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ガザ:「元気になった」「朝ごはんが楽しみ」

パレスチナ現地代表 福田 直美
2011年6月 9日 更新

5月、ガザも徐々に夏に入り始めた頃に、ウム・アル・ナセル村で養鶏事業を行っている10家族を訪問しました。コーディネーターからの報告によれば、家族によって卵の生産数のばらつきはありますが、全ての家族が鶏を売ったり食べたり(!)しておらず、7家族は順調に毎日子どもたちが食べる分の卵を生産しているようです。また、数家族が余った卵を販売して小さな収入を得たり、卵の孵化を成功させて鶏の数を増やしています。

ファレスさんの奥さん、マリアムさんには8羽の鶏がいます。「うちの鶏は基本的に残飯だけ食べているの。でも今は毎日3~5個生んでいるわ。餌にお金をかけていないのに、子どもたちが毎朝、卵が加わった食事ができるんだもの、すごいことよ」と満足げです。ちょうど訪問した日の前日に7羽のヒヨコの孵化に成功させたところで、かわいらしいヒヨコを見せてくれました。半年後、ヒヨコが大きく育って卵を産むようになったら、鶏を売ったり卵を売ったりしたいと嬉しそうに教えてくれました。

マリアムさんが見せてくれた、生まれたばかりのヒヨコマリアムさんが見せてくれた、生まれたばかりのヒヨコ

こちらはすでに生後3ヶ月。卵を産むまであと3ヶ月こちらはすでに生後3ヶ月。卵を産むまであと3ヶ月

ムスタファさんの奥さん、サルマさんは、10羽いた鶏が6羽になってしまいましたが、3~4個の卵が毎日採れるそうです。8人の子どもがいるので、採れた卵はほぼ全て朝ごはんで食べてしまいますが、これまで近所の人が買いに来たので売ったこともあるそうです。餌代はかかっている?と聞くと、「餌は麦を買っているの。それに残飯も合わせるわ。麦はだいたい、一週間分で7シェケル(約170円)」と答えます。じゃあ、一週間でいくつ卵を食べられる?と聞くと、「今週は26個の卵を食べた」そうです。するとサルマさんは、「その分の卵を買う場合は13シェケル(約320円)するわ」と嬉しそうに言いました。卵を生産することでよりお金をかけずに栄養を取ることができていることを実感しているようです。サルマさんは今、孵化に挑戦しているところだそうです。次回は小さなヒヨコたちを見ることができるでしょうか。

イードさん家族は、10家族の中でも特に優秀。1羽も減っておらず、10羽の鶏から毎日6~10個の卵が生まれています。また、2月に生まれた9羽のヒヨコは、すくすくと順調に育っているようです。イードさんの奥さん、アイシャさんはとても聡明な女性で、「男に聞いたってわからないのよ。養鶏も含めて全部家のことをやっているのは女なんだから」といつも私に教えてくれます。家族が食べる分以上の卵が生まれるので、アイシャさんは時々近所の人たちに卵を売ったり、親戚に分けてあげたりしています。「卵を売った収入で、野菜を買っているの。子どもたちにはきちんと食事をさせてあげたい」そうです。そしてなんと帰り際には「あなたももっと食べて大きくなりなさい」と、お土産に持たせてくれました。

アイシャさん(左)はお土産の卵を持たせてくれましたアイシャさん(左)はお土産の卵を持たせてくれました

また他の家族からも同様に、「毎朝、卵を採りに行くのが子どもたちの日課になっていて、子どもたち自身がとても楽しんでいる」「子どもたちが前よりも健康に、元気になった」「卵があるので、子どもたちが朝ごはんを楽しみにしている」「支援がなくても自分たちで続けていく自信がある」という言葉を聞くことができました。

採れたての卵を持つ子ども採れたての卵を持つ子ども

しかし、なかなか孵化に成功しなかったり、鶏が卵を産むのをやめてしまった家族もいくつかいます。その家族に聞き取りを行っていて、気づいたことがあります。例えば、「うちの鶏は卵を産まない」と卵をお店で買っている人がいました。私が「でも○○さんの家も、**さんの家も、卵を売っているんだよ。彼らから買えばいいのに。アドバイスももらえるだろうし」と言うと、「えっそうなの?」と驚いたのです。また、「孵化をさせようとしているけれどもなかなかうまくいかないし、誰に聞けばいいのかわからない」という人に私が「△△さんは孵化させているし、すぐ家も近くなんだから聞きにいけばいい」と言うと、「でも普段関係がないから・・・」と言うのです。どうやら、いつでも助言を求められる相手が側にいるのといないのとでは、大きな違いがありそうです。

この村で事業を行って学んだことがあります。この村はもともと遊牧民族だった人々が強制移住させられた地域なのですが、遊牧民族だけあって、家畜に対する個人所有の意識が強いこと、親戚間のつながりが強いこと、そして女性が外に出て交流する機会が限られること。パレスチナ、そしてガザの中でもこの村のこの「特殊性」には、私も驚くことが多くあり、勉強になりました。その中で気づいたのが、「女性を集めることは難しいかもしれないけれども、お隣同士や姉妹同士などでの行き来は頻繁にしているし、つながりも強い」ということです。訪問した家族の女性たちは皆、「私の妹も、私がこの事業で成功していることを知って、自分で鶏を育て始めたの」「隣の家は本当に貧しいから、助けてあげたい」「私の娘の家でもできないかしら。私が全面的にサポートするわ」と言ってくれたのです。

地域全体で何か新しい動きを生むことがたとえ難しいとしても、今ある「つながり」を生かしていくことは可能です。グループでではなく、すでに養鶏に成功した家族と、新しく加わる家族をつないでいくことで、相乗効果も生まれるかもしれません。アイシャさんからいただいた卵をオムレツにして食べながら、「女性が集まることに対して男性がブーブー言うのよね。でも私が声をかけてなんとかするわ!」という彼女の言葉を思い出し、これから楽しくなるかも?!と嬉しくなってしまいました。

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