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学校と村の暮らし

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2010年10月12日 更新

紛争や「人道危機」、飢餓や貧困といった話題に事欠かないスーダン。この国で欧米や日本の援助関係者と話をしていると、少なからぬ人が、いかにスーダン人が無教育で人権意識に欠けているかを話し始め、「だからスーダンは紛争や貧困が蔓延する状態からいつまでも抜け出せないのだ」と結論付けるのに出会います。先日、南コルドファン州で会ったある国連関係者は、「そんな彼らに教育を与え啓発するために我々は活動しているのだ」と自信たっぷりに語っていました。しかし、「教化された」先進国の人間が持ち込む「教育」とか「人権啓発」が、現地の人々にとってそんなにありがたいものなのか、少し注意深く考える必要があるように思います。

日本に一時帰国した時のこと。他のNGOで働く友人に久しぶりに会うと、彼はふと「教育支援って、そんなに良いものかな?」と言い始めました。おやおや、彼自身も教育関連の活動にかかわっているのに、なぜ?と尋ねると、「教育って、基本的に町に出て働くためのものだよね。村では本当に役に立つのかな?」

確かに歴史的に見ても、西欧型教育システムは国家の近代化、工業化すなわち都市化のために作られたと言えます。近代化以前、日本の寺子屋教育だって、農家の次男三男に読み書きを教えるとか「農業以外の職」を意識していたと言えるでしょう。

南部スーダンで私たちが実施した職業訓練で、研修生たちはみな農村出身の若者でした。彼らは内戦を逃れて国境を越え、難民キャンプに設置された小中学校、運が良ければ国連機関の支援で高校にも通いました。しかしその結果、内戦が終結して故郷に戻った時には「自分たちは教育を受けたのだから農作業なんてやってられるか!」と言って都市に出てきてしまったのです。彼らに教育機会を与えた国連の意図が善意に満ちたものであったことは疑いようもありませんが、結果として、多くの若者が村には帰還せず都市に流入してきたのです。しかも、食うに困って町に出てきたわけではありません。逆に、村は人手不足なのです。

日本の農村でも、子供たちの教育に一生懸命カネをかけた結果、みんな出て行って過疎化が進んでしまったという話を聞きます。

「じゃあ教育は必要ないっていうのか」というお叱りの声が飛んできそうです。

「教育は大切です」と言えば誰も反対のしようがなく、じゃあ学校を建設しましょう、教科書を配りましょう、という話になります。でもそれだけでなく、教育の中身はどうなのか?

いったい「村の暮らしを豊かにする教育」とはどんなものなのでしょうか。もっと、村の良さ、村に伝わる文化や技術、生活の知恵を学んでみてはどうでしょう。村の言葉も大切かも知れません。内戦による社会的混乱や長期の避難生活の中で、彼ら固有の言語は急速に消えつつあります。「近代的」教育システムに追随せず、スーダンの村にはそれにふさわしい教育があってよいのではないでしょうか。

村にある生活の知恵。小学校6年生のベティちゃんは「風邪をひいたときにはね、この木の葉を食べると効くのよ」と教えてくれた(活動地のひとつ、メレ村にて) 村にある生活の知恵。小学校6年生のベティちゃんは「風邪をひいたときにはね、この木の葉を食べると効くのよ」と教えてくれた(活動地のひとつ、メレ村にて)

私たちの活動地、ウドゥ村。小学校の終業式の挨拶でウムダ(村の伝統的リーダー)が「子供たちに教育を受けさせよう。ヤギの世話や家の手伝いばかりさせて学校にやらないようではダメだ」と村人に訴えていました。学校の先生によれば、高学年になるほど生徒数が減っていくそうです。

ウムダが指摘する通り、学校なんかに行かせても時間のムダで、ヤギの世話や水汲みなど家の手伝いをさせたほうがよい、と考える村人が多いのは事実なのでしょう。

別の村人は、小学校の高学年になると町に家事手伝いなどの「出稼ぎ」に出してしまう親も少なくないと言います。

またある村人は「学校の校舎がボロボロだから子供たちがイヤになってしまうんだ」と私に言ってきました。本当かなあ?外国人の私に校舎を新築して欲しいと思って言っているのかな?

家の手伝い、出稼ぎ、貧相な校舎、「学校は時間のムダ」、子供たちが学校に通わない理由はひとつだけではなさそうです。私たちの事業は教育プロジェクトではありませんが、教育はやはり村にとっての一大事。「村の暮らしを豊かにする教育」とは何なのか、そんなことも村人と一緒に考えてみたいと思います。

ボロボロ(?)の校舎ではしゃぐ生徒(ウドゥ村)ボロボロ(?)の校舎ではしゃぐ生徒(ウドゥ村)

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