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イラク-アメリカの安全保障協定協議に問題が立ちはだかる

2008年度イラク事業インターン 森 若奈
2008年8月 5日 更新

イラクにおけるアメリカ軍の存在に根拠を与えている国連の決議が2008年末に期限切れとなるため、イラク・アメリカ両政府は7月31日を期限として安全保障協定締結のための協議がなされていたが、物別れに終わった。[1]

この安全保障協議は今後のアメリカの存在根拠となるだけではなく、アラブ同盟に対して、イラクがイラン支配を受けないことを補償する意味もあった。一方イラク市民にとっては、アメリカの支配が何十年も続くのではと、心配の種であった。[2]

この協議が決裂した原因はいくつも指摘されているが、
1.イラク側がアメリカ軍の完全撤退の時期が決定を求めたこと。
2.イラクにおけるアメリカ軍と民間の警備会社に免責の付与にイラク政府が反対したことが、交渉決裂の大きな原因だったとされる。[1,3]

イラクにおけるアメリカ軍は、7月31日にブッシュ大統領によって削減の方向が示されたが、イラク政府の求める撤退の予定をめぐっては、具体的な時期は決定されなかった。イラクからの撤退は、時期大統領選挙でも論点の1つになっており、オバマ氏は16ヶ月以内の撤退を主張し、マケイン氏は状況が良くなったときにのみ撤退は可能という姿勢だ。Der Spiegel は、イラクのマーリキー首相がオバマ氏の発言を支持するという言葉を紹介している。[4]

「イラクの主権を侵すもの」として、アメリカ軍に対して免責を認めることに対するイラク側の反発も根強い。Al-Hayatは「統一同盟連合」代表の「アメリカ政府は、イラクの主権を侵害しかねない条項のいくつかについては譲歩し、柔軟に対応してくれている」という発言を紹介している。同時に代表は、「基地外でのアメリカ軍の違反は、イラクの法律で対処する」とコメントしている。[3]

こうした協議の難航をThe Washington Postは、「マーリキー首相には、安保協定の協議でアメリカ側への影響力をみせることで、今年行われるであろう地方選において、出身のダーワ党が有利になるという思惑が間違いなくある」と見ている。[5]

アメリカもイラクとの安全保障協定締結に至らない中、日本政府・与党も航空自衛隊のイラクからの年内撤収を決めた。[6]

日本もまた、イラクから撤退し、アフガンの兵力を増派しようとする国際的な動きの中にある。29日からディヤラー地方で武装勢力の掃討作戦も始まっている。[7]

今もなお、"治安の安定"の裏で掃討作戦が行われ、市民生活が脅かされている。イラク-アメリカの安保協議の進展とともに、イラクから聞こえてくる"治安の安定"が、真のイラク社会の安定となっているのかもよく見ていかなければならない。

参考資料

[1]BBC, 2008/07/29, US 'may miss 'Iraq pact deadline

[2]The Jordan Times, 2007/07/23, Battle ahead over future US role in Iraq

[3]Al-Hayat [Arabic], 2008/07/29,"撤退期限をめぐる議論"と"兵士への免責"は安全保障協定締結の障害に

[4]The New York Times, 2008/07/19, Maliki Backs Obama's Troop Withdrawal Plan

[5]washingtonpost.com, 2008/07/23, Behind Maliki's Game

[6]産経ニュース, 2008/07/29, 空自、イラクから年内撤収へ

[7]Al-Jazeera, 2008/07/29,Iraq forces launch Diyala offensive


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