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雑談をするアマルと筆者(2013年11月21日、撮影現地代表今野)雑談をするアマルと筆者(2013年11月21日、撮影現地代表今野)

(その1からの続きです。)

ただ、ガザと言うだけで、全ての人が毎日悲嘆にくれているばかりでもありません。空爆に怯えながらもそれを乗り越えようと明るく前向きに過ごしている人も無数にいて、JVCの現地パートナーNGO「AEI:人間の大地」で働くスタッフたちも例外ではありません。例えばAEIの保健指導員のハイファは2009年の大規模空爆で大好きだった父親を失いました。深い悲しみに打ちひしがれたと以前話してくれましたが、それにもかかわらず「イスラエルの飛行機が飛んでくると、(爆弾を)当てられるものなら当ててみろって笑い飛ばすの」。「あいつら何もできやしないんだから」。と満面の笑みで私に言います。またもう一人のスタッフアマルは「この前家の近くであやうく戦車の砲撃の弾に当たるところだったわー。アッハッハ」と、決して笑い事ではないのに私に楽しそうに言っていました。まるで雨に降られずに済んだことを喜んでいるようです。去年の空爆2日後に現地入りしたとき、AEIスタッフも一様に恐怖を感じて疲れ切っているように見えましたが、今ではこの回復ぶりです。

こんな深刻な事をどうしてそうやって笑い飛ばせるのか?いつものことながら聞いている私がハラハラします。去年の空爆中、彼女たちのことが心配でたまらず、エルサレムにいてもあまり眠れませんでした。そんな思いは二度としたくないと、私自身心から思っています。しかし、私が神妙な顔をしていると、逆にみんなが私の事を心配してくれます。「大丈夫、由佳は私たちが守るから!」。「いや、そうじゃなくて...」と言いかけますが、彼女たちは至って大真面目に私にそれを言うものだから、それでまた私は微妙な顔をせざるを得ません。

ガザ地区では昨年11月21日の停戦から一年が過ぎて、子どもも学校に通えるようになり、当時の恐怖から解放された雰囲気が町中に漂うようになりました。八百屋や市場には物が並び、壊されたビルも再利用のコンクリートで修復・再建されて、ガザの中心地は活気あふれるアラブの町並みに見えます。しかし中心地を離れて社会の様子を少しのぞいてみると、それほど物事が単純でない・・とすぐに分かります。

「車両燃料を求めてガソリンスタンド前に並ぶ車の列、ベイトハヌーン近郊」(2013年10月筆者撮影)「車両燃料を求めてガソリンスタンド前に並ぶ車の列、ベイトハヌーン近郊」(2013年10月筆者撮影)

例えば、今年6月に起きたエジプトのムルシ政権の崩壊によって、ガザへのエジプト側からの物資供給が著しく減っています。以前ガザ‐エジプト(シナイ半島)間国境に1000以上あると言われていたトンネルの稼働率は6月前の2割に落ち込み、エジプトとの国境に設置されたラファ検問所を通じた人の出入りも、6月前の1割以下になっています(Gaza NGO Safety Office-GANSO: 9月、10月レポート)。特に燃料の不足が深刻で、家庭調理用のガスや車両用、ジェネレーター用の燃料が不足しています。停電は一日12時間に及び、薪で料理をする人が増えています。ろうそくによる火災で子どもが亡くなり、汚水処理用ポンプや地下水をくみ上げるポンプも動かせず、汚水が海に垂れ流され、発電機が無い家庭では、水も汲むことができません。

11月21日に結ばれたガザ紛争の停戦合意から2週間以上が過ぎました。停戦後、それまで毎月行われていたイスラエル軍による暗殺も起きておらず、またガザ側からのイスラエルへのミサイル発射もなく、現地は急速に平常な状態に戻っています。そして、この間パレスチナの国連オブザーバー国家承認という歴史的瞬間もありました。しかし、ガザの人々に降りかかる目の前の問題が消えるわけではありません。私は停戦後2回ガザに入りましたが、被害の全容が明らかになってきているので、お伝えします。

停戦後ガザ入りして3日目の今日は、JVCのガザ事業「子どもの栄養失調予防事業」の事業地の一つ、ガザ市トゥッファーハを見てきました。普段この地域で活動するボランティアさんのヘクマッドとマハ、AEI地域保健員のハイファも一緒でした。昨日の記事に引き続き、今日見聞きしたことをお伝えしたいと思います。

昨日25日(日)、停戦後初めてガザ地区に入りました。JVCのプロジェクトを一緒に行っている現地パートナーNGOのAEI(人間の大地)スタッフと、この停戦をいち早く対面して祝いたかったし、また事業地への被害をいち早く調査して、何が必要か、JVCとして何ができるのかをいち早く見極めるのは大切だと思いました。また、人々に会って悲しみや喜びを共有することは、ガザで事業を担当する者として当然だ、と思いました。

この戦闘が続いていた間毎日電話していたアマルを含めたAEIスタッフと会って無事を祝い、またガザ市内で破壊された自治政府の建物、銀行、メディアのビルなどを見て回りました。全体として破壊されたビルの数は少ない印象ですが、一つ一つのビルに大切な物、思い出、また大切な人がいたことを思うと、その現実が重く肩にのりかかりました。

そして、26日の今日は、JVCのガザ事業:「子どもの栄養失調予防事業」の事業地の一つ、ゼイトゥーンを見てきました。この便りでは、私が見聞きしたものを一つ一つお伝えしようと思います。

JVCをはじめとした38団体は、11月19日、ガザ・イスラエル情勢の悪化を受けて共同声明を発表しました(プレスリリースはこちら)。パレスチナの主要紙など各国メディアが、この声明について報じています。各紙の記事は、以下のリンクからご覧いただけます。

http://www.irishexaminer.com/breakingnews/world/charities-call-for-gaza-ceasefire-574730.html
[Irish Examiner 2012/11/19 Ireland]

http://www.asianimage.co.uk/news/world/10056343.Leading_aid_agencies_warn_of_disaster_in_Gaza
[Asian Image 2012/11/19 U.K.]

http://www.trust.org/alertnet/news/38-aid-agencies-warn-of-humanitarian-disaster-in-gaza-if-military-confrontation-is-not-stopped
[Alert Net 2012/11/19 Trust.org]

現地時間の20日17時、ガザ地区にいるアマルに電話すると、「今夜21時にハマースとイスラエルが和解するって」という嬉しそうな声が電話の向こうのから聞こえてきました。「いよいよ和解するの!」と私もうれしくなって、この争いが終わったら何をしようか?と言う話で盛り上がります。「アイスクリームを食べに行く、アマルの家族と一緒に停戦祝いのパーティーを開く、そして何より、被害を受けたJVCの事業地の人々に会いに行って、子どもたちに必要なものをちゃんと届けるために一緒に働く」。アマルとそんな話をしていると、彼女の後ろで響く攻撃の音も、すぐに消えてくれるのではないかと思いました。

先日9日から続いているガザ地区への攻撃について、18日現在までにパレスチナ側に65人の死者(19日現地午前中の情報では80人)、イスラエル側に3人の死者が出ています。これを受けて、イスラエル軍がガザへの地上侵攻のために召集している兵士は、18日現在16,000人で、これまでのところそのうち数千人が既にガザ周辺に集結しており、ここ数日でガザへの本格的な軍事侵攻が始まることが懸念されています。

また、大変悲しいお知らせですが、現地パートナーNGOの人間の大地(AEI)スタッフ、アマルから、JVCが2012年度に支援しているガザ地区北部のガザ市シャジャイヤにおいて、子どもの栄養失調予防事業にボランティアとして参加している女性の息子さんが攻撃によって亡くなったという知らせが届きました。そのボランティアのお母さんは非常にショックを受けていて、アマルからの電話にも出てくれないそうです。そしてその説明をしているアマル自身もまた、ベイト・ハヌーンというガザ地区北部のイスラエルとの境界線から非常に近いところに住んでおり、「空爆の中買い物にも行けず、食料が底を尽きかけている」、「子どもたちだけでも無事に生き残ってほしい」と私に伝えています。

先日9日から続いているガザ地区への攻撃について、現在までにパレスチナ側に38人の死者(地元メディアによると、18日付では更に10人以上の死者の報告があります)、イスラエル側に3人の死者が出ています。15日(木)にはガザからイスラエルの文化・経済の都市テルアビブへのロケット攻撃があり、また16日(金)にはエルサレムから20キロ離れたグッシュ・エツィヨンへのロケット攻撃がありました。これを受けて、地元ニュースによると、イスラエル軍が7,5000人(18日現在では16,000人)の軍人をガザ侵攻に向けて招集、またガザを取り囲むように戦車の配置が進んでおり、ガザへの地上軍事侵攻が懸念されています。

11月9日から続いているイスラエルからのガザ地区への攻撃は、16日現在も続いています。本日、JVCが東エルサレム事業を共に行っているパートナーNGOのパレスチナ医療救援協会(PMRS)から、下記のような声明が発表されました。これまでも、ガザは封鎖されて医療物資の搬入がままならず、ガザの医療システムは機能不全になっています。ガザでは、現在多くの一般市民が負傷し、更に医療物資が不足することが予想されています。これらの情報も見ながら、JVCでは今後の動きを検討しています。ガザではこういった医療物資の不足はすでに恒常的に存在し、そのためJVCは子どもの栄養失調予防事業を行ってきています。

関連情報:PMRSホームページ http://www.pmrs.ps/

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