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イスラエル軍の侵攻とガザの人々の生活 5

パレスチナ現地調整員 藤屋 リカ
2006年7月10日 更新

状況の悪化 
 5日夜のイスラエル軍のガザ北部への侵攻以来、北部では銃撃戦、砲撃は続きます。今日7日も死傷者が出ています。
友人のサバハは、北部ジャバリアの近くに住んでいます。結婚してからの約20年間、4人の子どもを育てながら夫と二人で働いています。2年前にやっと念願の新居が完成し、親戚と同居していた家から移り住みました。彼女は「イスラエル軍が北部に侵攻して以来、最悪です。私の家は北部に近く激しい音が響いてきます。全く眠れません」と言います。

南部のハンユニス市の東に位置する村落部アバッサンでも空爆があり銃撃戦が続いているとのことです。
子どもの栄養改善事業のフィールド・ワーカーのルラは、アバッサンに住んでいます。
JVCではアバッサンの幼稚園も支援しています。幼稚園が夏休みに入る前、4月の終わりにルラと一緒に幼稚園に行きました。最悪ともいえる経済状況の中、4月は一人も幼稚園の月謝が払えなかったとのことでした。おなかのすいた子どもたちは畑のきゅうりやトマトをそのまま食べている、と先生たちは言っていました。アバッサンの幼稚園でも果物と栄養強化ビスケットも含まれているサマープログラムを開始予定でしたが、まだ様子見です。
イスラエル兵拉致事件の起こる前日の24日、ルラと私はアバッサンの隣の村の幼稚園で仕事をしていました。母親たちと子どもの健康や家での様子、夏休みに入った今、実際に家で何を食べているのなどを食べているのかなども話していました。「トマトときゅうり、たまねぎ、ジャガイモの繰り返し」とのことでした。
幼稚園での仕事を終えて彼女をアバッサンの自宅まで送っていきました。のどかな農村です。「昼食が無理ならお茶だけでも飲んで行って」、との彼女の誘いを次の仕事のため断らなければなりませんでした。「泊まってゆっくりしてからエルサレムに戻ればいいのに。次は必ず寄って行ってよ」と彼女は言って、別れました。

ルラは電話で、「銃声が激しく鳴り響いているけれど、家にいるから大丈夫」と言います。電気は1日に6時間ぐらいは来ているし、水もまだあるとのことです。
すでに家に十分な食べ物がないのに、家から出られないような生活を強いられている人々のことが心配です

電気や水の状況は地域によって違うようです。ラファに住む「人間の大地」のハンユニス代表のハナンの所は、彼女の住む地区の送電設備が破壊され2日以上停電が続き、水も不足していると言います。電気や水のことは、あまり注目されなくなっていますが、長引くこの状況の中、人々は日々の生活に疲れていると感じます。(7月7日)

子どものはしゃぎ声と女の子の死
 9日土曜日、ガザでの仕事を中止してから既に1週間が経ちます。

今日から、楽しい遊びと栄養強化ビスケットと果物を提供するサマープログラムは幼稚園での開始です。子どもたちが集まってくる予定です。
2日前にイスラエル軍が北部に侵攻、空爆や衝突で、一般人を含めた死傷者が多発しているため、北部のベイト・ラヒアとベイト・ハヌーンは延期になりました。北部のそれ以外の地域、ガザ市内、中部は予定通りです。
責任者のモナは、「初日の今日の果物はブドウよ。子どもたちにとっては初物のはずよ。今週は、ブドウ、スイカ、きゅうり、メロン、りんご。毎日違うもので、子どもたちが楽しみにできるようにしたの」と言います。
中部担当のフィールド・ワーカーのハナンは、4ヶ所の幼稚園を回りました。どこも子どもたちのはしゃぎ声であふれていたとのことです。このプログラムは午前中なので11時には子どもたちは幼稚園から帰ってきました。

しかし、今日はガザ市の東部で中心部にも近いシュジャイヤ地区にイスラエル軍が侵攻していました。
「人間の大地」のガザセンターの代表のイテダルは、「今日も母親は栄養失調の子どもを連れてやって来ていました。センターから数キロしか離れていないシュジャイヤにまでにイスラエル軍が来ています。安全のために午後1時半には完全にセンターを閉め、スタッフも帰宅させました」と言います。北部に侵攻していた軍は境界まで撤退したとのことですが、違う地区での侵攻や空爆、パレスチナ側との衝突が続きます。

シュジャイヤ地区はガザのなかでも古い地区で住宅が密集しています。住民の多くは難民ではないのでUNRWA(国連パレスチナ難民救済機関)からの支援は受けられません。農村ではないので自分のところで食べる野菜などを作ることもできません。
6月の半ば、私たちは、シュジャイヤ地区のなかにある特に経済状況の悪い家族の子どもたちが通っている幼稚園で、母親たちから話を聞いていました。「最近は豆さえ食べられなくなってきた」、と母親たちは訴えました。「トマトとジャガイモばかりなので、肉屋に頼んで骨が残っていれば頼んで無料で分けてもらい、それを一緒に煮込んでいる」、と語る母親もいました。加えて今は水や電気が制限され、更に戦車や装甲車による軍事侵攻です。

夜になって、イスラエル軍の空爆とされる爆発がシュジャイヤ地区近郊の民家で起こり、6歳の女の子と兄、母親が死亡したとのニュースが流れてきました。
子どもたちのはしゃぎ声にあふれていたということが、この女の子の死の悲しみを更に強いものとさせます。(7月8日)

病気の蔓延の心配
 国連のセキュリティ担当者からの連絡によると、今日もガザ市の東に位置する物流専用のカリニ検問所は閉まったままです。その近くにはイスラエル軍が侵攻しています。

「人間の大地」ガザセンターでは、昨日と今日は来所者がいつもより約20人も少なかったとそうです。代表のイテダルは「センターに来ている母親たちも大急ぎで自宅に戻ります」と言います。イテダルは、センターに来た子どもたちののなかで下痢症状が多くなっていることを心配しています。「断続的な停電のため、冷蔵庫は当てになりません。水道水もいつ来るかわからず水も不足しています。人々は水が来たときにできるだけ溜めています。無くなれば、近所で分け合っています。一部の地域では、水道水そのものが汚染されているとも聞いています。安全な飲料水の確保は大変です。この暑さの中で、水や電気が限られることで、子どもの下痢症が増えています」と言います。

南部ハンユニスの「人間の大地」のセンターには、今日も大勢の母親が子どもを連れてやって来ました。昼間は落ち着いている様子です。JVCが支援している栄養失調の子どものための栄養食の提供の部門だけでも、51人来たとのことです。代表のハナンは「ここでも下痢症のため連れて来られる子どもが増えています。一番の問題は水です。これだけ限られた水の量では安全な衛生状況は保てません]と言います。「私にとっても同じです。ラファは停電したままで水も不足しています。飲料水や料理用の水の確保が最優先で、お皿を洗ったり洗濯の水はできるだけ節約するしかありません。体を洗うのにも全身を洗うほどの水はありません。節約して最低限の水で過ごしていますが、それでも足りません」と続けました。そして、「下痢症の子どもが増えていることは、水や衛生に関連する感染性の病気の蔓延の始まりではないか心配です」と続けました。

WHO(世界保健機構)が健康な生活を送るために1日に必要とする水の量としているのは100リットルですが、パレスチナでは元々約70リットルしかありません。現在、人々が実際に使える水の量は、普段の半分にも満たない、場所によっては数分の1しかないようです。(7月10日)

子どもたちの健康のために
 子どもの栄養改善事業の責任者のところにも、子どもの下痢症が増えているという情報は届いていました。昨日彼女が参加した、国連機関とNGOとの会議でWHOから報告があったとのことです。

幼稚園でのサマープログラムでは、子どもたちに果物とビスケットを出します。特に果物はきちんと洗う必要があるので、安全な水も幼稚園に届けたほうが良いか検討しました。水は果物に比べれば安価で幼稚園でも準備可能と判断できますし、先生たちの意識を高めるためにも、各幼稚園で用意してもらうことにしました。その分、フィールド・ワーカーが足しげく幼稚園に通って、衛生状態を確認、先生たちが清潔や子どもの病気の防止に気を配れるよう励ましていく予定です。

モナとフィールド・ワーカーの女性たちは、今日ガザ市内の数ヶ所の幼稚園を訪問しました。一部の幼稚園では、ガザ市東部へのイスラエル軍の侵攻と続く空爆のなか、親が子どもを外に出すことを心配しているので、サマープログラムを延期していました。土曜日から続けている幼稚園もあります。モナは「安全が一番大切です。できるところから、やっていきましょう」と繰り返します。水の安全が心配と感じた幼稚園では、その場で清潔な水を注文してもらい、先生たちと一緒に果物を洗って準備したそうです。

子どもたちのために奮発した「ブドウ」は大好評だったようです。モナは、幼稚園の子どもたちに、ブドウの色、形、味等を聞いていったら、みんな大はしゃぎで大きな声で答えたなど、詳細を嬉しそうに、話します。「果物そのものが、子どもにとっての楽しみになって良かった」と続けました。

水や衛生状態と密接な関係にある、下痢症の原因ともなるアメーバーや寄生虫による消化器官の病気は、ガザ地区ではこの危機の前にもあった、子どもの健康問題でした。子どもたちに栄養価の高い食品を提供しても、体に吸収されなければ意味がありません。これは、治療と教育、環境の整備をセットで取り組まなければなりません。モナとは、9月の新学期からの子どもの栄養改善事業に、この問題を組み込むか別のプロジェクトとして提案するかなどを話し合う予定で、モナは資料も集めていました。
幼稚園で現状を見てきたモナは「子どもたちの寄生虫対策の計画も覚えていてね。これだけ水の問題が深刻になってしまった今、どうしたら良いかすぐにはわからないけれど」と言いました。危機的状況のガザの現場でがんばっている女性たちは、落ち着いて地道にできることを続け、次の計画も進めています。(7月10日)


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