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アフガニスタンでの教員研修のようす

JVCアフガニスタン事業担当補佐 谷山 由子
2007年2月 9日 更新

前回“アフガニスタン最新情報27”でご報告した、ナンガルハル県シェワ郡の教育現場の実情調査(昨年12月の終わりから今年の初めにかけて実施)をもとに、1月21日(日)から小学校低学年(1、2、3学年)の担任70名(女性教員10名、男性教員60名)を対象に教員研修が開始されました。
 女性参加者が少ないのですが、そもそも対象となるシェワ郡内に354人の男性教員がいるのに対し、女性教員は28人しかおらず、今回訓練の対象とした小学校低学年担当教員の中に女性はたった4人だけで、それではクラスとして成立しない状況でした(男女は文化的事情で同席できない)。
 そこで女性教員の研修機会を確保するため、6人の高学年担当を加えてクラスとして成立させたものです。11日間の研修は毎日朝8時半から午後1時半まで、4つのセッションが30分の休憩をはさみ進められています。


この研修がめざすのは、先生方が新教科書の指導書を使いこなし効果的な授業が展開できるようになること。そのために具体的に「イスラーム教」「国語(パシュトゥ語)」「算数」そして「生活科(ライフ・スキル)」、各科目の指導書を引用しそれぞれについて2日間かけて“現在抱えている問題”や“新しい教科書と古い教科書との違い”を話しあったり、“教科書指導書の使い方”、参加者が授業のロールプレイをして“授業の展開方法の評価”をしたり、最後に“授業の計画作り”をしてまとめをします。

今回ここで報告させてもらうのは、科目以外のトピックとして扱われた“学級運営”についてです。以下、ご覧下さい。

研修会場:ナンガルハル県シェワ郡タワカルババ女子中学校
研修期間:2007年1月21日(日)〜2月1日(木)(11日間)
見学日 :2007年1月25日(木)研修第5日目
クラス数:3クラス(クラス1:30名/男性、クラス2:30名/男性、クラス3:10名/女性)
トレーナー数:6名(男性5名、女性1名;各クラス2名づつ)

研修5日目のこの日は週末にあたるため、半日かけ”学級運営”に関する研修が行われました。この日の研修は、以下の3つのセッションで組み立てられています。
セッション1:事例研究1「整備されていない学習環境の下での学級運営について」
セッション2:事例研究2「家庭との連携および学習意欲の低い生徒に対する対応」
セッション3:まとめ
ここでは特に、事例研究2の研修風景を報告します。見学したクラスはクラス3、男性教員のクラスです。
 まず、この事例2の内容を紹介します。

『マリアさんは、学校教育を12年間(日本の高等学校卒業)うけてから教師になりました。教師になってからまだ日が浅く、あまり指導経験がありません。彼女の学級には70名の生徒がいます。
 男子女子が同じ教室で勉強しています。マリアさんの学校は、農村部にありあまり経済的に豊かな地域とはいえません。
 生徒たちは、テントも教室もない環境で学習しています。あるのは、黒板とチョークだけです。教科書も十分とはいえません。生徒たちの手元には、鉛筆かボールペン、ノートがあるだけです。
 生徒たちの中でも、比較的多くの女子生徒が遅刻をすることがあります。女子生徒は男子生徒のように学校に来るのが好きではないからです。(男子生徒は学校が好きですが、女子生徒はあまり好きではないからです。)
 また生徒の中には、経済的に恵まれ不自由のない生活をしているのですが、学校にあまり関心を持たない生徒がいます。

彼女の学級で起きていることについて、グループの中で話しあってください。
 話し合うポイント:
1)さまざまな家庭環境への対応:両親に教育への関心を持ってもらうためにできることは、何でしょうか。
2)学習意欲の低い生徒への対応:先生あるいは学校側ができることは何でしょうか。』
 
まずこの事例を読み、グループの中でディスカッションが行われます。その後、メンバーどうしで出し合った意見を模造紙に書き込んでいきます。
 一通り話し合いが終わり模造紙の記入も終わると各グループからの発表が行われ全体で意見が共有され、参加者はそれぞれ関心のある意見を自分のノートに記録していきます。
 クラス3にはAからFまでの6つのグループ(1グループ5人)がありますが、ここではグループAとグループBの発表内容を紹介しましょう。

 <グループA>
1. 先生は生徒の両親と連絡を取るべきです。
2.先生は優秀な生徒にご褒美をあげるべきです。たとえば、何かプレゼントとか奨学か。
3. 生徒は同じクラスの生徒たちと仲良くしなければいけません。
4. 先生がかかえる経済的な問題を解決する必要があります。
5. 教科書が不足しているのであれば、最初から一人ひとりに配るのではなくグループをつくってグループごとに教科書を渡し共用させたらいいと思います。
<グループB>
1. 先生は生徒の両親と連絡を取るべきです。
2. 先生がかかえる経済的な問題を解決する必要があります。
3. 生徒のために校舎や教室が建設され、学用品が配布される必要があります。
4. 生徒の学習意欲が高まるように、励ます必要があります。
5. 教科書が不足しているのであれば、グループをつくってグループごとに教科書を渡し共用させたらいいと思います。
6. 先生が問題を生徒たちに伝え共有したり、生徒が先生と問題を共有するようにしたらいいです。

一通りグループ・ディスカッションの発表が終わったところで、次に一人ひとりの先生から実際の経験に基づいた意見を発表してもらいます。以下は、この時にあがった意見です。

(1)もし問題があったら、学校の運営委員会に相談するといいと思います。
(2)学級では、男女を一緒に座らせるべきではありません。それぞれ分けて座らせなければいけません。(この地域に暮らすパシュトゥーン人の習慣で、家族以外の男女が同席することは好まれないのです)
(3)この事例の先生はたくさんの問題を抱えているようですが、特に新しい教科書について不足しているのであればグループをつくってグループごとに教科書を渡し共用させたらいいと思います。
(4)学校の運営委員会や校長、政府に連絡をして教室を建設してもらったらいいと思います。
(5)この先生はまだ経験も浅いので、経験の豊富な先生に相談し助言を受けたらいいと思います。
(6)教科書がないということですが、その代わりに地元にある教材を利用したらいいと思います。たとえば石ころとか、木片、葉っぱなどが使えます。
(7)経済的な問題を解決するために、NGOに協力を求めたらいいでしょう。
(8)この先生はたくさんの問題を抱えているようですが、まず生徒たちの衛生検査をやったらいいと思います。毎日、衣類とか爪の検査とかをするのです。
(9)女性生徒たちが学校に関心をもたないのであれば、男子生徒のように関心をもつよう励ましたらいいのではないでしょうか。
(10)先生はやさしい言い方で生徒たちと親しくなり、学校に来るよう助言をしたらいいと思います。

先生方の意見の中で、“教科書が足りないときはグループごとに共有したらいい”と言う意見がいくつか出てきましたが、実はこのワークショップでも先生方にワークショップ・マニュアルをグループごとに1冊ずつ共有してもらっています。
 予定では12月にシェワ郡を含むナンガルハル県の小学校1-3学年の教員全員に配布されることになっていたのですが、何かの事情で遅れているようです。そのため今回は、JICAのSTEP(教員研修強化プロジェクト)事務所のご協力を仰ぎ研修対象者70名に対し15セット(5人で1セットの割合)を融通していただいてなんとか研修が実施できたのですが、これもひとつの指導方法の知恵として印象づけられたのかもしれません。学びはいろいろなところにある、ということでしょうか。

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