
アフガニスタン事業担当 長谷部貴俊
・
アフガン支援国会合に向け日本NGOの有志団体が日本政府と対話を
アフガニスタンでは、選挙をはじめとする政治プロセスは進展していますが、今年、対テロ戦争のアフガン人被害者は1400名にものぼり、武装勢力によりNGOスタッフもおよそ30名が犠牲となり、治安は以前より悪化しています。
2006年1月末にロンドンでアフガニスタンの治安と復興に関する国際会議が開催されます。日本政府内でもその会議に向け日本のコミットメントを議論しています。JVCをはじめとするアフガニスタンで活動する日本のNGO有志メンバー6団体は、このような治安を改善すべく12月27日に外務省、JICAをはじめとする日本政府にむけて御願いの文章を提出しました。 この6団体は日本アフガンNGOネットワークのメンバーでもあり、これまでアフガンの治安・復興の情報共有をしてきました。
また、現在、会議開催国の英国ならびアフガニスタン国内で主に治安部門に関してNGOと政府との対話が行なわれています。日本アフガンNGOネットワークと英国のNGOネットワーク、British Agencies Afghanistan Groupはロンドン会議に向け連携しながら、政府関係者と対話していきます。
以下に、内容を掲載します。
2005年12月27日
外務大臣 麻生太郎殿
アフガニスタン会議(2006年1月、ロンドン)へ向けた日本政府への御願い
2006年1月31日から2月1日までロンドンで開催される支援国会議は、ボン・プロセスに続く、進むべき道を示す非常に重要な機会です。日本政府は2001年以降、アフガニスタンの治安回復および復興に対し大きな貢献をしてきましたが、私たちは日本政府が本会議において長期支援のコミットメントを引き続き表明することを切に期待しております。
アフガニスタンで活動する私たち日本のNGOは、日本政府が、私たちスタッフや無辜のアフガン人が治安状況の悪化によって危険にさらされていることに特に注意を払うことを望みます。今年だけでも1,400人のアフガン人が戦闘に巻き込まれて死亡したと言われています。刑事司法制度が脆弱なことや法の支配が徹底されていないことの結果として、とくに都市地域で犯罪率が増加しています。2003年には12人のNGOスタッフが殺害されました。2004年には、その数が30人にまで上昇しました。2005年は少なくとももっと増加すると予測されています。アフガニスタン全体でも治安一般に関する事件の総数も急増しています*1。
NGOは、しばしばアフガニスタン政府や国際ドナーと協力して、地域コミュ二ティーの基本的なニーズ(医療、教育、経済的な安定など)が満されるように援助する役割を果たしてきました。しかしこうした役割は、治安の悪化のゆえにますます難しくなってきています。スタッフに対して、しばしば厳しい移動制限を課さざるを得なくなっており、多くの大都市で外出禁止が適用されてもいます。とくに南部地域は多くのNGOにとって、「移動禁止」区域となってしまいました。このような制限の結果、現地プロジェクトのモニタリングや地域社会との連絡が難しくなってきており、ひいては開発目標を達成することも困難になってきています。
この状況を鑑み、私たちは日本政府に対し、アフガニスタン政府が治安状況を改善できるように、ロンドンでの会議において以下の諸点を配慮して頂きますようお願い申し上げます。
- 第一に、治安分野改革(SSR)の全ての面において、日本政府は他のドナー国とともに、アフガニスタン政府を支援する努力を更に高めることを望みます。
- DDRプログラムのうち現在、日本政府が支援中の社会復帰段階支援を引き続き行うことは非常に重要です。特に日本政府は、動員解除された人々に、適切な時期に、適切な支援がなされることを期待しています。
- DIAGプログラムは非常に難しい取組みではありますが、極めて重要です。このプログラムに対し、日本政府は、長期的に十分な財政ならびに技術支援を提供することを期待しています。
- 治安分野全体の改革に関して、これまで5つのセクターに対して担当ドナー別に主導する方法で進めてきましたが、それぞれが個別に進められ、全体として改善があまり進んでいません。今後はセクター間でのいっそうの調整と統合について検討することを望みます。司法と警察の強化および改革が重要であり、真実と和解プログラムを含む暫定的司法プロセスの実施を実現するために、国際ドナーはよりいっそうの支援努力をするべきです。これまで、SSR予算のうち、十分な資金が司法制度のために向けられてきませんでした。アフガニスタンや他の国での私たちの経験によると、過去(そして現在にも)人権を侵害した者が正しく裁かれることなしに、平和の持続はあり得ないと考えています。
- 第二に、特にNGOの安全確保について、二つの大きな懸念があり、この問題に対する日本政府の更なる努力を求めます。
- 私たちはこれまでアフガニスタンで行われた武装勢力によるNGOに対する攻撃について、徹底した捜査がなされていないことに失望しています。例えば、国境なき医師団(MSF)スタッフが2004年に犠牲になった事件の場合、刑事被告人に対する裁判に向けた手続きが始まったものの、裁判自体はまだ行われていません。最近のCo-ordination of Humanitarian Assistance (CHA)スタッフに対する2件の攻撃の場合も同様で、警察による捜査は不十分でした。これらは、将来に攻撃を計画している者に対して、誤ったメッセージを与えてしまいます。その結果として、NGOが攻撃される危険性が高まっていることに強い不安を感じています。
- 最後に、地域復興チーム(PRT)の役割に関し、懸念を表明します。特に、多くのPRTが復興支援活動を行っていることに反対します。PRTによる復興活動は現地の人々に援助従事者の中立性を疑わせるだけでなく、その復興活動自体も有効性が疑わしいからです*2。
私たちは日本政府がロンドン会議に向けた準備において、また会議での議論においても上記の項目を考慮して頂くようお願い申し上げます。安定的で、安全な環境こそがアフガニスタンの復興努力が成功させるために不可欠な基盤です。このことは、アフガニスタンの復興に関わる全てのアクター(政府、NGO双方に)に共通した最優先事項であることを改めて強調致します。
*1:Afghanistan NGO Safety Office (ANSO)によると、事件の総数は2003年に1,529件であったが、2004年には2,895件に上昇、2005年(11月末まで)には3,370件にまで到達した。 *2:例えば、最近のドナー調査にはPRTの支援プロジェクトの批判が様々述べている:Humanitarian and Reconstruction Assistance to Afghanistan, 2001-05 (Denmark, Ireland, Netherlands, Sweden, UK), Ministry of Foreign Affairs of Denmark & Danida, 2005年10月
社団法人 シャンティ国際ボランティア会(SVA)
特定非営利活動法人 難民を助ける会
社団法人 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン
特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター
特定非営利活動法人 日本紛争予防センター
特定非営利活動法人 ピース・ウィンズ・ジャパン
CC: 国際協力機構理事長 緒方貞子殿 内閣府 国際平和協力本部事務局局長 樽井澄夫殿
|