでいるお金持ち。土手の手前が、私たちの畑よ。今はただ茶色の地面だけどね」

紛争勃発からもうすぐ1年。いま、南コルドファン州は深刻な食料不足に襲われ、人々は支援に頼らざるを得ません。しかし本来であればここは地味豊か、天水で農業ができる恵まれた地域です。それぞれの土地に戻った人々が雨季に向けて耕作を始めることができれば、再び自分たちの力で生活を営んでいく可能性が広がります。茶色の地面が緑のじゅうたんに変わることを願って、私たちは農具と種子の支援を始めることにしました。

【おことわり】
現在、JVC現地代表の今井をはじめNGO外国人スタッフが南コルドファン州に入ることは、スーダン政府により制限されています。このため、2012年1月以降の「現地便り」はカドグリの状況や活動の様子を、JVCスーダン人スタッフの報告に基づき今井が執筆したものです。

団体案内
JVCの取り組み
11ヵ国での活動
イベント/お知らせ
現地ブログ
あなたにできること
その他
特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター
〒110-8605 東京都台東区上野5-3-4 クリエイティブOne秋葉原ビル6F 【地図】
TEL:03-3834-2388 FAX:03-3835-0519 E-mail:info@ngo-jvc.net