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ガザ:母親リーダーのホンネ

パレスチナ現地代表 福田 直美
2011年7月26日 更新

新生児の母親たちに対して行われる、授乳に関する講習。母親リーダーが人形を使ってアドバイス新生児の母親たちに対して行われる、授乳に関する講習。母親リーダーが人形を使ってアドバイス

JVCは今年、ガザで地元NGO「人間の大地」と、地域で栄養失調を予防する取り組みを実施しています。

この事業では主にガザ市の3つの地域において、細分化された地域グループをつくり、

  • 巡回により子どもたちの成長や栄養状態、病気の疾患などを早期発見する(必要であれば繰り返しのフォローアップを行い、また治療機関へと紹介する)
  • 母親や妊婦、父親たちに対し、栄養や健康に関する教育を実施する
  • 地域の幼稚園を通して、子どもたちに対し衛生、栄養教育を実施する
  • 身近な食材を使って栄養価の高い料理についての調理実習

などの活動を行っています。

主に、これらの地域に住む女性たち6,000人と、5歳以下の子どもたち3,500人以上が対象となります。そして活動を率いるのは、52名の「母親リーダー」と呼ばれるボランティアです。彼女たちは、上記活動にかかる交通費を支給されていますが、そのほか、年に1度か2度の小さな「プレゼント(過去には毛布や電磁調理器など)」があるのみで、無償で活動を行っています。

「人間の大地」は2006年以降、この活動を行ってきました。2006~2008年のプロジェクト、そして2009~2011年の現在のプロジェクトにおいてこれまでに合計117名の母親リーダーが育てられました。117名のうち52名は2009年からの現在のプロジェクトに含まれていますが、それに加えて、2008年までのプロジェクトで活躍した母親リーダーのうち42名が、プロジェクト終了後もボランティアとして自主的にそれぞれの地域で活動を続けています。その"動機"は何なのでしょうか。今回、彼女たちにインタビューを行いました。

※ 2008年までのプロジェクトに含まれていた母親リーダーを【旧母親リーダー】、現在までのプロジェクトに含まれている母親リーダーを【現母親リーダー】とします。

家庭訪問で、子どもたちの成長の検査をしている様子(JVC活動)家庭訪問で、子どもたちの成長の検査をしている様子(JVC活動)

【旧母親リーダー】「私が栄養などに関する知識を持っていることを知った女性から助言を求められたので、彼女を訪問してサポートをしているの。自分ひとりでも、自主的に地域の中で活動は続けられるし、旦那は私の活動に対して協力的。いくつかの地域団体からも、講習を行ってほしいと依頼されているの。これまでのプロジェクトに含まれていない地域が多くあるので、その地域でもぜひ今後行ってほしいと思っているわ」

【旧母親リーダー】「プロジェクトが終了した後もこうやって活動を自主的に続けていることに関して、私の家族は協力的。こうやって続けて地域に貢献できていることを嬉しく思うけれども、交通費が出ないのは厳しいわ。栄養、衛生教育に使用する教材については、なくても大丈夫。すでに全て、私の頭の中にあるもの」

【旧母親リーダー】「地域団体から依頼されて講習を行っているわ。全て無償だけれど、誰から依頼されてもそれに応えるよう頑張っているの。私の経験と知識を信頼されているのだと思う」

【現母親リーダー】「自分自身ではボランティアでも続けたいと思っているけれども、私の旦那は何の報酬もないボランティアの仕事に対しては賛成をしないでしょう。もし少しでも収入があれば認めるのだろうけれども...」

【現母親リーダー】「収入が得られなくても、活動に対して『人間の大地』からもらったプレゼントは自分自身そして家族にとって大きな励ましとなっているわ。母親リーダーとしてトレーニングを受けたことの修了書は私の誇りなので、家の中に飾っているの。プレゼントとして毛布をもらった時も、それを義理の母に褒められてとっても嬉しかった。給与は求めないけれども、頑張りを認めてもらっていることを感じられるプレゼントは重要。

今は交通費が出ているから無償でも働けるのだと思う。また、プロジェクトでは2人一組で動くけれども、プロジェクト外になって自主的に動くとなったら、旦那は私が1人で外に出て行くことを許してくれないでしょう。それが不安です」

【現母親リーダー】「ある病院では、帝王切開で産まれた乳児に対して粉ミルクを推奨していたの。それを知って、その病院で抗議して、正しい知識を与えるための講習を私が行うことになったのよ。その他のクリニックなどでも、講習を依頼されて協力しているわ。自分の講習を見てある日、医師が『どこでその知識を得たのか』と驚いたことがあったわ。でもやはり、こういったプロジェクト外の活動はあくまで自主的に行っているので、自分で交通費を負担するには限界がある」

JVCの活動の調理実習には福田も加わってみました(食べてはいません)JVCの活動の調理実習には福田も加わってみました(食べてはいません)

【現母親リーダー】「自分が調理実習に使用する食材を運んでいるのを見た近所の人が勘違いして、他の人たちにそれを言ってしまい、私がお金を持っているという噂になってしまったことがあるの!また、ヘモグロビン値検査をしていれば、指紋を集めているという噂にもなってしまったわ(これを聞いた他の母親リーダーたちが大笑い)。『子どもの健康などについて知りたければ彼女に聞くのが良い』と、自分の住む地域では皆に私の知識について認められているけれども、誰もお金をもらっていないと信じてくれていないのよ。私の旦那は、無償で働くことに関しては認めてくれているし、彼はそれを誇りに思ってくれているわ」

彼女たちにとっては、自分たちの社会に貢献するということは誇りであり、無償であってもこの活動を続けたいという思いが強いようです。講習に参加した女性たちは皆、「母親リーダーたちは、適切な知識を与えてくれるしいつでも相談できて心強い。本当にいてくれてよかった」という声が聞かれます。何よりも母親リーダーたちのその志と地域に対する思いが、この活動を成功させている大きな理由でしょう。プロジェクト終了後も、彼女たちの思いをより地域で生かすことができるよう、JVCもどのように応援を続けていけるか、考えていきたいと思います。

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