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「どうしてみんな人をころすの?」
イラクの孤児達が問いかける

JVCイラク事業チーム補佐 中野 恵美 イラク事業ボランティア 窪内万葉
2014年8月19日 更新

この記事は7月9日のCNNの記事を訳したものです。
原文はこちらからご覧下さい。

(翻訳担当:窪内万葉、中野恵美)

ハジルは、父のことを覚えていると言った。警察官であった父親は、7年前、彼女が4歳のときにバグダードの路上で撃たれ殺された。ハジルは、父の姿も一家団欒の暖かさも鮮明には覚えていない。現在11歳の彼女に残されたのは、笑顔と笑い声の断片的な記憶だけである。

「どうして人をころす人たちがいるの?人をころすとお金がもらえるの?」ハジルは問う。何故父が殺されなければならなかったのか、何故群衆の只中で自爆行為に及ぶ者がいるのか、彼女には全く理解できないのだ。

シーア派の居留地として200万人以上の人口を抱えるバグダード市サドル地区。ここにあるヌールこどもセンターに於いて、このような疑問を抱くのはハジルばかりではない。 彼女は、この荒れ果てた2階建ての施設に通う300人以上の孤児達の1人に過ぎないのだ。

イスラム社会では往々にして、一家の稼ぎ手(主に父親)を失った子供のことを「孤児」と呼ぶ。彼らの多くは母親或いは遠縁の親戚と共に生活しており、ヌールこどもセンターは彼らに食事、衣類及び教育を提供する一種のデイケアセンターとして機能している。

暴力が横行する地区に位置するこのセンターには、爆発や銃撃戦に巻き込まれて親を失った子供があふれている。中には、親が自爆して死んだ子供もいる。「(親の死因によって)子供達を差別はしません。」施設長のリカーは言う。

2003年のアメリカ軍によるイラク侵攻以降の宗派闘争の中で、数え切れない程の子供達が親を失ってきた。その数は国際連合の発表に拠れば数十万人、イラク孤児院基金に拠れば数百万人に上る。

そして政府転覆を謀る過激派武装集団がイラクの広範囲を占領している現在、 激化する抗争の影響で死亡者数は増加、センターに連れてこられる子供の数も増える一方だ。

サドル地区郊外にヌールこどもセンターが設立されたのは2009年。10人の子供のケアから始まったという。「子供達にもっと多くのことをしてあげたいし、してあげなければならない。まずは衣服から、そう思っています。イラクで生きていく為に十分な賃金が得られない母親達を放ってはおけません。」リカーは語る。

センターの茶色のソファでは、 ハジルと同じく11歳の親友バニーンが、くすくす笑っている。緑のゴムで髪を束ねピンクのリボンをつけたハジルと、イスラム教徒の女性が伝統的に着用するヒジャブで髪を覆ったバニーンは、まるで正反対だ。

彼女たちの友情は、哀しみから生まれた。バニーンもまた、10カ月前にこの地区で起こった爆発で父を亡くしているのである。

バニーンと4人のきょうだいは、 現在父方の祖父母と困窮した生活を送っている。6歳の弟アリは、決してバニーンの傍を離れようとしない。彼女が家族に起きたことを語る間も、彼はじっと姉の言葉に耳を傾けていた。欲しいものを訊ねると「もっとおいしいものがほしいな。」というアリ。彼が恋しがるのはハンバーガーでもピザでもない。「シャワルマ(中東のサンドイッチ)がたべたいよ。」

部屋の反対側では、1歳のザーラが女性の膝で抱かれている。ザーラと4歳の兄ムスタファは、両親の亡骸の傍で遊んでいるところを保護された。

バグダード市北部の郊外に在った彼らの家に武装組織が踏み込んだのは、1月のある日、寒い午後のことだった。復讐なのか、宗派主義者の仕業なのか、何故彼らの両親が殺されたのかは、叔母のアムにも分からないという。子供達に亡き両親を思い出させることを危惧する彼女は、多くを語ろうとはしなかった。

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