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2013年11月27日

救急法研修~村の人たちの役に立ちたい!~

南アフリカ事業担当 渡辺 直子
2013年12月10日 更新
人工呼吸の方法。まずは講師がお手本を見せます。人工呼吸の方法。まずは講師がお手本を見せます。

10月22~24日の3日間、在宅介護ボランティア41名を対象に救急法の研修を行いました。JVCの活動は在宅介護ボランティアの活動強化などを通じた「HIV/エイズ陽性者支援事業」となっています。ボランティアたちはHIV陽性者に対してはARVの服薬をサポートしたり、潜在的な感染者への予防啓発などを行っていますが、日常的にはHIV感染の有無の分け隔てなく村の中の患者さん宅を訪問してケアを提供しています。村の中で信頼を得るためには患者のケアに必要なさまざまな知識を得ておくことが必要ですが、ボランティアたちは医療的なバックグラウンドをもたない、村の、普通の「おかーちゃん」たちです。にもかかわらず緊急事態が起きたときには真夜中であれ村のチーフ(首長)に呼ばれてサポートをお願いされることもあります。このため、こうした状況にも対応できるように最低限の知識を得ておきたいとボランティアたちからリクエストがあがっており、私たちもそれは必要だろうということで今回の研修にいたりました。

    当日カバーされた内容は、

  • 救急法の原則
  • 心肺蘇生法(大人、妊婦、子ども)
  • 怪我や骨折時の包帯の巻き方
  • のどに物がつまったときの対処法
  • やけどの種類と対処法
  • てんかんの対処法(南アの村ではなぜか癲癇もちの方が多くいらっしゃいます)
  • 喘息
  • おぼれたときの対処法
  • へび、犬などの動物にかまれたら
  • 蜂にさされたら
  • 対処時のHIV感染予防

などなどです。これら以外にも実に多くのトピックについて触れられました。研修は救急法ということで座学よりも実践を中心にして行われました。講師がやると簡単そうに見えるのに、実際にやってみると非常に難しく、みんな始めはどうしたらいいかわかりません。特に人形を使っての人工呼吸は息がスカスカ漏れてしまって胸を膨らませられない人が続出。心臓マッサージも「それじゃ骨が折れるでしょう」というくらい力強い人や逆にひじがまがって全く力が入っていない人もいます。それでも何度かやっているうちに体得し、最後はみんな基本的な知識と技が身についたようです。

心臓マッサージはちゃんと肘を伸ばして。心臓マッサージはちゃんと肘を伸ばして。
のどに何か詰まったら、まず前かがみにさせて背中の上のほうをバンバンたたきます。詰まったものは出てくるかな?のどに何か詰まったら、まず前かがみにさせて背中の上のほうをバンバンたたきます。詰まったものは出てくるかな?

実践を交えての研修なので、今回は他の研修よりもなおさら様々なエピソードが紹介されました。これらを聞いていると、中には笑ってしまうものも多くありますが、どう考えても症状を悪化させるだけではないのか・・とツッコミたくなるものもいろいろとありました。

骨折した人の包帯、サポートのつけ方は?アフリカの女性がよく使う、身近にある布でも応急処置ができます。骨折した人の包帯、サポートのつけ方は?アフリカの女性がよく使う、身近にある布でも応急処置ができます。
一人ひとり実演試験中。講師に採点されて緊張が走ります。一人ひとり実演試験中。講師に採点されて緊張が走ります。

たとえば、
講師「やけどをしたらどうする?」
ボランティアA「靴墨を塗る!」(絶対傷が悪化するんじゃないのか?)
ボランティアB「私は昔母親に砂を塗られたわ!」(やけどに砂ってとっても痛そうだけど・・)
講師「どれも違います。まずはきれいな水あるいはビニール袋に入れた氷をあてて冷やすこと。それからは自分で手当てせようとせずにクリニックか病院にいくこと。今後は絶対に靴墨を塗らないように!!」

講師「犬に噛まれたらどうしたらいいと思う?」
ボランティアC「昔はその犬の毛を切って傷口に当てると治るって言われていたわ」
ボランティア多数「そうそう!昔はそうしてた。これがまた犬の毛がごわごわして痛いのよね!」
ボランティアC「だけど実際自分が噛まれてお母さんにやってもらったらもっとひどくなったけど・・・」
講師「それは症状を悪化させるだけだから絶対にやってはいけません!!!まず水で傷口をきれいに洗って、すぐにクリニックか病院に行くようにしてください」

犬の毛?!びっくり仰天な方法の連続ですが、何よりも大切なのは、そう、救急法とは自分で全てを対処するのではなくて、あくまでも救急車が到着したり、病院にいく前に症状を悪化させないように緊急的に対処するもの。無理してなんとかしようとしてはいけないのです。

しかし・・南アの農村の場合はここでひとつ問題があります。研修中、講師が繰り返し「ここでまず救急車を呼ぶように」と伝えていましたが、どうにも納得できない顔をしたボランティアたちの一人がついに言います。

「救急車なんて、呼んでから2時間経っても3時間経っても来たためしがないわ!こういうときはどうしたらいいの?呼んでも無駄なだけじゃない?!」
「・・・・・」

これには講師も我々としても困ってしまいましたが、それでも村の人たちは、車を出して病院に連れていってくれる人を見つけるなど、日々地域で助け合いながらたくましく対処しながら生きています。

後日ボランティアの一人に会ったら「こないだ自分がいないときに子どもがのどに何か詰まらせたみたいなんだけど、上の子に教えておいたら自分で対処してくれたみたい」など早速学んだ知識を有効に活用しているボランティアもいて頼もしい限り。救急法が必要な状況はできるだけないほうがいいけれど、それでもいざというときにはボランティアたちが学んだ知識を活かして活躍してくれることを期待したいと思います。

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