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2012年9月19日 【 スタッフの日常

エルサレムにあるShu‛afat(シュアファート) 難民キャンプからの報告
JVCボランティアチームのTさんがやって来ました

現地代表 金子 由佳
2012年10月 5日 更新

9月8日土曜日、JVCパレスチナ・ボランティアチームのTさんがエルサレム・オフィスにやって来ました。既に10年以上もボランティアチームで活動を続けるTさんは、普段日本で保育士さんとして働きながら、貴重な休みを見つけてはパレスチナへやってきて、難民キャンプの子どもたちに会いに行き、紙芝居をしたりゲームをしたり、積極的にパレスチナの人々と交流しています。

8日は、そんなTさんの活動に同行して、エルサレム唯一の難民キャンプ、シャファット難民キャンプに、現地代表の今野と私の3人で出掛けました。

キャンプは、JVCエルサレム・オフィス近くのバス停からバスに乗って20分、距離としては旧市街から約2キロと、エルサレム中心地からとても近い距離にあります。1967年の第三次中東戦争の後イスラエルに併合され、行政区上イスラエルの支配下におかれている地域となりましたが、2005年頃からは、かつてイスラエル側が一方的に併合したにもかかわらず、パレスチナの土地をイスラエル側に取りこむように分離壁が作られ、パレスチナ自治政府のサービスを受けられないにもかかわらず、ヨルダン川西岸地区の一部に組み込まれてしまいました。

キャンプそのものは1965年、パレスチナ難民を救済するために国連で組織された「国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)」によって設立されましたが、現在ではUNRWAからの支援も資金不足によって滞り、一キロ平方メートルの居住区に、1700人以上もの人々が暮らす超人口密集地となっているにもかかわらず、どこからもまともな行政サービスを受けられない、住むには過酷な場所になっています。

事実、生活インフラは非常に脆弱で、水と電気の供給も、ごみ処理も、下水処理も滞り、銃を携えたイスラエル兵が管理する小さな検問所を過ぎると、さっきまでの整頓された町並みとは一転して、内部にはごみが散乱し、バス停脇には廃車となったワゴンが放置され、地面のあちこちにもガラス瓶のかけらや、針金のようなものが落ちているのが気になります。また後に聞いた話では、犯罪率も比較的高いとのことで、警察も居ない、無法地帯に近い場所にもなっています。

シュアファート難民キャン プ内の様子シュアファート難民キャン プ内の様子
シュアファート難民キャンプ内のバス停近くのゴミ捨て場シュアファート難民キャンプ内のバス停近くのゴミ捨て場

しかし、人々がそこに住み続ける理由もあります。例えば、何百年もその土地に住んでいようが、パレスチナ人が一度エルサレムの外に居住すると、エルサレムの居住権(※脚注1)を一方的にイスラエル当局に奪われてしまい、二度とエルサレムに住むことが出来なくなってしまうのですが、シャアファート・キャンプ内は、今のところエルサレムの一部のため、劣悪な環境でも住み続けることにより、人々はその「居住権」を守る事が出来る。

あるいは、エルサレム居住権を持つパレスチナ人と持たないパレスチナ人が結婚した場合、片方はエルサレム居住権を守るために、また後者はエルサレムで暮らすことを許されないために、一緒に暮らすことができないのですが、キャンプ内は西岸地区でもイスラエル行政地区でもないという特異な状況のため、唯一それが暗黙のうちに許されており、そういった夫婦がここに集まってくる。このように、紛争によって生じたあらゆる矛盾の狭間で生き抜く人々の姿が、このキャンプには凝縮されています。

今回、Tさんは、キャンプにあるアル・ズフール(Al-Zuhur)幼稚園の子どもたちに紙芝居を見せるため、お手製の紙芝居を持って来ました。現地に到着したばかりなのに、前日は夜遅くまでホテルで紙芝居の最終仕上げをし、アラビア語の台詞も沢山練習をして、万全を期しての紙芝居です。お題名は、「指のお話」。日本でも親指を「お父さん指」、人差し指を「お母さん指」、とそれぞれ5本の指に呼び名がありますが、今回はそれのアラビア語版です。

アル・ズフール幼稚園の子どもたちアル・ズフール幼稚園の子どもたち

私はアラビア語が理解できないので内容がわからず残念でしたが、紙芝居の最中、子どもたちも先生も真剣にTさんの話を聞いています。そして最後には笑い声も聞こえて、それぞれが、小さな指を見つめて、どの指がどれと、お互いに確認しあっていました。みんな指のこと少しは覚えたかな?どの国の子どもそうであるように、新しいことを覚えるときは、楽しそうで、とっても素敵で心温まるひと時となりました。

また紙芝居の前後には、先生がくまなく園内を紹介してくれて、多くの気付きもありました。例えば、お手製ながらも、厚紙で出来た知能遊具が子どもたちには沢山与えられ、そういったパズルゲームで集中力を積極的に養うためのスペースがあったり、お買い物のやり取りを学べる小さなお店を模したスペースや、室内でも思い切り遊べるように、クッションでできた遊具に囲まれてあるスペースがあったりして、子どもの創造力や活動性を活かした遊び場所がたくさん用意されているところ。

あるいは、外の遊び場には、子どもたちが怪我をしないで思い切り走り回れるように、ごみは一つも落ちていないところなど、私にとっては、それら一つ一つの配慮が、外がごみだらけで混沌としているだけに、とても印象的で、厳しいキャンプの中で生きなければならないからこそ、先生方は、子どもたちの創造力や教養を養う事をとても大切にしているのだと感じることができました。

私は、こういったパレスチナの人々の教育に対する姿勢や、誇り高いところを本当に尊敬していて、パレスチナ人に学ぶ事がたくさんあるなと感じています。

今回、Tさんのおかげで、シャアファート・キャンプという特別な場所にこられたことは、活動を現地で続ける私にとって、とても大きな励みになり、また収穫となりました。Tさんを始め、JVCのパレスチナ・ボランティアチームのメンバーの方々にもたくさん励まされながら、今後もシャアファート・キャンプの様子を伝えていければと思います。Tさん、幼稚園の先生方、ありがとうございました。

(脚注1)
イスラエルに併合されているエルサレムに住むパレスチナ人たちは、元からそこに住んでいるにもかかわらず、イスラエル当局に居住を「認められている」とされていて、その居住権を示すためのIDを持ち歩かなければならなかったり、イスラエル人住民より多くの住民税を払わなければならなかったり、多くの不等な扱いを受けています。そしてその義務を怠った場合は、一方的にその居住権を剥奪され、二度とそこに住む事が出来なくなってしまいます。

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