
報告 JVCタイ 森本薫子
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【速報】2006年1月10日(火)
1万人が抗議のデモ:タイ−アメリカFTA交渉
タイ駐在のJVCスタッフ2名が現場での抗議行動に参加して、報告を寄せました。
1月9日(月)から、タイ北部の都市チェンマイ市でタイ政府とアメリカ政府の間でFTA(自由貿易協定)交渉が行なわている。交渉の会場となったシェラトン・ホテルの前にはタイ全国のNGOや住民組織、農民など11のネットワークから約1万人の人々が集まり、交渉の即時中止を訴えてデモを行っている。
NGOなどのネットワークは、FTAが締結されれば人々の生命と生活に深刻な悪影響を及ぼす恐れがあるということで、特に次の問題点を指摘している。
- 知的所有権:薬の特許の有効期間を5年延長すれば、それだけ薬の製造が遅れること、公共目的のために特許のある薬でも製造ができるというWTO(世界貿易機関)で保証されている規定を制限したら、薬の価格が高騰して特にHIV/ AIDS感染者は薬を得られなくなること。また、生命に対して特許を認めれば、生物多様性や地域の資源・知恵を損なうことになること。
- 農産物市場の自由化:農作物、特にトウモロコシと大豆がアメリカから補助金がつけられて低価格でタイに入ってくれば、小規模農民の生活が決定的に脅かされること。
- 資本投資の自由化:公共事業部門、特に水、電気事業では国民生活が破綻し、農業部門では国民の食の安全が脅かされること。
NGOなどのネットワークは、タイ政府がこのように生命に重大な危険をもたらすような条項は一つも入れないことを国民に保証しない限りは、FTA交渉は即時に中止すべきであるとしている。
11 のネットワークは下記のとおり。
- HIV/ AIDSを生きる人々のネットワーク
- オルタナティブ農業ネットワーク
- 全国スラム・ネットワーク
- 貧民連合
- タイ住民組織協議会
- 土地・共有林ネットワーク
- 北部農民連合
- タイ学生連合
- 国営企業労働組合連合
- ランパーン消費者連合
- FTAウォッチ
(組織名の和訳はJVC)
これら抗議グループは、昨日9日に各地域からチェンマイ市に集合、昨晩はチェンマイ駅の前に泊り込んだ。今朝10日の9時半すぎには、"Stop FTA"のメッセージをこめた様々な種類の垂れ幕、旗、Tシャツ、ハチマキを身にまとい、全体的に赤とオレンジのTシャツでそろえた参加者がチェンマイ駅を出発し、シェラトン・ホテルに向かって2キロの道のりをデモ行進した。
行列はネットワークごとにチーム分けされ、各チームのリーダーの指揮に従いながら整然と進む。行列の先頭200人のチームは、"FTA
Out of Agriculture"(FTAは農業から出て行け)と書かれた白いTシャツに、軍手、膝にスポンジという格好で、5歩歩いては、両膝を地面につき地にふして両手を合わせて拝みながら進む。古都チェンマイの神聖な神々、高僧と寺院に対しての祈りを表している。次に進むのが全国の村人リーダーたちで構成される、黒いスカーフをした最前線チーム。住民・農民運動の中心となってきた村人たちでけがや逮捕も覚悟の100人である。その後、交通整理チーム、HIV/AIDSネットワーク、農業チーム、スラム・チーム、貧民連合チーム…と続き、スピーカーを乗せたトラックの上で音頭をとるリーダーに合わせて「FTAはいらない!」と叫びながら進む。水配給チーム、看護チーム、食事チームなども待機していた。
途中で食事チームから運ばれた昼食をとり、引き続き行進して午後2時すぎにはシェラトン・ホテル前に到着。ホテルの正面入り口前には、黄色と黒の鉄の柵を盾に多勢の警官が並んで厳重な警備体制をしいている。警官の前には最前線チームが並び、他のチームは下がって座った。最前線チームと警官が激しい押し合いをしている間、リーダーの掛け声に合わせ、「FTAはいらない!」「交渉をやめろ!」「代表出て来い!」と叫び続ける参加者たち。
とうとう最前線チームが警官を押しのけてホテルの敷地内に入った。そのころ同時に11のネットワーク各代表も中に入ったようであった。その後の中の様子は、外からは一切見えなかった。外では、各ネットワークのリーダーたちが順々にスピーカーで要求を訴え始めた。
午後4時、ついにFTA交渉のタイ側代表であるニット・ピブーンソンクラーム氏(前在アメリカ大使)が出てきて「できるだけのことは考慮するが、交渉を中止するわけにはいかない」と発言。参加者が納得しないまま、ニット・ピブーンソンクラーム氏は再び中に戻ってしまった。
デモ側の要求書は、昨日アメリカ大使宛に提出しているが、FTA交渉チームが受け取っているかは定かではない。その後中の動きは知らされていない。
その後は、リーダーたちのスピーチが続き、夕食が配られ、夜は歌や楽器演奏が始まった。参加者の多くは、ホテル前に泊り込むようである。
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