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2014年1月 7日 【 在宅介護活動

在宅介護活動 ~一年間の振り返り 家庭訪問から見えてきたこと~

南アフリカ事業担当 渡辺 直子
2014年1月 7日 更新

JVCは現在活動をしているリンポポ州ベンベ郡マカド地区において、昨年9月から本格的に活動を開始しました。それから一年が経ったということで、11月18日から村で訪問・在宅介護を行うボランティアさんたちと活動の振り返りを行いました。JVCはボランティア育成として、エイズ治療や救急法に関する研修を提供していますがその成果や現状における課題を抽出し、今後の教訓を得ることが目的です。このため振り返りは、

午前:ボランティアさんたちの患者宅の訪問介護に同行
午後:一緒に年間を振り返るためのワークショップ

という形で行いました。

在宅介護ボランティアさんたちはいつも炎天下のなかを延々と歩きます。頭が下がります。在宅介護ボランティアさんたちはいつも炎天下のなかを延々と歩きます。頭が下がります。

LMCCはコミュニティ・ケアを活動の主軸としているので、家庭訪問ではHIVに感染した患者さんだけではなく、高血圧や糖尿病、精神疾患やてんかんの方など様々な症状をもった方のご自宅を訪問します。精神疾患をもったお子さんがいる家庭ではお母さんたちの相談に乗り、問題があればボランティアたちがそれを説明するための手紙を書き病院に紹介したり、年金手続きがうまくいかずお金がもらえず生活に困っている高齢者のためにソーシャルワーカーと協力して問題解決したりと、患者さんとその家族に対して病気への対応に加えて生活面から支えることで地域で信頼され、活躍している様子が見られました。糖尿病で足を切断した方の日常的な傷の手当を担う場面では、救急法研修で学んだことが活かされている様子も確認されました。

病院への紹介状を書く在宅介護ボランティアのマーガレットさん病院への紹介状を書く在宅介護ボランティアのマーガレットさん

これらの患者さんの中にはHIV陽性者として訪問を受けている方もいれば、他の症状で訪問を受けているものの一方でHIVの感染を隠している人もいます。ボランティアたちの中には研修後に薬の種類を見分けられるようになったことで、そのことに気づくようになったという人もいました。また現在、南アフリカではARVと言われるHIVウィルスの増殖を抑えることでエイズ発症を抑える(遅らせる)薬が公立の医療機関で無料支給されていますが、医療機関によっては薬を切らしていることも少なくありません。今回も「先日病院にいったら医者に今薬がないから一ヶ月後に戻ってくるようにいわれた」という患者さんがいました。この患者さんに対しては、ボランティアが別の医療機関への紹介状を書き、一ヶ月待つと体にとって危険なため、別の病院へ行くことを勧めている場面もありました。結核患者さんの服薬をサポートして今ではすっかり元気になっている方もいます。こうしたことも研修で学んだことが活かされた成果です。

一方で、家庭訪問からはHIV/エイズが社会問題と密接につながっている厳しい現実も垣間見られました。南アフリカにおいてARVの支給率は2009年には必要とする人の64%に達し、その後年々微増しています。しかし私たちは今回の家庭訪問では様々な理由で服薬に失敗している人と会いました。ある人は家に食べものが一切なく、服薬できない日が続いていました。ARVは副作用が強く、必ず食べてから服薬することが求められているのです。ある人は村外にしかないクリニックへの交通費がなく、歩いて行こうとしましたがじゅうぶんな体力がなくて道中倒れてしまいました。在宅介護の活動ではこうした方々のご自宅にうかがうのですが、実際、今回私たちもキッチンにいっさい食べものがない様子を幾度か目にしました。

患者さんがきちんと薬を飲んでいるかチェックするのも大切な仕事です。患者さんがきちんと薬を飲んでいるかチェックするのも大切な仕事です。

ARVは一度飲み始めたら一生、決められた時間に毎日服薬することが必須です。薬をやめると抗体ができ、薬が効かなくなるからです。そして薬が効かないということは死にいたる可能性を意味します。制度や仕組みの上ではARVにアクセスできるようになってきているのに、お金が、食べものがないがためにこの薬を飲めない人たち、そのために命を落とす人たちがいるのが南アフリカの現実なのです。

JVCとしてはボランティアや地域住民たちに家庭菜園研修を提供することで食べものを得られるようにするための活動を行っています。しかしまだ一年目で食べものがない家庭をまんべんなくカバー、サポートできるような成果は出ていません。こうした中、ボランティアさんたちが出来る範囲で食べものを調達してサポートしたり、ソーシャルワーカーとつないで食料支援パッケージを届けたりすることでなんとかしのいでいる状況です。南アフリカ政府の方針としては、「すでにARVが普及し始めているし、地域のケアボランティアの存在は以前ほど大きくないのではないか」という方向に流れ始めていますが、これはあまりにも現実を見ていない政策だといえます(州の保健省の在宅介護ボランティアプログラム担当の方にこのお話をしたことがありますが、ピンときていない様子でした...)。失業率が高いまま物価だけ上昇し続け、貧困にあえぐ方々の生活が厳しくなる一方の現在において、地域の実情を知る彼女たちの存在は逆にますます大きくなっているのではないかと、現地で活動する日々のなかで実感します。

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