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イラクでの活動に関するJVCの見解 
2004年4月26日 更新
 

日本国際ボランティアセンター(JVC)

【1】なぜNGOが紛争地域で人道支援を行うのか

人道支援の原点は、国境を越えた人と人との繋がりや相互信頼を重視して、政府に頼るのではなく、一人ひとりの市民が苦しむ人々の呼びかけに「人間の責任」として応えようとすることにあります。

NGO(非政府組織)が人道支援活動を行うのは、「政府組織とは異なる視点・立場で活動する組織」としての特性によって、たとえ国交のない国でも、政治や思想、宗教を超えて、中立性や公正性に配慮しながら、必要としている人びとに支援活動を行うことができるからです。破壊による物心両面での喪失によって社会秩序が混迷している時、政府による支援では、その政治的な背景によって、必要なところに支援が届かないことや援助の偏りによって治安の悪化や復興の遅延を招くことがあると経験上、理解されています。そのため、紛争地ではNGOの活動が重要であると国際的に認知されているのです。

JVCは、NGOとして政治や思想に偏らず、世界から孤立し内戦が行われていた時期のカンボジア、ソマリア、またここ10年では、パレスチナ、アフガニスタンなどにおいて人道支援活動を行うと共に、現地の人々の声と彼らの目に映る"現実"を伝える努力を続けてきました。例えば、国際社会から孤立していた80年代のカンボジアで、NGOは国外に出てくる難民だけでなく、国内に留まらざるを得なかった避難民に対しても支援の手を差し伸べ、孤立するカンボジアの内情を伝えることで、その後の和平プロセスにも影響を与えてきました。当時、日本政府はカンボジアと国交を断絶し、公的支援も行っていませんでした。邦人保護の可能性もなく、カンボジアへの渡航すら難しい状況でした。そのような中、NGOだけが国内で人道支援活動を行ってきたのです。紛争によって混乱している国や地域ほど外部からの人道支援の必要性が高いにも関わらず、政府は国の政 策に合致しない限り支援を行わないのが現実なのです。

【2】イラクの現状とNGO

今回のイラクの場合、米軍を中心とした占領統治の下で復興が行われていますが、遅々として進んでいません。それは、占領軍が激化する抵抗勢力の首謀者拘束や武力による制圧に力点を置くがために、復興・人道支援はおろか、治安の更なる悪化を招いているからです。イラク人による行政体制が未だ整わない事態の中で、外部からの人道支援の必要性は高まるばかりです。そのため、多くの国際NGOが、緊急ニーズに応えるためにスタッフを駐在させ、給水などライフラインの復興や医療支援などを行っています。活動は、「イラクにおけるNGO調整委員会(NCCI)」というNGO連合体(2004年1月段階で112団体)の下で、治安を含む支援活動に必要な情報を定期的に交換しながら進められています。「紛争地域」と言っても激しい戦闘が行われている前線を除けば、なんとか日常生活を送ろうとする人々の暮らしがあり、そこに中立な立場を維持するNGOが人道支援を行いうる空間があります。住民との信頼関係を築くことで、NGOは刻々と変化する現場の必要性や治安状況を的確に把握しているのです。私たちJVCもNCCIと連絡を取る一方で、イラク人協力者を通した情報収集を図り、日々情勢分析を行いながら効果的な活動の方針を決めています。

【3】人道支援に取り組むJVCの安全対策

現場で活動するNGOは、想定される危険を回避するための対策を取り、自らの責任のもとで行動しています。JVCでは、過去の紛争地での活動経験、赤十字国際委員会、国連などのガイドラインを参考にして、現地で活動する際の行動を規定するガイドラインを作成しています。そして、イラクで活動するにあたり、JVCではスタッフの安全確保のため以下のような対策を取っています。

まず、正確な情報収集に努めています。信頼できる現地の人々や、メディア、関係機関、外務省等から常に治安情報を得て、派遣の可否や入国のタイミング、移動方法などの判断を慎重に行っています。特に、NCCIの治安部会とは密接に連絡をとり、最新の治安情報の入手に努め、退避対策の検討も怠らないようにしています。攻撃や武力衝突が起きている地区や発生が懸念される地区へは行かず、危険性が高い場合は宿舎に待機します。

また、複数の通信手段(携帯の衛星電話など)を確保し、定時連絡を通じて逐一現場と東京事務局とで所在や安否の確認を行っています。日々の活動予定も定時連絡の中で確認し、本部から適宜アドバイスしています。

そして、活動を行うかどうかの最終判断を、本部と協議の上、決めています。現場の情報と判断を最大限尊重しつつも、あらゆる角度からの検討を踏まえた総合的判断が必要であると考えているからです。

【4】現在のJVCの体制

4月18日以降、JVCは現地駐在の日本人スタッフを隣国へ一時待避させています。これは治安が急速に悪化していることやNCCI参加の外国人スタッフの多くが待避を始めているという情勢をふまえ、現地に駐在していても効果的な活動を行えないと判断したためです。しかし、イラク国内ではファルージャへの米軍の攻撃による被災をはじめ、人道支援の必要性は以前にも増して高まっています。JVCとしては隣国ヨルダンを拠点に、NCCIとの共同支援としてファルージャへの緊急支援を始めるとともに、引き続き白血病の子どもたちへの医療支援を行います。スタッフや関係者の安全に十分配慮しつつ、今後もイラク支援を継続していく所存です。皆様のご理解とご支援をお願い申し上げます。

 
 


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