アジア・中東・アフリカで活動する国際協力NGOです。
  • JVC facebook
  • JVC twitter
  • イベントメルマガ配信中
  • 文字サイズ:大きく
  • 文字サイズ:中くらいに
  • 文字サイズ:小さく
JVC English website

女性と子どもの健康を守るために 〜村の女性対象の「伝統産婆支援」と「母親教室」のようす〜

JVCアフガニスタン事業担当補佐 谷山 由子
2010年3月 8日 更新

2009年12月、アフガニスタンに短期出張してきました。メールのやりとりだけではわからない、村の人たちの気持ちの変化やスタッフたちのがんばりを知る、貴重な機会となりました。現地にいる間、活動の進み具合を聞いてきたのでご報告します。

今回ご報告する「伝統産婆支援」と「母親教室」は、2005年からアフガニスタン東部の村で開始した『アフガニスタン地域保健医療事業』の一環として実施されています。開始当初は病気治療に重点が置かれていましたが、徐々に病気にならないからだづくりに重点が移ってきています。村人が自分たちで病気予防に取り組むしくみとしての保健委員会を立ち上げたり、健康に関する意識が村人の中に定着するよう診療所や学校、地域保健員と協力しての健康教育を実施するなどして、自分たちの手で健康を維持できるようになることをめざしています。

その中で特に力を入れているのが、安全な出産と健康な子どもを育てるための取組みです。アフガニスタンでは、出産時の妊産婦死亡率が世界で2番目に高く、また4人に1人の子どもが5歳未満で命を失ってしまいます。食べ物や衛生といった生活面の改善や、病気への適切な対処、医療サービスの改善が求められていることがわかります。私たちJVCは、村でお母さんたちが「安心して子どもを出産」でき「みんなが健康で暮らせる」環境を整えるためにこの「伝統産婆支援」と「母親教室」活動を実施しています。

活動の背景とこれまでの経緯

アフガニスタンの農村部では、医療施設や医療従事者が不足しています。比較的医療水準が高いと言われている活動地域の県、ナンガルハル県でも、依然として都市部との格差は歴然としており、例えば近年の統計でも、人口1万人当たりの助産師数は、県中心のジャララバード市で2.8人、JVCが支援をしている県北東部のシェワ郡で0.61人、医師の数は前者が6.34人で後者は0.61名といわれています。

こういった中で、今から約3年前の2006年、JVCは診療所を運営している集合村のうち、診療所のある1村を除く7か村で、地域保健員(Community Health Worker : CHW)の養成を始めました。ゴレイク集合村と呼ばれるこの地域では、人口も広さも村ごとに異なります。100〜150世帯を担当することになっているCHWは、人口によって村ごとに2人(通常女性1人男性1人のペアで養成する)であったり4人だったりします。そのCHWのうち、13人の女性CHWと協力し、村のお母さんたちに健康に関する基礎的な知識を持ってもらおうと、7か村それぞれのCHWの家を会場にこの活動を開始しました。このように、JVCは診療所を運営する傍ら“治療より予防”を開始当初から言い続け、やっと「母親教室」という方法で家族の健康の鍵を握る女性に、実践してもらうきっかっけを作ることができるようになりました。

伝統産婆支援

2003年10月以来、JVCはナンガルハル県シェワ郡、ゴシュタ郡において、村の産婆を対象とした15日間のスキルアップ・トレーニングを実施すると同時に、トレーニング後のフォローアップと出産介助キットの配布を行ってきました。その間に、まだ村では多くの女性たちが、産婆や診療所などのケアーを受けられず、危険な出産をしていることが、伝統産婆の報告などでわかってきました。伝統産婆の支援に加え、より広範囲な母子保健に関する基礎知識の普及が、新たな課題となっています。

伝統産婆支援は、トレーニングした産婆が清潔で安全な出産介助ができるよう、3か月に一回診療所の助産師が出産介助の道具の配布をしながら介助のようすを聞き取り、適宜助言をしています。また、JVCの運営する診療所との連携を強化することで、村の中で母子保健活動が効果的に行えるようにしています。伝統産婆を支援しているゴレイク村には、これから報告する母親教室で中心的な役割を担っているCHWがいないので、伝統産婆がその役割を担うことが今後期待されそうです。また最近では、産婆が衛生的で医師や助産師がいる診療所での出産を村の女性たちに勧めるようになり、実際に診療所を利用した女性たちからも安心して出産できたという声が聞かれるようになりました。ただ、診療所は夜間の運営はしていないので、これまで通り産婆の手を借りて自宅で出産するケースが大半をしめています。

キットを配布の記録をつける診療所の助産師(右)キットを配布の記録をつける診療所の助産師(右)

母親教室

以前もご報告しましたが、JVCの活動地域の村7か村(1.バル・カシコート、2.クズ・カシコート、3.ウズバーグ、4.バンガオ、5.カチャラ、6.コティ、7.タラン)で、女性CHW13人が担当する村の女性各15名を対象に、合計8回(月に一回)のトレーニングを実施しています。役割として、女性CHWが参加者への声かけやお茶の用意など準備を担当し、JVC女性スタッフが指導やアドバイスを担当しています。

女性たちが学ぶ内容は「薬について」「伝染病について」「衛生について」「安全な出産介助の基本」や「出産前後の注意点」「家族計画や妊娠に関する基礎知識」です。こういった知識を増やすことで、自分たち自身で健康を管理できるよう働きかけをしていきます。

サルバンド村に集まった女性たち。サルバンド村に集まった女性たち。

回を重ねるごとに母親教室への意欲が増し、健康への関心が高まってきました。

お母さんたちの宿題。お母さんたちの宿題。

教室が終わったあと、トピックごとに描かれた白黒の線画を配布し、開始当初に配った色鉛筆で色をつけて次回持参してもらいます。この絵は食品管理についての絵。ネットのある棚に食べ物をしまったり、水甕のふたをしてコップは伏せておくよう描かれています。

研修を進めるにあたっての課題

・CHWの能力の差

現在JVCスタッフ(コミュニティ・ヘルス・プロモーター)が中心になって指導をし、CHWは補佐をしています。今後、CHWが力をつけ、指導もできるようになってほしいと考えています。しかし、人によって女性たちに話をするのが得意な人とそうでない人がいます。これまでの様子からわかることは、活発なCHWの教室では、参加者も毎回時間通りに会場に来てしっかりと話を聞いていますが、そうでないCHWの教室では、参加者は関心が低くなかなか学んだことを理解することができません。CHW自身の能力の向上がまず必要ですが、同時に教材を工夫して、誰もが一定の関心がもてるようにしたいと考えています。

・他の健康教育活動との連携

診療所やサブセンター(診療所から遠い村に設置した簡易診療所)でも患者を対象に「下痢になった時はどうするか」「マラリアを予防する方法」など、基礎知識を学んでもらうための健康教育を実施しています。学校でも、怪我などの応急処置や病気の知識などを伝える健康教育研修を、先生対象に実施しています。多くの機会や場で健康教育をしながら、それぞれで扱うトピックに関連性をもたせて、健康改善が進むよう配慮していきます。

活動地域の地図活動地域の地図

団体案内
JVCの取り組み
11ヵ国での活動
イベント/お知らせ
現地ブログ
あなたにできること
その他
特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター
〒110-8605 東京都台東区上野5-3-4 クリエイティブOne秋葉原ビル6F 【地図】
TEL:03-3834-2388 FAX:03-3835-0519 E-mail:info@ngo-jvc.net