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ハラム・アッシャリーフのイフタール

パレスチナ現地代表 小林 和香子
2007年9月20日 更新

ラマダン中のイフタール、しかもイスラム教徒しか入れないハラム・アッシャリーフでのイフタールに連れて行ってもらいました。連れて行ってくれたのは、隣人のリナさん。3人の大学生のお母さんで、学校の先生でもあり、私のアラビア語の先生でもあります。アラビア語のレッスンで、ラマダンにはハラム・アッシャリーフでは毎晩無料でイフタールが振舞われる話を聞いて、興味深深だった私に、連れてってあげると言ってくれました。

 ジルバーブを着て準備OK ジルバーブを着て準備OK

ハラム・アッシャリーフとはアル・アクサ・モスクと岩のドームや、他の小さなモスクや公園や博物館などが混在する大きな広場全体の名称です。イスラム教では3番目の聖地と言われるこの広場に異教徒が足を踏み入れることが出来るのは、朝と昼の限られた時間帯のみで、モスクやドームの中に立ち入ることは出来ません。「私は入れないんじゃないの?」と心配すると、「大丈夫よ。私に任しなさい」と言って、リナさんは娘にジルバーブと呼ばれるロングコートとヒジャーブと呼ばれるスカーフを私に貸すように言って、着付けしてくれました。リナさんと娘さんは「似合う、似合う」と喜んでいます。

でも、シャラム・アッシャリーフの入り口で警護しているイスラエルの警察に質問されたら、イスラム教徒じゃないことがわかるんじゃないかと、と不安で一杯。門が近づいて、ドキドキしながらも、問題なく中に入ることが出来ました。初めて足を踏み入れた、夜のハラム・アッシャリーフ。日暮れ直前の柔らかな光の中の岩のドームは昼間とは一味違う美しさを見せています。岩のドームの周りには多くの家族連れが、敷物を敷いて、食事を用意して、まさにピクニックに来ているかのようです。皆、断食明けを告げる日没のアザーン(祈りの呼びかけ)を待ちに待っています。

ところが、リナさんはキョロキョロしています。今夜に限ってイフタールの配布場所が見つからないのです。断食明けの合図の日没のアザーンが聞こえてきたころ、アル・アクサの前に食事を積んだトラックが到着し、床にビニールを敷いて、食事の準備を始めました。でも、ここは男性用の場所です。取りあえず手や口をゆすいで準備をしつつ、女性用の食事の配布場所を求めてウロウロしていると、男の子が「女性用はあっちで配っているよ」と教えてくれました。アル・アクサと岩のドームを繋ぐ階段の横の広場でした。

やっと頂いたイフタールは箱入りのお弁当になっていました。中身は、野菜を炒めた前菜と柔らかく煮込んだ羊の肉と煮込みご飯。充分栄養が取れる内容です。私達は、広げられたシートに頂いたイフタール弁当を置いて、床に座って食べ始めました。「いつもこんなにお肉が入っているの?」とリナさんに聞くと、「もちろんよ。鶏肉のときもあるけどね」という答えが返ってきました。このイフタールは毎年、サウジアラビアやアラブ首長国連邦やカタールなどのアラブ諸国からの寄附で振舞われるそうです。

 夜の岩のドーム 夜の岩のドーム

しっかりご飯を頂いたら、今度は岩のドームの中を見学。ラマダン中は女性が岩のドームで男性がアル・アクサでお祈りをするように分けられています。このドームの中は女性と子どもで一杯です。コーランを静かに読む人、お祈りをする人、くつろいでいる人、いろいろです。

岩のドームの外観は色とりどりの美しいタイルで飾られて華やかですが、中には、預言者モハメットが天に昇ったと言われている巨大な岩が中心に置かれています。リナさんは、「この岩は浮いているの」と言います。確かにドームの真ん中に置かれたその岩の下は空洞で、階段を下りて下から見上げることも出来るようになっていて、地面と繋がっている岩ではないようです。下から見た岩肌はぼこぼこしていて、なんとなく昔見たことがある、隕石にも似ている気もします。岩に直接触れることが出来る囲いも設けてあり、大人も子供も岩に触ろうと、行列が出来ています。私ももちろん触りました。その感触はひんやりとして、思ったよりスベスベしたものでした。そして良い香りがします。

お祈りの時間が来たので、娘さんを残して外で待っていると、見知らぬおばさんがリナさんに話しかけてきました。「彼女はあなたの息子の嫁ですか?」私といくつも年が変わらないリナさんはちょっとショックを受けたみたいですが、「家族のお客よ」と答えていました。東アジアにもイスラム教徒はいるので、私を異教徒と疑っての質問ではなかったようですが、イスラム教徒ではないのに、イフタールをご馳走になったり、モスクの中に入ったことにちょっぴり気が咎めた瞬間でした。でも、シャラム・アッシャリーフの清清しい夜の空気の中で家族がイフタールをピクニックのように楽しんでいる風景を見ると、ラマダンが厳しい戒律としてではなく、生活を豊かにする習慣として人々の間に根付いていることに気づくことができた、貴重な経験となりました。


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