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ラオスMonthly report(2014年3月)

現地調整員 (個人名削除) 現地調整員 林 真理子
2014年5月20日 更新

農業・農村開発

稲作技術改善

JVCでは、稲作技術改善のために、苗の植え方や有機肥料の作り方などを指導している。日本では、田植えの時期になると、苗が1本ずつ、等間隔で水田に植えられる。ラオスでは、伝統的に、10本ほどの苗が一緒に植えられてきた。しかし、10本の苗を一緒に植えると、土の栄養分を10本の苗が奪い合うので、健全に生育せずに枯れてしまう苗があり、結果的に米の生産性が低くなってしまう。そこで、JVCでは、10本ひとかたまりの植え方ではなく、本数を減らして苗を植える方法を指導している。この手法は、SRI(System of Rice Intensification: SRI)と呼ばれている。

JVCがプロジェクト第1フェーズでSRI研修を開始した頃は、幼苗の1本植えを村人に紹介していた。しかし、1本植えだと、水田に生息している小ガニに苗が食べられてしまうことを村人が恐れるので、最近では、1本植えにこだわらず2~3本植えでもOKということでSRIを紹介している。

今月は、乾季にSRIで稲作を実施しているモデル農家(ピン郡サイソンブン村)を訪問し、稲の生育状況のモニタリングを行った。水田の横に灌漑用の水路があるので、乾季でも稲作を行うことができる。SRIのモデル農家ということで、水田をSRIとNon-SRIに分けて利用し、生育度合や収穫状況の違いを示すことに協力してもらっている。2月下旬にモデル農家を訪問した時は、1月に植えられた苗が順調に成長しており、水田の緑が目にまぶしかった。

Non-SRIの田んぼNon-SRIの田んぼ
SRIの田んぼSRIの田んぼ

米銀行

米銀行の説明会に集まった村人(パロン村)米銀行の説明会に集まった村人(パロン村)

2月に、パロン村で米銀行についての説明会を実施した。パロン村には257世帯ある。パロン村の人々は、これまでに米銀行について聞いたことがなかった。ラオスでは、11月~12月が米の収穫期にあたる。この時期に収穫された米で、家族全員の1年間の米の消費をまかなわなければならない。しかし、収穫量が少ない家庭では、毎年、6月頃には備蓄の米が尽き始める。9月や10月には、米の備蓄がある家庭でも、十分な備蓄量ではないので、1日に米を3回食べることができず、2食に減らしている家庭もある。

米の備蓄が尽きる時期になると、女性たちは、森に行って林産物(キノコ類など)を採取し、それを販売し、そのお金で米を買う。あるいは、林産物を村の有力者の家に持って行き、米と交換してもらう(物々交換)。家庭で米が足りないと、女性が森に食べ物を採りに行くことになるので、女性にとっては大きな負担である。家庭に米が十分にあると、女性が森で費やす時間が減るので、女性が家族と一緒に過ごせる時間が増える。結局、この日の半日説明会だけでは、米銀行を開始するかどうかを決めることができず、参加した村人が、家に帰って家族で相談し、後日、決めるということになった。

ラタンに似た植物の新芽(食用)ラタンに似た植物の新芽(食用)
大人の女性だけでなく、子どもも食用林産物を採りに行く大人の女性だけでなく、子どもも食用林産物を採りに行く

3月になって、JVCスタッフが再びパロン村を訪れ、米銀行を実施したいかどうかをたずねたところ、「米を無料でもらえるのではなく、次の収穫期に米を返さないといけないとなると、米を返さない、返せない人が出ることが懸念されるので、米銀行の導入は見送ろう」ということになった。

パロン村に限らず、他の村でも、「米をもらえると思っていた...」と勘違いしている声を耳にする。米銀行は、米不足の人に米を無料で与える慈善事業ではない。米銀行の活動は、利子をつけて米を返すことを村人に義務付けることで、村人に責任感と自立心を育てることを目指している。すなわち、米銀行は、「持続可能な農村開発」を実現するための活動なのである。

パロン村では、米銀行のシステムを維持できるかどうかに難色が示されたため米銀行の導入が見送られたが、3月には、新規にピン郡のカヨン村で米銀行を設置した。カヨン村の隣りにあるカンマイ村では、2011年に米銀行が設置されており、カヨン村の村人は、米銀行の利便性をカンマイ村の村人から聞きつけ、2013年度は隣村に足を運んでカンマイ村の米銀行を利用していた。米銀行から米を借りるというシステムに魅力を感じたカヨン村の村人からは、「自分たちの村にも米銀行を設置してほしい」という声があがるようになった。JVCでは、カヨン村からの米銀行設置のリクエストに応える形で、今月、カヨン村に米銀行を設置した。カヨン村では、隣村の米銀行を利用していたので、米銀行のシステムを理解したうえでの設置となった。このような「お試し期間」を経て米銀行を開始する村では、村人が自律的に運営してくれるのではないかと期待している。

村人によって建てられた米銀行の米蔵(カヨン村)村人によって建てられた米銀行の米蔵(カヨン村)

家畜銀行

(1) 牛銀行

2月には、牛銀行を開始するピン郡のパルー村を訪問し、牛銀行委員会のメンバーと牛銀行から牛を借りる村人たちを対象に、牛銀行のシステムについての説明会を開催した。家畜担当のシーサワンが中心となって、牛銀行のシステムについて説明した。主なルールは、次の通りである。

牛銀行の牛小屋(パルー村)牛銀行の牛小屋(パルー村)
牛銀行の説明(パルー村)牛銀行の説明(パルー村)

<牛銀行のシステム>

  • 村人は、牛銀行から母牛を1頭借りる。
  • 母牛が産んだ子牛は、その子牛が2歳になるまで育て、2歳になったら子牛を牛銀行に返す。母牛の妊娠期間は280日なので、1年弱で1頭の子牛を産むことになる。借りた母牛が子牛を2頭産み、その2頭は2歳になると牛銀行に返さなければならない。3頭目以降の子牛は、村人のものとなる。
  • 返された子牛がメスの場合は、そのメスの子牛を牛銀行が次に牛を借りることを希望している村人に貸し出す。メス牛は、2歳から妊娠可能である。
  • 返された子牛がオスの場合は、そのオスの子牛を牛銀行が売却し、その現金でメス牛を買うか、あるいは、その現金を牛銀行の資産として牛銀行名義の口座に貯金する。

この基本システムに加え、「牛が病気で死んだ場合、盗まれた場合などは、どのように対処するのか」・「ワクチンの接種はどのように義務づけるのか」・「牛銀行委員会は、具体的にどのような責務を担うのか」などの細則を明記した「牛銀行規約」を作成した。同時に、JVC・サワナケート県農林局・牛銀行委員会の三者で交わす「牛銀行実施協定書」と、牛銀行委員会と借り手(村人)の間で交わす「牛貸借契約書」も、英語・ラオス語で作成した。これらの書類をもとに、牛銀行委員会や借り手の村人たちに、牛銀行のルールと関係者の役割を説明した。

さらに、3月18日には、ピン郡のパルー村で、牛銀行から牛を借りることになっている村人と牛銀行委員会のメンバーを対象に、ミネラルボックスと呼ばれる牛の栄養剤の作り方の研修も実施した。砂、米ぬか、シロップ(砂糖)、塩、セメントなどを混ぜて、バケツに流し込み、固めて乾かしたものを牛小屋につるしておく。牛がミネラルボックスを舐めることで、牛の栄養状態を良好に保つことが狙いである。

ミネラルボックスの材料ミネラルボックスの材料
ミネラルボックスを作るミネラルボックスを作る

(2) ヤギ銀行

今月は、2011年にヤギ銀行を開始したピン郡のカンマイ村をモニタリングで訪れた。第1フェーズでヤギ銀行を導入した村は、カンマイ村以外にも2村あったが、カンマイ村以外の2村では、ヤギが他の村人の家庭菜園を荒らす、ヤギが盗まれる、などの問題が発生したため、ヤギ銀行を中止した。

現在は、カンマイ村だけがヤギ銀行を継続している。2011年に、15頭のヤギを原資として開始したが、現在は、24頭にまで増えている。カンマイ村では、順調にヤギの数が増え、ヤギが村人の貴重な現金収入源となっている。

子ヤギは7カ月になると売ることができ(買い手があり)、メスは9カ月から妊娠可能である。ヤギの妊娠期間は、3カ月と23日(113日)で、牛の妊娠期間(280日)よりも短い。ヤギは牛のように高値では売れないが、短いサイクルで現金収入を手に入れることができる。

ヤギを借りた村人は、自分の家の下のスペースでヤギを飼っているヤギを借りた村人は、自分の家の下のスペースでヤギを飼っている

深井戸の掘削・維持管理

JVCラオス事務所では、「○○村の深井戸が壊れている。どうしようか...。修理費が...」という話が、ひっきりなしに飛び込んでくる。JVCでは、村人が衛生的な水を使えるように、井戸の掘削を支援している。

井戸には、浅井戸と深井戸の2種類がある。浅井戸は、井戸を掘った後、セメントの筒で穴の周囲を覆う。ロープの先にバケツや桶をつけておいて、ロープを引っ張ると水を汲み上げることができる。浅井戸の仕組みは極めてシンプルで、壊れることがない。しかし、深井戸は、写真の様子からも想像できるように、多くの村人が何度も水を汲み上げているうちに、どこかが故障してしまう。

深井戸深井戸
浅井戸浅井戸

JVCは3年間限定で、深井戸の修理を担っている(費用はJVC負担)。同時に、将来、村人たちが、自分たちで深井戸の維持管理を行えるように、3年間は深井戸管理組合が村人から使用料(年会費のようなもの)を徴収し、そのお金を組合名義の銀行口座に貯金することを義務づけている。3年後には、かなりのお金がたまっていることになるので、JVCが撤退した後、村人は自分たちで費用をまかなって、深井戸の維持管理をしていけるようになっているだろうというのがJVCの「希望的観測」である。

使用料の徴収がうまくいっている村もあれば、そうでない村もある。使用料を払いたくないという村人に理由をたずねると、「どうせ払っても、そのお金が何に使われるのかわからない」・「また、村長が別のことに使うかもしれない」などの答えが返ってくる。使用料の徴収がうまくいっている村では、村長の人望が厚く、村人どうしの団結力が強いという特徴がある。

深井戸を掘削してから3年間は、JVCが費用を負担して修理を行うことになっている。しかし、あまりにも頻繁にあちこちの村で深井戸が故障しているので、JVCのローカルスタッフは、故障状況の確認のために、常に走り回っており、てんやわんやの状態である。村人のみなさん、深井戸をかわいがってあげて、もう少し丁寧に使ってみてくださいね。

3月は、アサポン郡のポンボック村とナケノイ村、ピン郡のナトゥー村とノンルアン村の計4村で、合計6基の深井戸を掘削した。各井戸のサンプル水を県の保健局に持っていき、水質検査を行ってもらったところ、6基の井戸水からはヒ素は検出されず、無事に水質検査に合格したところである。

掘りたてほやほやの深井戸から出る水掘りたてほやほやの深井戸から出る水
深井戸の水質検査のためにサンプル水をくむ深井戸の水質検査のためにサンプル水をくむ

土地・森林活動

土地の権利

PLUP(参加型土地利用計画)

2月上旬、1月にピン郡の2村で開始したPLUPのデータ整理をおこなった。 予定では2月、3月にピン郡の2村でPLUP第2ステップ工程(GISによる土地計測、村人との土地利用実態にかかる協議)などを行う予定であったが、PLUP担当のスタッフが体調を壊し、2月中旬から3月いっぱいまで療養することとなった。そのため、2013年度に実施予定であったPLUPは大幅に遅れているが、担当スタッフが4月に復帰した後、本格的な雨季の到来前に可能な限り作業を進めたい。

啓発活動

(1)法律研修

2月初めに、NGOネットワークで作成した『法律カレンダー(2014年度版)』が1200部納品され、さっそく村での配布を行った。配布対象は、活動全対象村30村で、朝や夜の村人が農作業に出ていない時間帯に絞り、村人全員に声をかけ(実際に全員が参加できるわけではないが)説明を行った。

説明はまず、カレンダーを見せながら、カレンダーに描かれたイラストを説明することで、村人は普段馴染みがなく、ただ聞いていただけでは意味を理解するのが困難な法律に描かれた内容をわかりやすく伝えた。また、まだ大きな土地問題が起きていない村人たちにも当事者意識を持ってもらうため、カレンダーに描かれたイラストに関係する、実際にサワナケートで起きている問題などを共有し、村人の感想や意見を聞きながら進めた。
村人からは大きな反響があったものの、ときには、「ちゃんと法律があったのにすでに土地収用などの問題は起きてしまっている」「法律で書かれていても、結局企業が土地収用をすると決めたときには何もできない」などという意見も出た。しかし、JVCからは法律を知っておくことで将来の問題を防げること、きちんと法律を理解していれば正当な交渉ができたり、法律に基づいていれば自分の意見を主張することも不可能ではないことなどを伝え、まずは村人に"知ること"が自分たちを守る手段であることを説明した。

村人にカレンダーを配布し、カレンダーを見ながら説明する様子村人にカレンダーを配布し、
カレンダーを見ながら説明する様子

(2)自然資源の大切さと土地の権利を伝える演劇・人形劇

村人に自然資源管理や土地に係る問題を知ってもらうための啓発活動は、村人にわかりやすい形で伝える必要があるため、演劇や人形劇といった手段をもちいて実施している。演劇は民族学校の高校生を巻き込んで実施するため、前回は高校の短期休暇にあたる1月末の2週間に活動を行った。

実は、その演劇で使われた2つの台本は、もともとJVCが作った台本から随分内容が削られたものとなる。ラオスにおいて、活動を通して村などに配布されるものは全て行政の許可が必要となり、今回の台本もサワナケート県文化情報局の許可を必要とした。しかし、行政からチェックを受けたとき、村の土地コンセッションの問題などに触れたところはセリフがカットされてしまい、JVCが伝えたかった内容が変えられてしまった経緯がある。 この問題について、CFチームスタッフが内部で相談し「台本内容に土地法などの法律をもっと入れよう。そうしたら行政はカットすることはできないし、カットされても私たちは『国の法律なのになぜダメなのですか』と言うことができる」という提案が生まれ、現在、次の6月実施に向け、内容を改定中である。

また、本活動に対する簡単な評価方法として、シートを作成し、上演後、質問形式で簡単に村人の理解程度を確認する予定であったが、このシート作成が十分にできたのはほんの数村だけだった。ちょうど実施時期は寒い日が続き、演劇が終わるとすぐに村人は家に帰ってしまったことが大きな理由だが、きちんと評価が実施できるよう、今後チーム内で検討していく。

自然資源管理

(1)魚保護地区設置

現在、アサポン郡ドンサーン村で魚保護地区設置の準備を進めているが、この村の川はサワナケート県の北側に位置するカムワン県との県堺になっており、この村で魚保護地区設置を行うためには、サワナケート側の隣村のみでなく、カムワン県側の行政、村々からの理解と許可が必要となってくる。そのため、3月上旬にカムワン県側のナパカー村へ行き、魚保護地区設置のルールやその効果についての説明を行った。ドンサーン村およびナパカー村はこの魚保護地区設置のルールについて合意したため、今後は行政の正式な許可を取り、隣村を集めての説明会を実施する予定である。

ドンサン村に隣接するカムワン県側の村へ<br/>魚保護地区設置にかかる説明ドンサン村に隣接するカムワン県側の村へ
魚保護地区設置にかかる説明

(2)コミュニティー・フォレストリー設置

村の環境や自然資源を守り、通年をとおして安定的に食料が確保できるよう共有林(コミュニティフォレスト)を設置するこの活動の一番の難しさは、コミュニティ・フォレストリー(以下、CF=共有林)の設置の大切さと利点を村人に理解してもらうことにある。
実際にCFを設置しないと実感しにくいこともあり、3月末に南部チャンパサック県で活動するGAPEというNGOのCFを、村人と一緒に見に行くという2泊3日のスタディー・ツアーを行った。スタディー・ツアーにはJVC対象村でCF設置を検討している6村12名の村人および県・郡の行政官が参加し、CFの成功例を実際に見、その村人たちと意見交流をすることで、JVC対象村の村人たちがCF設置に積極的な姿勢を示した。

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