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エルサレムの日

パレスチナ現地調整員 津高 政志
2010年5月11日 更新

ベツレヘムから検問所を越えてエルサレムに帰ってくると、バスが渋滞にはまり、全く動かなくなりました。理由は明らか。今日は「エルサレムの日」という、ユダヤ人がエルサレムの再統合を祝う日。それを知っていた僕は、西エルサレムでバスを降りて歩き始めました。

エルサレムは今もなお東西に分裂していて、「再統合」はまったくされていません。それなのになぜ「再統合」を祝えるのか。これを祝っているユダヤ人は、ユダヤ人だけが住むエルサレムが「統合」されたエルサレムであり、旧約聖書の時代にユダヤ人のものだったエルサレムを、現在自分たちの力で再び完全に掌握することができた、ということを信じています。つまり、簡単に言ってしまうと、エルサレムに住むユダヤ人以外の人種をエルサレムから追い出すことを祝う日です。

西エルサレムはイスラエルの国旗を持った人々で埋め尽くされています。路上にコンサートステージがいくつも設けられ、人々は音楽に合わせ踊り、歌い、肩を組み合って狂喜乱舞しています。国際法や国連決議に真っ向から違反する東エルサレムのアラブ人家屋の破壊や、不当な理由による逮捕、日常的に行われる制度的・組織的嫌がらせの数々、それらの与える痛みを、ここにいる人々は知らないか、あるいは感じることができません。人間は他人の痛みというものを感じないばかりか、他人を痛めつけることを祝うことすらもできてしまう。そのことが僕にはとてもショックでした。

でもここで僕は目をつむることはしてはいけないと思いました。人間がこういう存在ならば、それを知っておかなくてはいけない。西エルサレムのユダヤ人たちは、重武装したイスラエルの国境警察によって車両封鎖され歩行者天国となった東エルサレムへの道を、歌い踊りながら闊歩します。東エルサレムの中にある旧市街のいちばん大きな入口、ダマスカス門の前で国旗を高らかに振りかざした集団は、声をさらに上げて門の中になだれ込みます。旧市街のアラブ人街で半ば暴徒と化したその集団は、アラブ人の店や家屋のドアを乱暴に叩きながら行進します。行く先はもちろん、嘆きの壁。

嘆きの壁の前の広場は、イスラエル国旗を持った人で溢れかえっていました。「エルサレム、ハレルヤ」僕のヘブライ語の知識でも聞き取れる歌が、群衆から沸き起こり、嘆きの壁にこだまします。

僕は自宅への帰り道、東エルサレムの道を我が物顔で通るユダヤ人の集団を、警察のバリケードの向こうから眺めるアラブ人の集団を見かけました。彼らの怒り心頭した目つきを見るだけで、僕は背筋が凍りました。こんなことをしていて、この紛争に終わりが来るわけがありません。

このような状況下で、平和構築のための活動や、紛争の犠牲者となる市民を支援する活動を行うことは、大海をスプーンですくい続けることに等しいかもしれません。しかし、その努力を行う人すらもいなくなってしまったら、この紛争はもっとひどいものになっているかもしれないと、僕は思うのです。


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