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福島第一原発事故に関するJVCの考え方をまとめました

調査研究・政策提言担当 高橋 清貴
2012年6月 8日 更新

昨年の3.11から1年以上が経ちました。この間、私たちは福島の人たちとともに、様々な活動を行ってきました。しかし、原発を巡る昨今の政府の動きを見るにつけ、福島第一原発事故の問題が時間とともに風化していってしまうような危惧を覚えないわけにはいきません。3.11は、自然との向き合い方、地域と都会の関係など、いろいろな意味で私たちにこれまでとは違う生き方と社会のあり方を問うたはずです。

何よりもJVCで活動する私たち自身が、3.11と原発事故が問いかけた問題を忘れないために、そしてJVCの今の思いを記録と記憶に残すために、このポジション・ペーパーを作成しました。忘れないためには何よりも、この問題を問い続けること、ではないかと思います。その意味で、このペーパーは、これからの長い議論の始まりに過ぎません。お読み頂き、いろいろなご意見をお寄せ頂ければ幸いです。これから、私たちが福島の人たちとどのように向き合って、どのような活動を続けていくべきなのか、JVCと一緒に考えて頂ければと思います。

持続可能な社会をめざして ~福島第一原発事故を受けて~

はじめに

2011年3月11日に東北地方を襲った大地震によって引き起こされた福島第一原発の事故は、私たちにこれまでの日本社会のあり方を見直し、これからの活動のあり方を考え直す大きなきっかけとなりました。原発事故は、周辺の地域住民が従来の生活を二度と取り戻すことのできないほどの甚大な被害を与えました。その影響は大きくかつ深刻で、事故から一年近く経った今でも、福島の人々に不安と分断の苦しみを与えています。未来に責任ある社会をつくるために、JVCはこの事故を風化させず、いまだ困難に直面している人々に寄り添い、共に解決策を模索する努力を続けたいと思います。

現代社会はリスクの上に成り立っている

原発事故は、私たちの社会が便利さと引き替えに大きなリスクを抱え込んでいることを明らかにしました。また、地震や津波などの自然災害に対する人間の力は小さく、コンクリートで堅めあげた町がいかに脆いものであるかを知らしめました。これらに限らず、温暖化による環境破壊や有害化学物質の蔓延、食料危機や水不足、債務危機など、放射能汚染も含めて、私たちの社会は私たち自身が生み出した多様なリスクに取り囲まれています。ただ、それらが可視化されず、日常的に意識されないままに、便利さだけを享受することに慣らされてしまっていました。リスクを生み出した責任は、もちろん私たち自身にあります。いま、あらためてこうしたリスクに向き合い、みなで背負いながら、少しでも減らす努力をしていくことが大切だと考えます。その一方で、今回の原発事故とその後処理に関して、東京電力と政府の法的責任を明確にしていくことも必要です。責任の所在を曖昧にせず、作り出したリスクを低減させていくことが、未来世代に向けた責任ある行動だと考えます。

「経済成長中心」の考え方からの脱却

これまでの「原発の恩恵を享受する社会」では、大量消費と一極集中型の経済・産業構造の下で競争し、成長することを最も価値あることとし、それによって人々が幸せになれるとする考え方が主流でした。それは、地域循環をベースにした経済や「足るを知る」知恵を取り戻す生活様式、適正規模の産業や自然から謙虚に学ぶ技術による「持続可能な社会」とは相反するものです。国際協力や援助においても、政府のみならず私たち自身も、「経済成長中心」の考え方から自由になれていません。JVCは、改めて「経済成長中心の社会」ではなく、それに代わる「持続可能な社会」をつくるということを明確な活動の指針としたいと思います。そして、JVCの目指す社会と原発は相容れないものであると考えます。

社会づくりのベースは地域

JVCは、これまでアジアやアフリカ、中東の国々において、一人ひとりが安心して暮らせる社会を実現しようと、地域の知恵や伝統を活かした農村開発や環境保全の活動に取り組んできました。この経験を通してわかったことは、人と人、人と自然の関係が断絶してしまうと、限りある資源や経験に基づく豊かな知恵といった「財産」が地域から失われ、人々の生活はより不安定に、地域はより脆弱になってしまうということです。未来世代に持続可能な社会を引き継ぐには、地域社会をベースとした人と人、そして人と自然の関係を豊かにし、地域の循環を強くしていくことが重要であり、国内外それぞれの地域で持続可能な社会づくりを目指す人々とつながりを築くことが不可欠です。

人を中心に、「国際協力」を超えて

今回の原発事故に際して、現在の社会のあり方に疑問を投げかけ、従来の経済成長中心の価値観にとらわれないオルタナティブな生き方を発信し、実践しようとする人々が、日本の各方面で声を上げ始めています。そうした人々の知識や取り組みを社会に拡げるための輪に、JVCも加わり、協働したいと思います。JVCの目指す新しい社会は、一人ひとりの経験や知識が活かされ、国境や分野の枠組みを超えて、人と人、人と自然のつながりが土台となって生まれる豊かな社会です。これからも「国際協力」の枠にとらわれることなく、自らの手で「つながり」を地域で織り直そうとする人たちを側面から支え、生まれた「つながり」をさらに拡げることに、海外のみならず日本国内でも積極的に取り組んでいきます。

以上

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