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"民間人の保護と人道支援への理解を!" 
イラクで引き続き起きている人道危機に対するNGOからのアピール
2005年11月11日 更新
 

2005年11月11日
日本国際ボランティアセンター(JVC)
■ハディーサの病院が攻撃を受け
入院患者が病室で死亡。
写真は病棟の壁に残る弾痕。
(2005/5/7)

12月15日に予定されているイラク国民議会選挙を前に、治安の安定を図ると称し、多国籍軍とイラク政府軍は、主にシリア国境を越えてイラク国内に影響を及ぼす外国人武装勢力の拠点だとして、イラク西部のアンバール州ユーフラテス河流域、特にシリア国境地域での掃討作戦を強化しています。折りしも、この時期は6,000名以上の犠牲者を出したと伝えられるファルージャ包囲作戦の開始からちょうど1年に当たります。この軍事作戦の際にも、翌年1月末の暫定国民議会選挙を控えて治安の安定が目的であるとされていました。

以前より引き続くこの攻撃に加えて、11月5日〜8日には掃討作戦「鋼鉄のカーテン(Steel Curtain)」が展開され、カイム市郊外のフサイバ地区を中心とした地域が激しい攻撃にさらされました。作戦は終了し、主要な戦闘が終了しても、武力衝突は今も続いています。現地の協力者を通じた報告によると、10月30日時点でカイム近郊に避難していた避難民は7,000家族を越えています。しかし、軍事作戦の結果、避難先の地域に向かう補給路の橋が破壊され、緊急人道支援物資の輸送が困難となったこともあり、避難先で生活物資の不足に困った人々が帰還を始めたと伝えられていました。この後、31日には作戦の本格化に先行してカイム近郊に空爆が加えられ、民間人の死傷者が出たと伝えられています。

JVCでは昨年のファルージャ包囲作戦の際にも市外への避難民に対して食糧や医薬品を配布するなどの支援を行いましたが、今年もイラク西部地域で紛争の激化に伴う危機に際して人道的支援を必要とする人々の要請に応え、医薬品を配布するなどの緊急支援を9月より実施しています。

これまでにもこのような武力衝突の局面で、一般市民が必要な医療サービスを受けられない事態が生じています。つまり、

  1. 地元の医療機関に攻撃が加えられて、設備が破壊されるなどして傷病者の治療に支障を来たす
  2. 軍事作戦上の必要性を理由として、被害者を搬送するための救急車両の通行が妨げられる
  3. 被害者の救援に向かう赤新月社やNGOの人道支援スタッフの現地への立ち入りが妨げられる

などです。しかし、戦闘中であっても医療を確保することは国際法によって保証されており、それが守られないのは国際的な人道原則に違反しています。

この人道的危機に対して、イラクで人道支援活動に従事するNGOの協議体であるNCCI(イラクにおけるNGO調整委員会)は11月8日に声明を発表し、これ以上、武力衝突に伴う犠牲者を増やさないよう関係者に適切な対応を取ることを求めています(声明の和訳を下部に掲載します)。

これに対し、NCCI参加団体でもあるJVCは国際法の遵守と医療などの人道支援活動を確実にするために、イラク政府当局、多国籍軍はもとより敵対する武装勢力も含め関係者に適切な対応を取ることを求めます。

イラクにおける人権と国際人道法の違反

イラクにおけるNGO調整委員会(NCCI)
プレスリリース(2005年11月8日)

NGOは以下の状況を憂慮しています。

  • イラク社会を分裂させる重大な緊張状態
  • イラク法および国際法の重大な違反
  • イラク法および国際法の違反に際して訴える療法の欠如
  • 民間人と支援スタッフの保護の欠如

NGOは以下を求めます。

  • すべての当事者に対し完全なる人権と国際人道法の尊重を義務付ける新たな国連安全保障理事会議決議。紛争に関係するすべての勢力が紛争の民間人に与える影響を最小に留めるための努力を行うべきである。

イラク市民と支援スタッフは彼らが享受すべき法による保護と現場での暴力的な現実との大きなギャップに直面しています。 彼らは日常的に違反に直面しています。たとえば、誘拐、殺害、恣意的な拘禁、援助輸送団への攻撃や軍と民間の人々や標的を区別する原則が尊重されないなどのことです。犠牲者には、乱用を訴える療法が全くありません。

国連安全保障理事会は現在イラクで起きている紛争を「国内の武力紛争」として特徴付けています。なぜなら国連決議.1483、1500、1546、および1557が紛争後という状況下でのイラクの主権と領土の保全を承認しているからです。

法的に主権国家であるイラクはすべての人権侵害を食い止める試みを行う責任があります。

これらの苦難に直面し、イラクで活動するNGOは以下の通り求めます。

  1. イラク当局に対して
    NGOの存在、役割、不偏性を認め、NGOの活動の場を保証すること。政府はNGOの規制と活動の促進をすべきであるが、コントロールしようとしないこと。
  2. 多国籍軍に対して
    NGOの存在を認め、軍事作戦中も脆弱な人々に対するNGOのアクセスを促進すること。
  3. 武装集団に対して
    NGOの役割と不偏性を理解し、事態に介入するための人道的な中立なスペースを尊重すること
  4. 国際的なドナー(資金提供者)に対して
    イラク復興にNGOの存在が効果的であることとNGOの役割を認めること。イラク復興資金の一部でもNGOを通して回るようなルートを再開すること。
 
 


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