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ODA ウォッチ:プロサバンナ事業 第8 回

土地収奪が起こるまで何もできないのだろうか

南アフリカ事業担当 渡辺 直子
2014年11月13日 更新

今回は再びプロサバンナ事業をとりあげる。7 月にモザンビークで開催された国際会議に参加した渡辺が、そこでの議論を通して感じた「音のない戦争」。それを止めるためにはどうすればいいのだろうか。(編集部)

分野を超えた反対へ

六月二日、モザンビークにおいて「No! to ProSAVANA」という全国キャンペーンの開始が発表された。キャンペーンにはナカラ回廊地域の小農および小農組織連合であるUNAC、女性フォーラム、人権リーグ、環境団体など分野を超えた八つの全国組織が参加している。

プロサバンナについて語る際、よく聞かれる質問がある。「日本企業やプロサバンナ事業は土地収奪を起こしているのか?」である。モザンビークでは本誌でも報告してきたとおり、海外投資企業による土地収奪はすでに頻発している。一方で、確かに日本企業による直接的な土地収奪はこれまでに報告されていない。であるならば、なぜ当地で全国キャンペーンが張られるほどの反対にあうのだろうか。

生活基盤である土地を奪われないために

昨年に引き続きUNACらの主催で七月二十四日にモザンビークの首都マプトで開催されたモザンビーク・ブラジル・日本三ヵ国民衆会議において、プロサバンナ事業対象三州の小農代表が各地の土地収奪の事例を具体的に語りながら訴えた。

「これまで政府は開発についていろんなことを約束してきた。だけど私たちはいまだその約束の実現を目にすることができない。だからプロサバンナによって小農支援をすると言われても信じるのが難しくなっている。プロサバンナに対する不安を訴え、質問すると『君たちは身の安全に気をつけたほうがいい。もし周囲にプロサバンナに反対する人がいるならば知らせてくれ。そいつは刑務所に入れられるだろう』と言われた。

このプログラムが人々を脅して私たちから土地を奪うためのものではないと、どうやったら思えるのか。プロサバンナ対象地ではすでに多くの土地収奪があり、人々が土地を失い始めている。ここにさらにプロサバンナという巨大事業が来たら私たちはどうなるのか。それが知りたいのだ。なのにプロサバンナのことはまったく知ることができない。だから私たちはプロサバンナが良いことだと思えないのだ。小農は信じられないのだ」

今回、私は民衆会議で小農たちの声を聞く中で、土地を強制的に奪われているモザンビークの人たちが置かれた状況というのはさながら「音のない戦争」だと感じた。爆撃で怪我をしたり、即座に命を落とすことはないが、生きていく「場」と「手段」を奪われ、少しずつ食料が底をつき始める。しかしどうすることもできず、先が見えない不安。

じわじわと襲ってくる「このまま死ぬのではないか」という恐怖。そして「まだ」土地を奪われていない人たちは土地収奪という爆弾がいつ自分たちの村に落ちてくるのか、日々怯えて暮らしている。その中で、何の情報も得られない小農たちの不安はいかばかりかと思う。反発を覚えるなというのが無理な話だ。

一方、右の小農らの発言に対するモザンビーク農業省関係者らの応答は、「人権侵害はなく」「対話の回路は開かれているのにそれに参加しないのは小農たちだ」に始終していた。

誰と誰の対話が足りない?

今回、このような議論があった民衆会議に、日本の大使館、JICA関係者も参加していた。彼らは何を感じたのだろうか。これまで我々が「公開書簡」への返答や情報開示を求めた際、外務省・JICAは「モザンビーク政府が主体でしているから日本からは回答しない」「モザンビーク政府の確認が必要」という言い逃れをしてきた。すべての責任はモザンビーク政府にあるということだ。だが本当にそれでいいのだろうか。JICAが掲げるミッション、「(支援国の)ガバナンスの改善」とは一体何なのか。日本の事業関係者はモザンビークの小農の前にまず、同国の政府関係者との対話から始めたほうがいいのかもしれない。

最初にあげた質問への回答に戻ろう。プロサバンナ事業による直接的な土地収奪は、まだ起きてはいない。しかし、だからこそ今できること/しなければいけないことが多くあるということを、小農たちの声は教えてくれている。それは、開発援助の実施における予防措置や相手国政府との対話のあり方についても多くの示唆を与えているように思えてならない。それに応えることは、ODA、ひいては日本の外交にとってもメリットになるのではないだろうか。

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