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アル・ジーブ村[2]:壁に囲まれた村

2008年11月29日 更新

アル・ジーブは、人口5,000人ほどの小さな村です。ラマッラーより南のこの周辺の村を含む地域は、「エルサレム地域」と呼ばれており、以前はこの地域に住む多くの人々がエルサレムに仕事に行っていました。農作物も主にエルサレムへと運ばれていました。アル・ジーブは平地が多いため、その農地を生かした農業が盛んだったのです。しかし、アル・ジーブ、ビル・ナバーラなどを含むこの周辺の9,000ドナム(※1)あった土地は、入植地の建設、それにともなう入植者用道路、パレスチナ人がそれを迂回するための道路などの建設によって、今では3,000ドナムとなってしまったそうです。ガッサンさんは、「エルサレムとラマッラーでは、農作物を売ることができる値段が全然違う。エルサレムでの方が高く売れるんだ。ラマッラーには、西岸のほかの地域からも野菜が入ってくるからだよ。農地がとられて狭くなった上に農作物での収入が減って、この村の農家は大打撃だ」と言います。

青で囲った部分が、アル・ジーブ村。この地域の4つの村は壁(赤色)で囲まれている。入植者用道路(水色)を通ることができないため、ビッドゥ村(オレンジ色で囲った部分)へは、灰色の線で示されている迂回道路を通って行く(出典:United Nations OCHA oPt)青で囲った部分が、アル・ジーブ村。この地域の4つの村は壁(赤色)で囲まれている。入植者用道路(水色)を通ることができないため、ビッドゥ村(オレンジ色で囲った部分)へは、灰色の線で示されている迂回道路を通って行く(出典:United Nations OCHA oPt)

この村に入るとき、ラマッラー側からビル・ナバーラという村を抜けて入ってきます。以前来た時はビル・ナバーラに入る手前に検問所があったのですが、今年に入ってなくなったとのことです。このアル・ジーブとビル・ナバーラを含む4つの村は、分離壁で完全に囲まれています。アル・ジーブ村にはクリニックはなく、医療サービスが必要な時には、ビッドゥという村のクリニックに行きます。そこに行くには、入植者専用道路の下をくぐって、迂回していかなければなりません。

丘の上に広がる入植地との間には分離壁が立つ。村の人たちは、右端に見える“トンネル”をくぐる道路を利用する丘の上に広がる入植地との間には分離壁が立つ。村の人たちは、右端に見える“トンネル”をくぐる道路を利用する

ガッサンさんの家は、村の西端に位置するのですが、ある日突然、2つ隣の家が、隣の家の塀を境にして「C地区」であるとして、イスラエル警察によって壊されたそうです。「ここを境に左側がC地区、右がB地区」と、“境界線”を足でまたいで説明してくれました。イスラエルが完全コントロールするC地区(B地区は、行政はパレスチナ自治政府、治安はイスラエルが管理)では、新しい建物を建ててはいけないことになっているとのことで、「この村は常に見張られているんだ」といいます。

右側がB地区、左側がC地区。C地区とされた位置にあった家は壊された右側がB地区、左側がC地区。C地区とされた位置にあった家は壊された

ラマッラーへの帰り道には「フライング・チェックポイント」といわれる臨時の検問所ができていました。私たちの前の車は、車のトランクの荷物を調べられています。「何をしていた」と聞く兵士に、「蜂と遊んでいた」と答える友人。「???」顔をする兵士に続けて「養蜂の箱(実際は空の箱でしたが)がトランクに入っている。見る?」と聞くと、兵士は「いい!行け」と私たちの通行を許可しました。検問所がなくなって少しはアクセスが楽になったとはいえ、予測できないフライング・チェックポイントは、未だに人々の生活を困難にしています。東エルサレム周辺の入植地は日々拡大を続けていて、村の人々はその様子を「日に日に迫ってくるようだ」といいます。すぐ2キロメートル先のナビ・サムウィル村にあるモスクに、壁ができる前は毎週金曜にお祈りにいっていたそうですが、その村は今は壁の向こう側になってしまい、モスクはアル・ジーブからもはっきりと見えるものの、行くことはできません。この地域の村は、ラマッラーや近隣の村に行くルートもいつ変わるかわからない状況にあるのです。壁や入植地がなければ、とてものどかで美しい村だけあって「僕たちは、今もこの村はエルサレムの一部だと思っている」というガッサンさんの言葉に、胸が痛くなりました。

以前は他の村へ続いていた道は閉鎖された。監視等が立ち、すぐ右手には入植地が見える以前は他の村へ続いていた道は閉鎖された。監視等が立ち、すぐ右手には入植地が見える

※1. 1ドナム=約1000平方メートル


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