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地域住民による異議申立(ProSAVANA事業)に関するJICA理事長宛の要請とプレスリリース

2017年7月21日 更新

2017年4月27日、プロサバンナ事業対象地の地域住民がJICAへの異議申立を行いましたが、その後、同申立に対する予備審査が行われ、7月3日、本調査に進むことが正式に決定しました(参考:JICAサイト ナカラ回廊農業開発マスタープラン策定支援プロジェクト)。

審査が真に公正なものとなり、訴えた小農たちの想いを受け止めるものとなるよう願うばかりですが、すでに懸念される点も生じています。これを受けて、JVCを含む日本の7NGOが、JICAの北岡伸一理事長宛に要請文を提出しました。

8月末にはモザンビークの首都マプトで、TICAD閣僚会合も開催されます。アフリカ、モザンビークに注目が集まる時期でもあり、メディアの方にはぜひ取材等していただければ幸いです。取材等ご希望の場合には、渡辺までご連絡ください。

連絡先:渡辺直子 E-mail:nabekama@ngo-jvc.net Tel:03-3834-2388

ダウンロードできるデータ
プレスリリース:日本の政府開発援助/ODA「プロサバンナ」事業の対象地住民11 名(小農男女)によるJICA への異議申立が本審査に進む(PDF、129kB)
要請文:JICA 環境社会配慮ガイドラインに基づく地域住民による異議申立(ProSAVANA 事業)に関する要請(PDF、128kB)

(以下、要請文本文)

JICA 環境社会配慮ガイドラインに基づく地域住民による異議申立(ProSAVANA 事業)に関する要請

JICA 理事長 北岡伸一殿
cc. 外務省国際協力局長 梨田和也殿

平素よりNGO による国際協力活動へのご理解とご協力、誠にありがとうございます。

プロサバンナ(ProSAVANA)事業の対象地域の住民並びに市民社会組織から、本年4 月27 日にJICA 環境社会配慮ガイドラインに基づく異議申立が提出され(JICA の受理通知は5 月1 日)、JICA による申立書の翻訳(ポルトガル語から日本語)を経て、5 月17 日から7 月3 日まで予備審査が行われ、本審査に進むこととなったとの連絡を受けました。

貴機構の下記サイトも確認し、審査の状況や申立書の内容も確認しました。https://www.jica.go.jp/environment/present_condition_moz01.html(但し、日本語訳の妥当性については、現在確認中です。)

地域住民11 名(名前は非公開)による申立書には、これまでの経緯が詳細に記載されており、今回の申立内容が、モザンビーク政府関係者による人権侵害だけでなく、JICA 理事や事業担当者・契約コンサルタントを含むJICA の職員・関係者並びに組織的なガイドライン違反に関するものであったことを知りました。

これらの点は、これまで日本のNGO からも繰り返し指摘してきましたが、改善されることなく、むしろJICA の関与が深まる形で悪化の一途を辿り続けてきた点でもあります。結果として、地域住民が身の危険を侵してまでも、異議申立をしなければならない事態に陥ったことについて、深く落胆しています。

また、現地からの連絡によると、申立者全員の身分証明書の写しの提出が求められたといいます。代理人から、申立者が抱える不安を伝え、再検討と代替案を要請したものの、変更はなく、さらに代理人の身分証明書の写しまで要求されたとのことです(代理人は個人ではなく二つの市民社会組織が務めており、団体登記書等は提出済みであった)。身分証明書の提出は、要件として手順書に記載はなく、他の異議申立ケースでは要求されておらず、プライバシーの保護と安全確保という点から大変懸念される状態です。

また、私たちは、申立者並びに代理人の要請に基づき、かつ他の異議申立の先例(2014 年ミャンマー・ティラワ経済特区)に倣うとともに、本審査が入念な準備と十分な情報を踏まえたものとなるよう、審査役への情報提供と面談の調整を依頼しました(7 月13 日、JICA 異議申立審査役事務局経由)。しかし、同事務局からお返事を頂けないままに、審査役の現地調査が今月29 日に開始されると知りました。これを踏まえて、審査役事務局経由で現地調査前の情報提供と面談を再要請したところ、19 日に「調査の準備中・実施のため」、「8 月下旬で調整したい」との返事が届きました。

今回の申立書はポルトガル語で書かれており、かつ翻訳からは根拠となる日本語資料のリンクがすべて削除されています。プロサバンナ事業が複雑な経緯を辿ってきたこと、そしてモザンビークが独特な政治社会状況にあることを踏まえると、多様な角度からの多様な資料・情報を十全に理解せずに、住民の声を適切に汲み取ることは困難です。不十分な事前準備による現地調査の実施は、税金の無駄遣いにも繋がります。

今回の申立が、JICA の職員・関係者・組織に対するものを含むこと、また異議申立制度が完全に独立した形で制度設計されていないことから(理事長の直轄機関として設置)、本審査の独立性、中立性、公平性に疑義を生じさせないための最大の努力が不可欠であると考えます。

以上から、日本のNGO 並びにJICA を支える日本の納税者・市民として、次の3点を要請いたします。

1. JICA として、本審査の独立性と中立性、そして公平性が担保される環境を確保するよう要請します。これには、事業関係部局・関係者・元関係者の関与や介入の防止を含みます。

2. この間、申立者を含むモザンビークの対象地域の住民(とりわけ小農男女)並びにモザンビーク市民社会組織は、プロサバンナ事業をめぐって度重なる脅迫・威圧・排除を受けてきました。また、同国では、人権や民主主義・ガバナンスの状況が悪化したままであり、これらの人びと・組織への報復やさらなる弾圧・介入の危険が否定できません。
また、今回の異議申立がJICA に対するものであることから、個人情報の扱いが大変懸念されています。以上を踏まえ、申立者と代理人について、その氏名や個人情報の厳正なる管理(申立書に書いてある通り、JICA の事業関係者への非開示を含む)、人権擁護、危険予防・回避・保護について、あらゆる手法を講じることを求めます。

3. 要請にもかかわらず(また先例と異なり)、現地調査に向けた準備が、この件に詳しいNGOからの情報収集努力を欠き、JICA 関係者の情報に依拠する形で進められてきた点について、危惧しています。上記の通り、プロサバンナ事業は複雑な経緯を抱えた事業として推移してきました。また、申立内容に関する入念で十全なる事前準備(文献調査とJICA 以外の関係者との面談)なしに、適切で公正なる現地調査の実施は不可能と考えます。
以上を踏まえ、現地調査への出発前に、日本のNGO と審査役との面談を可能とすること を要請します。

最後に、今回のプロサバンナ事業に対する地域住民の異議申立、そして審査は、モザンビーク社会、日本の市民社会や国会だけでなく、世界的な注目を集めております。私たちは、日本のNGO として、このプロセスを注意深く見守り、審査にあたって必要とされるサポートを行っていく所存であることをお伝えいたします。

2017 年7 月21 日

【署名団体(一次)】
特定非営利活動法人 アフリカ日本協議会
特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター
ATTAC Japan
No! to landgrab, Japan
モザンビーク開発を考える市民の会
特定非営利活動法人 FOE Japan
特定非営利活動法人 アーユス仏教国際協力ネットワーク
*2017 年7 月20 日現在。

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