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イラク全域への人道支援に向け課題を乗り越える

イラク事業ボランティア 井川 翔 JVCイラク事業チーム補佐 中野 恵美
2014年8月19日 更新

NGO Coordination Committee for Iraq (NCCI) ウェブサイト編集部論説の2014年7月23日の記事を翻訳したものです。

(翻訳担当:井川翔、中野恵美)

武装組織によるイラク第2の都市モースルの奪取は、 国際援助機関及びイラク政府がイラクの現在の危機に対し想定していた最悪の事態を越えた。「不測事態対応計画(contingency plan)」は、武装組織によるファルージャとラーマーディの占領及び政治的和解の失敗により、イラク内の他の地域に戦闘が広がる可能性を想定していた。
しかし、今回の議会選挙とその後の連立政権の不成立のため生じた政治的空白を武装組織がここまで素早く利用することは、ほぼ誰も予測していなかった。それでも、援助機関はその活動の規模を迅速に拡大し、被害を受けている人たちの人道的ニーズに対応している。

6月初め以降、暴力的紛争の結果65万人以上が避難を余儀なくされている。アンバールでの闘いで避難を余儀なくされた約55万人と合算すると、イラクの国内避難民の人口は、1月以降約2倍に膨れ上がり、現在230万人に達している。被害者たちは、往々にして一カ所に留まれず移動を繰り返しているため、又、今回の紛争は急速に悪化したため、援助諸機関は、様々な困難に同時に対処しなければならない難しい立場にある。

おそらく最大の課題は、国連機関やNGOのスタッフが安全上の危機的事態のため北部のクルド自治区に移動せざるを得なくなっている状況だ。現在、アルビルという都市が、諸団体が連携する人道的対応の中心となっている。様々な民族の国内避難民50万人以上が、暴力から逃げるためにクルド自治区内の県に押し寄せた。
しかし、今では自治区への進入が制限され始めたため、 検問所でペシュメルガ(クルド自治政府の治安部隊)により入境を断られる人が増えている。結果、援助機関は、避難先の安全なアルビルにいながらも、境界線の向こう側で被害を受けている人たちに手を差し伸べる活動に力点を置いている。活動の拡大は、現地へのアクセスの困難及び、その結果生じているニーズ評価の難しさに負けずに行われている。

人道支援は、隣接するニナワ県のハムダニヤ、Tel Kaif、Al-Shikhanやディヤラ県のハナーキンのような最もアクセスしやすい地域には届いている。
しかし、タルアファルのようなニナワ県の南部や、サラハディーン県とキルクーク県のほとんどに対しては支援の継続が難しく、活動範囲に限界がある。さらには、国内避難民約71,000世帯(約42万人)が依然としてアンバール県の中にいることも忘れてはならない。今年1月から5月までに発表されたNCCIの多くの現場報告が、アンバール県での公的サービスや保健医療の提供に発生している深刻な崩壊や、被害を受けている地元の人たちの基本的ニーズが全くかなえられなくなっている状況を強調した。
国際社会の努力の非常に大きな部分が、いまやイラク北部の県へ向け直されてしまったため、ファルージャはじめアンバール県内から逃げられない人たちの状況の行方は、悲観することしかできない。

現在、北部の県でのニーズやそれに応える人道支援の陰に隠れているが、イラクの中部と南部へ重心を戻すための圧力が高まっている。今年の紛争で避難を余儀なくされた人々の55%は中部と南部の人々であることから、このように焦点を定め直すことは、至極正当であろう。最近では、シーア派のトルクメン人とアラブ人が、紛争から遠ざかるためナジャフやカルバラーなどの都市及びバグダッド、バーベル、ワーシト、バスラなど中南部の県へ移動している。

こういった傾向は、クルド自治区へ避難中の家族が、高い生活費、文化や宗教・言語上の壁に直面し、地元のコミュニティに中々溶け込めないという厳しい現実を経験するうちに、これから数週間、数ヶ月の間に固定化していくことが予測される。この状況は、中南部地域の地元のキャパシティを強化し、効果的な連携対応を行う必要性を再度浮き彫りにするだろう。また、クルド自治区への入境や在住に対する制限により、多くの国内避難民達は、このまま国内難民として生きていくか、または大きな身の危険を冒して武装組織の支配地域に秘かに戻るかの選択を強いられている。

早晩、人道団体コミュニティ(humanitarian community)は、共同対応の戦略を拡大し、イラク中南部に対する支援範囲を広げる方法を打ち出さないといけない。北のクルド自治区は、強制的な移動(避難)の危機に対する共同対応を行う「人道センター(the humanitarian center)」として確立する方向へ向かうだろうが、イラクその他の地域、とりわけアンバール県内の忘れられた国内避難民の差し迫ったニーズに対応するために、時間と労力を費やさねばならない。

5億米ドルに及ぶ最近のサウジアラビアから国連への寄付は、キャパシティと責任という諸刃の剣になっている。援助機関が活動を拡大するための資金は、少しずつ流れるだろう。しかしこれらの資金は、現実の人道的ニーズによって振り分けるべきであり、様々な障害に振り回されるべきではない。

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