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日本政府は去る3月30日、イラク特措法の改正案を閣議決定し国会に提出しました。4月24日には国会での審議も始まりました。JVCは自衛隊派遣が十分な情報開示も検証もないまま続けられていることを問題と考え、この機会を捉えて安倍内閣総理大臣に宛てて公開質問状を提出しました。
イラクの状況はきわめて深刻です。現地の協力者からの情報でも治安の悪化によって人々が生命の危険を感じる度合いが高まっているのがわかります。避難民や難民になる人たちも加速的に増えてきています。対立がコミュニティに持ち込まれ、地域社会が分裂する傾向さえ帯びてきました。そんな中で生活の基本的なニーズすら満たされない人々もたくさんいます。
今回の公開質問状では、こうしたイラクの現状をどうすれば改善できるのかという視点から質問を作成しました。この質問状への政府の回答が届いた時点で、ホームページ上に掲載して皆さんにもお知らせします。
私たちは今後もイラクの人々への支援を続け、イラクの状況を見つめながら、イラクに関する政策提言活動も続けていきます。
(特活)日本国際ボランティアセンター 代表理事 谷山博史
2007年4月25日
内閣総理大臣 安倍晋三殿
イラク特措法改正に関する公開質問状
政府は3月30日、7月末に期限が切れるイラク復興支援特別措置法の改正法案を閣議決定し国会に提出しました。この法案提出の理由として久間防衛大臣は「国連並びに多国籍軍が復興と安全確保活動を行っており、その支援のために航空自衛隊の輸送活動が必要だという要請がある」と述べています。
イラクの現状をみるに、治安状況は悪化の一途をたどっています。2万人以上の米軍の増派を受けて行われたこの新治安作戦によっても状況は改善される兆しはみられません。また治安の悪化が宗派間の対立によって引き起こされている面があることは確かですが、宗派対立が激化するに至った占領政策の影響も無視することはできません。さらに米軍を中心とした多国籍軍による空爆、狙撃、家宅捜索、捕縛・拘束がイラクの人たちの生命と安全に危険をもたらしていることも大きな問題です。
イラクにおいて人道復興支援活動を行っている私たちは、アメリカによるイラク開戦の正当性と占領政策そして主権移譲後の治安作戦の妥当性に対して強い疑問を抱いています。そして日本政府がイラク戦争を支持した小泉政権の外交政策の検証もないままイラク特措法を制定したこと、さらにイラクでの自衛隊の活動についての情報が十分に公開されず、その妥当性の検証もされぬまま自衛隊の派遣が延長し続けられることに危機感を感じざるをえません。
私たちは、多数の民間人の命が失われ続けている現在のイラクの治安状況が一刻も早く改善されることを期待しています。そのために日本政府はどのようなイラク支援の方策をとるべきなのかについて、「人道上の危機」と言われるまでの治安の悪化を招いた原因と責任がどこにあるのかの検証を踏まえた上で明らかにする必要があると考えています。
イラク特措法改正の国会審議に当たり、日本政府に以下の質問に答えていただき、日本とイラクの市民に対して説明責任を果たしていただきたいと思います。
- 多国籍軍の活動に対する評価について
- 派遣された多国籍軍は、治安回復に対し、いかなる成果を上げていると理解していますか。
- その評価・検証は行われていますか。
- もし、まだ評価が行われていないのであれば、今後、いつどのような形で評価が行われる予定ですか。
- 自衛隊派遣の評価について
特措法の改正案を国会で議論するに当たって私たちはこのイラク政策見直しの重要な局面において、イラクへの自衛隊派遣の評価を踏まえた議論が必要だと考えます。
- 2006年7月に撤退した陸上自衛隊および航空自衛隊の活動の評価はされているのでしょうか。
- 評価をしていないとするならば、なぜしないのでしょうか。
- また評価をしていない場合、今後いつ、どのような形でするのでしょうか。
- 航空自衛隊派遣の非代替性について
航空自衛隊の活動として政府は、クウェートからイラクのバスラやバグダード及びエルビールの空港に多国籍軍や国連の物資や部隊を輸送していると説明しています。しかしイラク国内のこれらの空港にはロンドン、ウィーン、アンマン、カイロ、ドバイ等から民間商業便が就航しています。
- 国連の物資や武装解除された多国籍軍の兵員や物資を輸送するのであれば航空自衛隊を派遣する必要があるのでしょうか。
- 航空自衛隊による輸送が必要であるとするならばその理由を説明してください。
- 航空自衛隊派遣延長の効果について
- 自衛隊派遣の延長によってイラクの治安を回復し、人びとの暮らしを改善することに寄与するになると考えているのでしょうか。
- もし考えているのであればその判断の根拠を示してください。
- イラク政府と多国籍軍による治安の回復に目処が立たない状況にありますが、もしイラク特措法を改正し航空自衛隊の派遣を延長した場合の出口戦略を説明してください。
- どのような状態になれば航空自衛隊派遣の目的が達成されたとみなし撤退するのでしょうか。
- また航空自衛隊派遣の目的が達成されない場合、どのような場合に撤退するのでしょうか。
- 多国籍軍の要請が引き続きある場合でも撤退することはあるのでしょうか。それはどのような場合でしょうか。
- 自衛隊派遣の政策判断について日本の国民とイラクの人々に対する説明責任を果たしていただくために陸上自衛隊と航空自衛隊の活動についてその情報を公開していただきたいと思いますが、
- 陸上自衛隊と航空自衛隊の活動についてその情報を公開できない活動があるでしょうか。
- また情報を公開できないものがあるとすれば、その理由は何でしょうか。
- 自衛隊の活動内容を裏付けるものとして多国籍軍やイラク政府との合意文書は存在するのでしょうか。
- またその文書は情報公開できるのでしょうか。情報公開できないとした場合その理由は何でしょうか。
以上質問項目への回答をお願いします。
(特活)日本国際ボランティアセンター 代表理事 谷山博史
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