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お母さんに戻った笑顔

イラク事業担当 原 文次郎
2004年3月 9日 更新

2月8日(日)、バグダッドのマンスール教育病院を訪問した。この日を境に、病院の名前は「子ども福祉教育病院」になっていた。医師の話では、こちらの方が元々の名前で、『マンスール』と言うのはサダム・フセインが後からつけた名前だと言う。つまりは元の名前に戻ったわけだ。

この日は病棟を訪れたところで、前日会ったばかりのディリアちゃん、ジーナちゃんの二人が相次いで亡くなったことを知らされ、病棟にいても気分が落ち着かなかった。
そんな中で、JVCが以前この病棟に寄付した輸液ポンプ装置が使われているのを発見し、支援が役に立っているのを見て少しほっとした。

輸液ポンプ輸液ポンプ

この装置のお世話になっていたのが、レイス・ヨーセフ君(4歳)だった。装置から延びた点滴のチューブが手首の針につながっている。長い時間を掛けて少量の薬品の点滴を受けるために、この装置は欠かせない。
後から思えば、この日は、装置の方に目が行ってしまっていた。点滴を受けていたレイス君が静かにしていて大丈夫そうに見えたものだから。

その後、何回かこの病棟を訪れたが、いつもレイス君は病棟にいた。こういうことは、実はイラクでは珍しい。
ガン・白血病の病棟と言っても、イラクでは治るまで入院し続ける患者さんは少ない。集中的に投薬を受ける期間が過ぎると退院してしまい、後は外来で診察を受けるのが普通なので、平均的な入院期間は治療の最初で2週間、再入院の場合で1週間だという。そういう事情なので、病棟を訪れるたびに入院患者の顔ぶれが変わっている方が普通だ。
しかし、何度訪れてもレイス君は病棟にいた。
そして、付き添いのお母さんの表情が日増しに険しくなっていった。ある日聞くと、
「本当はきょう退院の予定だったところが、熱を出していて退院できない」
と言う。そう、具合が悪くてなかなか退院できないのだ。

病棟で最初に会った時のレイス君病棟で最初に会った時のレイス君

数日後にまた病棟を訪問すると、部屋にいない。今度は良くなって退院したのかと思ったら、別の個室に入っていた。
個室と言っても、イラクの病院事情では設備が良くなる訳ではなく、それまでの4人ひと部屋の集合部屋から一人になるだけにすぎない。
それでも、感染症防止の観点からは大切なこと。
でも、逆に考えれば、この部屋に入ったということは重症だと言うことだ。お母さんの疲れ具合も一段と激しく、看病疲れが見え、声を掛けることもできなかった。

こんなことが続いた後の2月24日。この日は医師との打ち合わせで忙しく、病棟を訪問する時間が無いまま、帰りの車を発進させようとしたところで、レイス君と母親の姿を見かけた。
退院して家に帰るところだという。父親も一緒だ。
「大通りまで車に乗せて欲しい」と言うが、よく聞くとティクリート行きの長距離バスに乗ると言うので、それならついでにと長距離バスの発着場まで車で送ることにした。
これでちょっとした人助けだ。

レイス君と車内で微笑むお母さんレイス君と車内で微笑むお母さん

マスクをしているので、レイス君の表情はわかり難いけれど、だいぶ元気そうだ。何より嬉しいのはお母さんの表情が、前回、病棟で見かけたときとうって変わって明るい表情になっていることだ。お母さんに笑顔が戻っていた。これがこの日の何よりの収穫だった。
後から主治医に聞くと、レイス君は一時は命が危ない状態だったそうだ。しかし、その後の集中的な投薬が功を奏して、一時退院できるまで良くなったとのこと。JVCの寄付した機器がそんな中で少しは役に立って、おかげであのお母さんも笑顔を取り戻すことができたかと思うと嬉しい。


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