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2013年12月11日

葬儀の日の雨

南アフリカHIV/エイズプロジェクトマネージャー 冨田 沓子
2013年12月11日 更新
マンデラ元大統領の記事が並ぶ、新聞各紙マンデラ元大統領の記事が並ぶ、新聞各紙

アフリカでは、葬儀の日に雨が降るのは、神が死者を天国に迎えに来た、と考えるそうです。

昨日、ネルソン・マンデラ氏のメモリアル・サービス、追悼式典が2010年ワールドカップのメインスタジアムとなったソウェトのFNBスタジアムで行われました。式典がはじまる予定の午前11時には、ジョバーグは土砂降り。この夏の時期、天候が不安定とはいえジョバーグでは夕立が多く、午前中に大雨となるのは珍しいことです。マディバ(マンデラ氏の愛称)を迎えに来た雨の中、スタジアムは朝7時のニュースが流れたころから、南アフリカの旗を身にまとった人びとで賑わっていました。

スタジアムに集まる人を見て印象的だったのが、多くが若い人たちだったことです。南アフリカは来年で民主化20周年を迎えます。マンデラさんが投獄されていた27年間を含めアパルトヘイト政権と闘った年数のほうが民主化後の期間より圧倒的に長いのに、人びとにとってマンデラさんはあくまで も新生南アフリカの象徴であり、辛い闘いや過去への憎しみを背負った人ではないのです。民主化後の記憶しかないであろう若者がマンデラさんをとても近い存在として親っているのを見ると、過去を許し、和解、新しい国創りにチカラを入れ、常に前を向いて進んできたマンデラさんの残した軌跡が南アフリカの人びとの心に刻まれていることが鮮明に見えてきました。

執り行われたメモリアル・サービスは、世界中90ヵ国以上から大統領クラスの代表団が訪れるという、南アフリカの歴史上最大のイベント。商店など営業を休んだところもあった中、JVCの事務所は通常通り開けながらも、スタッフ数人でテレビで式典を観ることにしました。会場入りする人たちを みながら、JVCスタッフに、日本からは皇太子が出席するよ。日本の皇族が他国の王室関係者以外の葬儀に出席するのは初めてなんだよ、と説明する と、「マンデラもロイヤル・ファミリーの出身だよ」と。確かに、マンデラさんは村の首長の息子なので、彼らの文化では「王族」の人。なるほど、の反応です。

マンデラさんにお別れを告げるための式典ですが、JVCスタッフを含め南アフリカ人の多くの関心はオバマ米国大統領の演説のよう。式典中にゲスト席にカメラが回り、スタジアムのスクリーンにオバマ大統領が映し出されるたびに大歓声があがります。あまりの歓声の大きさにスピーチを妨げてしま うこともあり、オバマ大統領も小さく手を振り苦笑い。同時に、南ア現大統領のズマ氏が映るとブーイングが。ジンバブエの大統領ムガベ氏が映ると歓声が、といった始末。南アらしく、明るく歌や踊りの絶えない式典は良いとしても、少しマナーに欠けると、さすがに司会者が注意する場面などもあり ました。オバマ大統領のスピーチが終わり、BRICSを代表してブラジル大統領が、そしてアパルトヘイトとの闘いを支えた国の一つであるキューバ からラウル・カストロ議長が追悼の演説をはじめるころには、スタジアムから人が帰りだすなど、少々見苦しいシーンもありました。

1時間遅れて始まり、4時間以上にわたった式典。これだけ世界中からさまざまな人を引き寄せる魅力をもった人は今後現れないのではないか?と思わせるほど、多彩な顔ぶれの式典でした。オバマ大統領がカストロ議長と握手、アメリカ政府の盗聴問題で訪米を中止したブラジル大統領とキスを交わすシーンもあり、政治の壁を越えた出来事も。Unity=調和を象徴した、マンデラさんの人生を反映させていたのかもしれません。

ところで、式典に出席した元英国首相ジョン・メジャー氏がインタビューに応え、アパルトヘイト政権への経済制裁を英国が行わなかったことは誤ちだったと考えるか?と聞かれ、「(歴史を振り返れば、)誤ちだったことは明白」と答えたそうです。日本政府も、アパルトヘイト政権とは国交を続け、国際的な経済制裁には参加しませんでした。同じ質問を日本の政治家にしたら、なんと答えるのか。歴史を過去の時点だけではなく、現在の視点から見つめ直し、自らの判断と行動を正すのは前進していく上で必要な行程。この機会に、私たち自身も同じ問いに答える準備が必要なのではと感じました。

今後マンデラさんの遺体はプレトリアに安置され、一般公開されます。その後日曜日には故郷クヌで埋葬が予定され、全国各地にパブリックビューイングが設けられるそうです。今日は、南アフリカ全土が雨の予報。まだまだ、マンデラ氏の死を偲ぶ日々が続きます。

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