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農林複合プロジェクト 活動詳細(2)
2005年1月13日 更新
[現地スタッフ]

JVCラオス現地代表: 名村隆行

活動の背景

カムアン県は、他の地域に比べて森林が豊富に残されています。村人の生活と森林は密接に関わっており、特に米不足の時期や不測の事態には、森の中のキノコや竹の子、果実、薬草など林産物を販売して生活を補っています。森は村人の生活にとって「保険」のような役割があります。しかし、近年、その森林が減少しています。減少の要因は、農地の開墾や販売を目的とした森林の過剰伐採など、村の内部から起こるもの、そして、開発プロジェクトのための森林の開墾や、企業による森林伐採、石灰岩の採掘など、村の外部からやってくるものが挙げられます。村人の生活を支える森林を保全するために、JVCは93年から、カムアン県で「土地森林委譲」を中心にした森林保全プロジェクトを始めました。

  第1フェーズ:1993〜1997年
  第2フェーズ:1997〜2003年
  第3フェーズ:2003〜2007年

森林保全(第1フェーズ) 〜村人の森を村人の手に〜

JVCは93年当時から、地域の自立を目指した村落開発を進めてきました。村人の自立を支えるシステム作りの一環として、村の土地の所有権を明確にする活動を開始しました。それは、企業や開発プロジェクトが村の領域に入ってきて木材を伐採したり、林地を開墾しても、村人は泣き寝入りせざるを得ない状況があったためでした。当初はこの問題の解決に消極的だった村人たちも、JVCのスタディツアーや森林ボランティア養成研修などを通じて、「自分たちの森を持ちたい」という声をあげるようになってきました。

この村人たちの声を支援するために、「土地・森林委譲政策」※という政府の政策を通じて、村の所有権を法的に認めさせるという、当時としては斬新なアイディアで、村の共有林をつくることに成功しました。

主な活動として、カムアン県に「土地・森林委譲」制度の導入を図るため、県令の整備の支援や、希望している村に「土地・森林委譲」を実施しました。さらに、森林関連のセミナー、スタディツアーを開催し、森林に関わる問題を村人自身の力で解決するためのキャパシティビルディング(能力の向上)を、村人や政府に対して行ってきました。

※「土地・森林委譲」政策:1978年ごろより、社会主義政策のひとつである農業の集団化が行われましたが、元来、地主−小作関係がそれほど顕著でなかったラオスでは、農民にとってのメリットが少なく、集団化によってむしろ農業活動の停滞が見られました。生産活動のインセンティブを高めるために、1980年代後半から個人や団体に農地を配分する方向に転換したことが、現在の土地・森林委譲政策につながっています。土地の利用・相続などの実質的な所有権を個人や団体に公式に認め、村周辺の森を村の共有林として位置づけ、村の所有権を認める代わりに、管理義務があります。

森林保全(第2フェーズ) 〜村人の森を持続的に管理するには〜

第2フェーズの97年以降、JVCは「土地・森林委譲」を導入する地域を拡大しつつ、村の内部に起因する森林減少の問題にも目を向け始めました。生活のための木材伐採を減らすために、限られた農地を持続的に利用できる自然農業プロジェクト(活動詳細3/3参照)をスタートし、さらに村人が区分した森林を、それぞれの目的に応じて管理することに力を入れました。また、村における「土地・森林委譲」の経験に基づいた、実施のためのガイドラインを確立(土地森林委譲ハンドブックの作成)し、ラオスにおける「村人主体の参加型」土地・森林委譲のやり方をモデルとして提示しました。

森林保全(第3フェーズ) 〜村人の森を外部の力から守るために〜

村人の土地や森林の権利を法的に保障すれば、村人の生活の基盤となる森を村人のために守ることができます。しかし、現実的には、村人は政府機関や企業の開発事業とは交渉も対抗もできず、事業許可を迫られた場合、同意せざるを得ず、共有林が法的に認知されるだけでは、状況は変わらないことがしだいに明らかになってきました。これは、村が問題解決を郡役所に届けても、県役所のレベルでは全く認知していないといった「縦の連絡」の問題、「土地・森林委譲」を実施している県農林局や県財務局以外の行政機関が「土地・森林委譲」のことをほとんど知らないという「横の連絡」の問題があるためでした。企業などへの開発の許認可を出す部局は工業局であり、土地・森林委譲を無視して事業許可を出してしまう問題が度々起こりました。

これらの問題を解決するため、各関連省庁を集めて「土地・森林委譲」の問題を議論し、村人の権利を尊重するやり方を促していく活動を行っています。

また、山岳地帯の多いラオスにおいて、そのほとんどが平野部であるカムアン県はタイやベトナムとも国境を接しており、数々の開発が計画されています。今後、開発の問題が起きそうな主要幹線道路沿いの村々を対象に「土地森林委譲」の拡大を、現在、集中的に行っています。

「土地・森林移譲」の実施方法

ここでは、森林保全のコアとなる「土地・森林委譲」の進め方の概略を説明します。

「土地・森林委譲」を支援する村は、原則的に、土地や森林の区分やその所有権の確定を希望している村を選定しています。

1. 対象村の選定後、「土地・森林委譲」を行います。JVCの「土地・森林委譲」は、大きく分けて2段階あります。
   第1段階…「森林の意識化」プロセス
   第2段階…検地作業と合意プロセス

2. 第1段階では、村人同士の話し合いを通じて、森林の状況やその重要性を再認識してもらうことを主眼においています。まず村人に対し、「土地・森林委譲」とはなにか、説明し、さらに、昔の森林と現在の森林の比較、森林利用の現状などを話し合ったり、意見を出してもらいながら、森の重要性について考えていきます。

3. 第2段階で、実際に村の森の中を村人と一緒に踏査し、話し合いながら、近隣村との境界線の確定を行い、「保護林」「保全林」「利用林」「埋葬林」「再生林」「精霊の森」といった森林に区分していきます。また、土地に関しても、村人が持つ土地の権利を確定しつつ、土地なし農民に対して、農地を再配分しています。

全行程を実施するのに約1ヶ月近くかかります。時間をかけて村内や、村外との合意形成を行い、村人主体で共有林を作り、村人自身がその森を管理していけるようにすることが、JVCの支援する「土地・森林委譲」の特徴です。

現在の活動

現在の森林関連活動は以下6つあります。

  • 村人主体の共有林作りの支援の拡大
  • 「土地・森林委譲」後のフォローアップ、問題解決
  • 村人と共におこなう森林資源調査
  • 村の資源管理能力を育成する研修・スタディツアー
  • 村の共有林の権利を守るための政府機関への働きかけ
  • 森林に関連した情報収集
 
 


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